「さっき、この駅の前を通りがかったんですけど
駅はなんて読むんですか?」
と不動産屋さんの、私より随分年が上の女性に聞いた。
「九品仏(くほんぶつ)って読むんですよ。
関西の方だとわからないですよね。
お寺に、九つ仏さんがいらっしゃるんですよ。」
と言う話だった。
私が今住んでいるのは、その駅から近いところにあるけど
九品仏ではない。
今も、家族があそびにきたり、
大阪から友達が来たときに電車に一緒にのることがあると
「このお宅、ちょっと大阪の民家って感じせーへん?」
といって、家を探していたときの話をする。
話がそれてしまったが
そうして、心置きなく、入院することになった。
初めての入院。
しかも婦人科。
女ばっかり。(超苦手。修道院みたいなんかな・・・?)
などいろいろな不安があった。
母と妹は、そんな私をみて
さみしくならないように、いろいろなものを用意してくれた。
枕に巻く、日本手ぬぐい。
レターセット。
新しい白いシャツ。
キャトルセゾンのネル素材のパジャマ。
・・・・
などこまごましたもの。
マグカップをくれたともだち。
ちょっとそこまで旅行に、といえたらよかったけど
からだが弱っていると、逆に何か冴えてくるようなところもあって
彼のお義父さんのことだって気になっていた。
毎年、お正月は家で、ということになっていたけど
今回は失礼させてもらって、、、
と嫁の立場でも考えることはあったけど。
そんなある日。
入院して、2日目くらいに
朝ごはんを食べていたときに、近くに座っていた
同年代くらいの女の子がいて、
ついこないだから、入院してきたharuです。よろしくおねがいします。
(もちろん苗字で言いましたが)
みたいなことをいって、話はじめた。
いつ頃から通って、とかそんなことの後
私が自分の病気について話す前に
「1週間ほど前に、子宮筋腫でおなかを切りました。
縦に切ったんですけど、日に日によくなっていくのがわかります・・・」
と言う話だった。
「え、!?
実は私もそうなんですけど、
縦にって・・・」
と言葉に詰まっていたら、筋腫のできてる場所と大きさで
縦に切ることになったんです。
というはなしだった。
私は多分横のはずなんですけど、縦にって
そんな切り方もあるんですか・・・・。
とまたしても絶句。
聞いてみると、彼女はその病院で
薬剤師として働いていて、その途中に病気のことがわかって
入院したので、入院する前に「壮行会」をしてもらったそうだった。
だんなさんとクライミングが趣味、
という女の子で、
「親戚にケーキ屋さんやってる人がいて、
知ってる~、行ったことある~」
と実家の駅のこと話したとき、言っていた。
理系の女の子と言う雰囲気がして、
銀色のめがねが似合う、かしこそうな感じの印象。
同じ年で、同じ病気、そして地元にケーキ屋の親戚が・・・!?
というので、たちまち「入院ともだち」ができてしまった。
彼女はオガワさん(仮名)といった。
主治医は違ったけど、みてもらってる先生も
宮崎あおい似の、吉永せんせいだそうだった。
修道院での、精神修養合宿も兼ねているかも・・・
なんて思っていた入院生活だったけど
そんな出会いもあるんだなぁなんて思った。
(ちなみに、そのオガワさんとは、
その後もご縁がつづくのです。。)
つづく・・・。
