
アカデミー賞作品賞受賞作「グリーンブック」。
誰もが納得の受賞でしょう。
黒人ピアニストがイタリア系白人運転手を雇ってアメリカ南部をコンサートツアーで廻る、1960年代の実話。
目の前に立ちはだかるのは人種差別という巨大な壁だった。
物語は普遍的なもので、意外性は何もなし、こちらの予想通り展開は進む。
人種問題を描きながらも笑いで包み込む脚本の巧みさと、何より俳優二人が素晴らしい。
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」や「イースタン・プロミス」等、悪の限りを尽くしてきたヴィゴ・モーテンセンも、今回は粗野だが憎めない愛すべきキャラ。
家族を大切にしているところが特に素敵。
そして今作で2度目のアカデミー賞助演男優賞受賞となったマハーシャラ・アリは、前の受賞作「ムーンライト」とはガラリと変化。
黒人である苦しみと自身の抱える問題により、孤独だが、運転手と心を通わせていく演技が胸を打つ。
人種差別を描いた映画は過去にも多く作られているが、この「グリーンブック」という存在を知らなかった人は多いだろう。
こんな美しい友情があったことも。