船長の乾杯で始まった今夜の宴。
いつもはキッチンと甲板を行ったり来たりして料理を運んでいるナギが、今日はほとんど甲板に座っている。
誕生日の宴くらい、ナギにゆっくりお酒を飲んで欲しい。
船長に言ったら、快く承知してくれた。
リュウガ 「そうだな。ナギはいつも料理を作ったり運んだりで落ち着かねぇからな」
ニヤリ、と笑ったのが、なんだか気になったけれど。
ナギにおとなしく座っていてもらうためには、私がいつも以上に動かなければならない。
もちろん、料理を私ひとりで作るのは絶対無理なので、宴の前にナギと一緒に作っておいた。
冷めてもおいしいものや、腹もちするものを準備しておいて、宴の間は、ナギがキッチンで働かなくてもいいように。
いつも「足りねぇ!」とか「○○が食べたい」とか言うみんなも、今日は気を遣って追加のリクエストを控えてくれている。
シン 「酒がなくなりそうだ」
トワ 「あ、はい!僕行ってきます!」
ナギが腰を浮かしかけたのを制するように、トワくんがさっと立って倉庫に向かった。
トワくん、頼りになるなぁ。でも酔っ払っちゃったら寝ちゃうだろうから、その後は私が頑張らなきゃ!
リュウガ 「ナギ、今日はお前の祝いなんだ。たまにはゆっくり飲め」
船長がナギの隣にきて、グラスにお酒を注いだ。
ナギ 「・・・どうも」
リュウガ 「動いてねぇと落ちつかねぇか?今日ぐらい俺に付き合え」
そういって、ナギが空にしたグラスにまた、お酒を注ぐ。
ソウシ 「船長、絡むのはほどほどにしてくださいね」
リュウガ 「あぁ?今夜はナギの誕生日祝いだろ?主役に飲んでもらわねぇとおかしいじゃねぇか」
なぁ?と同意を求めるように、船長が私を見たので、思わず頷いてしまった。
「はい。ナギに、たまにはゆっくりしてもらいたいです」
リュウガ 「だろ?そーいうことだから、飲め、ナギ。おい、お前らもナギに注げよ」
ソウシ 「ふふ。ナギは幸せだね」
シン 「ふん。堂々とノロケやがって」
ハヤテ 「んじゃ俺からも!ナギ兄、誕生日おめでとう!」
みんな、なんだかんだ言いながらナギを祝ってお酒を注いでいく。
ナギ 「・・・どーも」
全部飲みほしてるけど、大丈夫かな?ナギ。
ナギがどれだけ飲めるのか、実は私はよくわかっていない。
トワくんやハヤテさんみたいに酔い潰れたところは見たことないし。
まぁ、食事の支度とかあるから、酔い潰れるわけにはいかないんだろうけど。
ハヤテ 「俺、皿とグラス、取ってくる」
ふらふらしながら、ハヤテさんが行こうとする。
「あ、私、行きます!」
そろそろ、ハヤテさん・トワくんが怪しくなってきたし、ナギもけっこう飲んでるみたいだし。
とりあえず、お皿を持ってくるついでに、お水を持ってこよう。
キッチンで、お皿とグラスをお盆に載せた。
あ、まだ出していないお料理もある…
お水よりこれ持って行った方がいいかな・・・
お水はまた一度戻ってこよう、と、甲板に行くと、ハヤテさんとトワくんがすでに酔いつぶれて眠っていた。
「あれ、二人とも、寝ちゃったんだ?」
樽に寄りかかって静かにお酒を飲んでいるナギの隣に座った。
ナギ 「・・あぁ。まぁ、いつものこと、だな」
寝転がる二人を見て、ナギが、ふ、と笑った。
あ、ナギのこの笑顔、好き・・・
と、まるで私の思いが聞こえたみたいに、ナギが私を見た。
「な、なに?」
ナギ 「・・・」
片膝を立て、そこに頬杖をついたナギに無言でじっと見つめられ、心臓がドキドキしてくる。
月の光がナギの顔に陰影を作って、何だか、妙に色っぽいというか・・・
「あ、私、お水持ってこようとしてたんだった!ちょっといってくるね!」
我ながら不自然とは思うけれど、このままここにいたら、心臓がもたないかもしれない。
逃げるようにキッチンに入り、落ち着こうとまずお水を一杯飲んだ。
息を吐き、自分を落ち着かせようとすると。
カタン、と音がしたので振り向くと、ドアのところにナギが立っていた。
「どうしたの?」
ナギ 「・・・水」
「あ、お水、ね。ちょっと待って」
グラスに水を入れて、キッチンに入ってきたナギに渡す。
一気に飲み干すナギの、喉の動きが目に入って、また、ドキッとする。
・・なんだか、私・・・
いちいちナギの仕草に過剰反応しちゃって、ヘンだ。
ちらり、と見ると、ちょうど私を見ていたナギと、ばっちり目が合い、思わず目を逸らしてしまった。
ナギ 「・・・なに考えてんだ?」
「え?」
する、とナギの腕に体を引き寄せられ、至近距離から見下ろされる。
