
「リップヴァンウィンクルの花嫁」には、正直やられたなと。
あまり期待してなかったんだ。
前作「ヴァンパイア」も好きではなかったし。
あの意表を突いたクライマックス。
リリィさんのあの行動で、捩じ伏せられるようにして涙が。

岩井俊二監督はいつも思うことだけど、映画監督らしくない。
映像作家という言葉の方が似合うか?
あれほどファンのいる映画監督も珍しい。
しかもそれは熱狂的なのだ。
映画の撮り方も他の監督とは違うらしい。
スケジュールの中で撮るのではなく、撮りたい時に撮るのだと。
それはもう日本の業界ではなかなかやれないでしょう。
今回も主人公は以前より年齢は上だけど、やはり少女の成長物語として描かれ、そして特に今回は騙されまくって打ちのめされて裸一貫で成長していく。

主人公七海を演じる黒木華さんは、岩井俊二監督好み。
垢抜けないからこそこの役にハマる。
以前ヒロインだった蒼井優さんとも重なる。
岩井俊二監督がAV女優を描くというのも新鮮。
3時間の長尺だけれど、ラストの3人のシーンを見逃すなかれ!

次回はイタリアのナンニ・モレッティ監督作「母よ、」と、アカデミー賞主演女優賞受賞作「ルーム」!