私は私? | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン
先日放送された「ビビット」で紹介された時に使われたのが、この二枚の写真。
どちらも躍動感があってお気に入りの写真だ。






さてさて、ついにジュリアン・ムーアがオスカーを受賞した「アリスのままで」。
その前にカンヌを受賞した「マップ・トゥ・ザ・スターズ」の演技も相当凄い。
この短期間で彼女の演技は、常人の想像を遥かに超える。



若年性アルツハイマー病を患った女性アリスが主人公。
なので観るのはかなり辛い。
不安に怯え、衰えていく彼女の姿に終わりまで息が詰まる。
彼女は完璧主義である。
言語学者であり、超エリートだ。
そんな彼女が講義中に言葉を忘れ、住んでる街を忘れ、家の中で迷い、子供達のことも忘れていく。



家族にも、それぞれの人生がある。
自分の仕事のことでいっぱいいっぱいの夫、舞台女優を夢見る次女。
家族に囲まれて幸せだったはずなのに、彼女は追いつめられていく。
自分が自分を忘れてしまうことを恐れ、ある選択をするのだ。
それはとても悲痛なものだ。
周りの登場人物と同様、我々はどうすることも出来ず、見守るのみ。
やれることは限られている。

自分達の人生もどうしようもないことばかりだ。
楽しいことばかりじゃない。
それを受け入れるしかない。
病気だって死だって、いつかはやって来るのだ。
それが人生。
それこそ人生。
俺もいつかは友達を忘れ、自分を忘れる日が来るかもしれない。
それは悲しいことだが、生きた事実もある。

映画の語り部 市川裕隆より
では、ばーい!