
個性が強くて唯一無二、癖になる人もいれば苦手な人は苦手、という映画監督が世界にはいる。
韓国のキム・ギドクやギャスパー・ノエ、ミヒャエル・ハネケにデヴィッド・リンチ、ラース・フォン・トリアー。
その中でも特に個性的なのがアレハンドロ・ホドロフスキー。

「エル・トポ」や「ホーリー・マウンテン」によってカルトの帝王となった寡作の人である。
23年振りに作られた自伝的作品「リアリティのダンス」に続いて作られたのが、その続編「エンドレス・ポエトリー」だ。
去年の公開作だが、やっと観た。

撮影時87歳とはとても思えないアグレッシヴな作品。
詩を愛し詩にのめり込んだ主人公の生活を独創的な言葉と色彩で表現する。
そして何より父親との確執と、悔恨、溢れる想い。

ホドロフスキーは自分と同じく元パントマイマー。
リアリズムとは違う、どこを切り取ってもホドロフスキーにしか描けない映画。
衰えを知らず、オリジナリティに満ちて若々しい。

これが5部作まで作られる予定だと。
完成はホドロフスキー100歳前後か?
ホドロフスキーなら不可能じゃない。

主人公の母親役と赤い髪のサラ役が同じ女優さん。
オペラ歌手の女優さんだけど、只者じゃない。
まさかの二役に、パンフレットに目を通すまで気付かなくてびっくり。

何もくれないことで、あなたはすべてをくれた
私を愛さないことで、あなたは愛の絶対的な存在を見せてくれた
神を否定することで、人生の価値を教えてくれた
あなたの残酷さで慈悲を教わった
父よ、私はあなたを許す
あなたは世界を創造する力をくれた
ホドロフスキー

明日はイーストウッドの新作を。