
「息子の部屋」でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したイタリアのナンニ・モレッティ。
自伝的映画の「母よ、」は誰もが共感する感動作である。

主人公はイタリアの女性映画監督。
入院中の母親の状況は悪くなる一方。
撮影中の映画は問題が山積み。

感動作と記したが、この映画の良さは撮影シーンの笑いにある。
その一翼を担うのが、アメリカ人俳優役のジョン・タトゥーロである。
憔悴している主人公とひたすら対立する俳優。
何せ台詞は覚えてないし芝居は止めるし、文句ばかり。
主人公に責められると、「俺はスタンリー・キューブリックと仕事したんだ!」
そればっかり。
してないのに。

余計に母親と主人公のシーンが泣かされる。
ひっそりとした病室。
それまでの笑いが活きるんだね。
自分が体験して大変だったなと思うのは、合間を縫って母親を訪ねたり苦しむ姿を見たりもそうなのだけど、やはり現実を生きなければならないということ。
それでも生きていく、そして明日がやって来るということ。
そう、明日は当たり前にやって来て、待ってはくれないの。
前向きに生きるモレッティの亡き母への力強いメッセージを感じた。