邦画の現状 | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン
邦画の現状は相当に厳しいもの。
自分が個人的に知っている監督達もFacebook等で日々呟いてるが、厳しい現状と戦い、改善しようと手を尽くしている。
優秀な監督は役者にもきちんとお金を払いたい。
でも予算は別に回り、スタッフにも役者にも赤が出てしまう。
海外で賞を獲得し、メジャーな俳優を主演に迎えても尚。
「オー・ルーシー!」の平柳敦子監督はアメリカで演技を勉強し、アメリカで監督になった人だ。



自分が昨年参加した映画の監督は、それこそパイオニアで、邦画界では異色の人だ。
だからこそ好きな映画を撮り、低予算でも好きなスタッフと最高の映画を撮れる。
監督は正にそれを勝ち取った人であるが、なかなかその環境を手に入れるのは才能と覚悟があっても難しい。



平柳監督の映画は卒業制作として作った短編映画に桃井かおりさんが出演し、しかも賞を獲得したことにより、長編映画として動き出したという恵まれたものだったが、この長編も各国で評価され、注目を集めている。
日本独特の特異なユーモアとアメリカ的なユーモアが合体したコメディだ。



キャストが素晴らしいが、特にハリウッド映画で成功した後、しばらく映画界から離れていたジョシュ・ハートネットが、出演していることが大きい。
しかもカメオ出演ではなく、主演の独身OL役寺島しのぶさんが英会話教室に通ったことから恋に落ち、人生がガラリと変わってしまう、その原因を作った重要な役だ。



平柳監督はこの作品で、完全にその扉をこじ開けた。
だが、映画監督も役者も皆、決して恵まれた環境では仕事をしてない。
テレビにいつも映っている一握りの人だけが潤沢な環境で生きている。
優れた映画の陰で多くの映画人が必死で戦っていることを忘れないでほしい。