ナギ 「・・顔、真っ赤になってんぞ」
「え・・っと」
…あなたにドキドキしてました、なんて言えない。
何か言わなきゃ、と思うけれど、何も言えなくて口ごもる。
ナギ 「・・真っ赤になって、可愛いな、お前」
「・・え?」
いま、なんて言ったの?
思わず見上げると、お酒のせいか少し潤んで熱っぽいナギの瞳が、じっと私を見つめていた。
ナギ 「・・・可愛いな」
くい、と顎を持ち上げられ、そのまま唇が触れあう。
「ど、どうしたの?」
普段のナギだったら『かわいい』なんて、絶対言わない、よね。
ナギ 「・・何が」
「え、だって、ナギがそんなこと言うなんて、なんか・・ あ、もしかして酔ってる?」
ナギ 「…あぁ。酔ってる」
そう言って、今度はあちこちにナギの唇が触れてくる。
思わず体の力が抜けた私は、いつの間にかキッチン台に押し倒されていた。
「え・・ちょ・・」
押し返そうとしても、ナギの熱い体は重くて、びくともしない。
ちゅ、ちゅ、と、首筋や耳元から、だんだん胸元へと下りてくる。
ナギの手が私の襟元を開いて、鎖骨に唇が触れる。
「ちょ、ちょっと待って、ここ、キッチン・・」
ナギ 「・・・知ってる」
唇を押し当てたまま、ナギが答える。
シャツの裾からナギの手が入ってきて、思わず体がぴくんと跳ねた。
「や・・んん・・」
ナギ 「・・ここんとこ、してなかった、よな」
「っ…」
確かに、最近、宴や嵐、海軍や他の海賊船と闘ったりして、ナギとゆっくり過ごす時間がなかった。
ナギの手が、服の下でするすると動く。
「だ、め、だよ…っ」
ナギ 「…我慢できねぇ」
!!
ナギの手が私の太腿を撫で上げる…
ソウシ 「…っと、お邪魔、だったかな」
不意にした声に、心臓が止まりそうになった。
ナギ 「…邪魔です」
起き上がろうとする私を押さえつけたまま、ナギは目だけを動かして、ドアの所にいるソウシ先生を見た。
ソウシ 「ふふ、ごめんね。ちょっとお水が欲しくてね」
ナギの言葉にも全く動じないソウシ先生は、いつもと変わらない笑顔で入ってくると、水差しを持った。
ソウシ 「邪魔してごめんね」
「あ、あのっ…」
ソウシ 「でもね、私以外にもまた誰か来るかもしれないよ」
「で、ですよね…っ」
ナギ「…ちっ」
恥ずかしいのをごまかすように言うと、ナギの舌打ちがきこえた。
ナギ 「…しょーがねぇな」
ふ、とナギの体が離れて、ホッとした、けれど。
「きゃぁ!」
体が浮いた、と思ったら、気が付くとナギに肩に担がれていた。
「や、ちょっと…下ろしてっ」
ナギ「うっせー、ジタバタすんな」
「だっ、て、なんでこんな…っ」
ナギ 「邪魔が来ねぇとこ行くに決まってんだろ」
ソウシ 「ふふ。ごゆっくりどうぞ」
ナギに担がれたまま、すれ違ったソウシ先生がニコニコしながら言った。
「ちょ…ソウシ先生・・」
ソウシ「ナギ、手加減してあげてね」
…え?
ソウシ「ナギ、船長に飲まされて酔ってるから、いつもみたいには我慢できないんだよ。ナギも男だからね」
問うように見た私に、ニッコリとソウシ先生が微笑んだ。
「え…え?」
ソウシ「ふふ。部屋には近づかせないようにするから安心して」
ナギ「…お気遣いどーも」
ナギはソウシ先生を振り返ることなくそう言って、私を担いだまま階段を降りていく。
部屋に入り、足でドアを閉めると、ナギは私をベッドに下ろした。
そのまま、組み敷くように手を押さえられ、深く口付けられる。
「っ…」
ふ、と唇が離れた隙に呼吸をしながらナギを見上げた。
ナギ「…エロい顔、してる。たまんねぇ」
「なっ…」
ナギ「…イヤか?」
する、と、手首を押さえていたナギの手が滑り、指同士が絡みあう。
「…イヤ、じゃない」
ナギ 「…だよな」
ニヤリ、と口端を上げたナギの手に、服を乱されていきながら。
「…誕生日、おめでとう、ナギ」
首に手を回して囁くと、返事の代わりのように、優しく熱いキスが落ちてきた…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
酔って、いつもより少しだけ饒舌になったナギに、押し倒されたり、担がれたりしたい。
ただそれだけです…

たまにはサカったバカップルになりたい

あ、私の場合、バカなのはいつもですけどね(・∀・)
とにかくナギ、お誕生日おめでとう!

愛してる

さて、あちこち徘徊して素敵なお話読み漁ってこよーっと(^m^)


の姿は見てみたいし、おざなりで2周目いってみようかな