ホイールアライメントは数値上合っているのに、何故か直進時に
左にステアリングが取られる症状について
アライメントの悩みで、ダントツに多いのがこの症状と思います。
パワー・トルクの低いクルマで問題になる事は少ないのですが
トルクフルなV8エンジンを積む500Eや、V12のSL600などにも共通していますが、
右に流れる事は殆ど無く、左に流れる症状ばかり。
それは何故なのかと言えば、やはりキチンと理由があります。
ホイールアライメントを取っているタイヤショップさんや
ディーラーさんなどで良く聞く理由は大概、
「日本の道路は左側通行で道路の中心付近が
降雨時の水捌けの為に盛り上がっており、その為に左に流れる」
と言った理由ですが?
しかし、そんな理由もどうも釈然としません。
その理由が本当で有れば、
「日本に存在する、全ての自動車が左に流れる症状」が、
多かれ少なかれ出ていてもおかしくない筈で、
決してそんな事は無いからです。
では、本当の理由は何なのでしょうか?
その最も大きな理由は・・・
基本的に、殆どの「自動車のエンジンが右に回転しているから
(進行方向に対して左回転)」です。
「はぁ?アライメントの話と関係ないじゃん!?」と
お思いの方も居らっしゃる事と思います。
でも、凄くこの部分に関係が有るのです。
私自身も過去に何台もの左流れのクルマに悩み、
そして掴んだ実際の理由はコレに尽きます。
ご存知の通り、駆動方式FRの場合
殆どの車がエンジンを縦に積んでおり、
そのエンジンのパワーはトランスミッションを介してプロペラシャフトへ、
そしてリアタイヤの中心の(正確には中心で無い場合が多いですが)
デファレンシャル(通称デフ)部分で初めて、
縦方向から伝わって来たパワーを横方向に変換します。
その際、常に一定方向からのパワーの負荷が
リアの車軸には掛かります。
もう大体、お解りでしょうか?
左のリアタイヤはパワーが掛かった時に進行方向前側に、
右のリアタイヤは後ろ側へ行きたがる力が働くのです。
これが長い年月を経て、どうなるでしょうか?
そうです。ゴムのブッシュ類は、
左側のホイールベース(前輪から後輪への距離)を
縮める方向に劣化し、右側はホイールベースを伸ばす方向で劣化するのです。
実際にはブッシュ類だけでは無く、同じく
各ベアリングやボールジョイントの類や
ボディ本体にも、その一定方向への負担が掛かります。
この力の掛かり方というモノは、国産Turboのフルチューン車両などでは
ボディ自体にこの癖が付き、直らないなどと言う場合もございます。
国産チューニング車両以外でも、最近の各メーカーのハイパワー車達では
残念な事にボディを守るどころか、ブッシュの寿命と共にボディの寿命を迎えてしまう
クルマが珍しく有りませんが、往年のメルセデスの場合は安心して下さい。
ボディそのものが考えられ無い程に頑丈な上に、
各所のブッシュやマウント類が、ボディへ負担を与えない為の
ヒューズパーツの役割を果たす素晴らしい設計です。
そもそも元々の発想が、使い捨ての為の自動車造りはしていないのです。
往年のメルセデス・ベンツ達に関して言えば、フューズ部品となる
特に「リア回りのブッシュを換えてからアライメントを取れば直る」と、いう訳です。
パワー・トルクの少ないクルマでは、この問題は殆ど発生しませんが、
ハイトルクな500EやV12搭載車などで左流れの傾向が出易いのはこの為です。
それが、「アライメントデータ上は真っ直ぐ走る筈なのに、走らせると左に取られる」理由です。




