ぱんぱん!とシーツのシワを叩いて伸ばして、ロープにかけて。


「トワくん、こっちは終わったよ!」


トワ「あ、僕ももうちょっとで終わります!」


干したシーツの合間から顔をのぞかせてニッコリ笑うトワくん。


「じゃあ、カゴ片付けちゃうね!」


お洗濯物を入れていたカゴを、バスルームに片付ける。


よし、お洗濯、終了。


えっと、次は、航海室のお掃除、だったよね。うん。


バケツやモップを持って階段を上がり航海室へ。


途中、キッチンからなんだかすごくいい匂いが流れてきた。


…そういえば、ナギ、朝からずっとキッチンに籠もりっきりだ。


いつもの三食&おやつに、最近はクリスマスや新年の宴用の新作の準備があって、忙しいんだろうな。


夜に部屋に戻ってくるの遅いし、ちゃんと寝てるのかな…


考えながら航海室の前まできた時、前触れもなくドアが開いた。


「きゃ!」


シン「…っと。気をつけろ。掃除をしに来たのか水をぶちまけに来たのかわからなくなるぞ」


ニヤリ、と笑いながら、体勢を崩しかけた私を支えてくれるシンさん。


「す、すみません」


シン「…いや。あぁ、さっき海図を書いていて、インクを少し床にこぼした。一応拭いておいたが、少し手間がかかるかもしれない」


ほんの少しだけ、気遣うようにシンさんが目を細めた。


「あ、はい。磨いてみます!」


シン「…あぁ、頼む。俺は船長室に行ってくる」


ぽん、と私の頭にシンさんの手が落ちてきて、くしゃ、と一撫でされた。


そして、靴音をたてながら、シンさんは歩いていった。


…さて。お掃除しよう。







「…ふぅ」


航海室はシンさんの性格を表すようにいつもきれいに整頓されているけれど、


やっぱりあちこち気になる所があって、終わった時には腕が痛くなっていた。


「んーっ」


思い切り背伸びをすると、すごく気持ちいい。


さて、次は…


あ、食堂もお掃除しなきゃ。


食堂の床を丁寧に拭いていく。


隣のキッチンから、ナギが何かを作っているような音が聞こえてくる。


床を磨きながら、なんだか幸せだなー、なんて思っていたら。


ナギ「…なにニヤニヤしてんだ?」


「っ!」


不意に声がして、まさに飛び上がるほどびっくりした。


振り返ると、いつのまにかバンダナにエプロン姿のナギが立っていた。


「びっくりしたー。」


ナギ「掃除しながらニヤニヤして、んなに床磨きが楽しいのか」


「え?いや別に、そういう訳では…」


隣のキッチンにナギがいて、幸せだなーってニヤついちゃいました、なんて言えないし。


ナギ「…ヘンなヤツ」


ふ、とナギが微笑った。


一瞬だけのその笑顔で、疲れなんてどこかへ消えてしまう。


ナギ「…手、洗ってこい」


「…え?」


ナギ「食って、感想きかせろ」


ナギが視線で示したテーブルには、いつの間にか、お茶とお菓子が並んでいた。


「わぁ、おいしそう!」


手を洗ってから、椅子に座って、改めてテーブルの上にあるものを見る。


レアチーズケーキ、ザッハトルテ、スイートポテトに、彩りのきれいなフルーツゼリー。


少しずつの盛り合わせになっていて、食べるのがもったいないくらい。


紅茶もいい香りがして、なんだかすごく優雅な気分になる。


ナギ「食わねぇのか?」


「なんかもったいないっていうか、迷っちゃうっていうか…」


ナギ「…アホか。食わねぇ方がもったいねーだろ」


ぴし、と軽くデコピンしてきたナギの指を左手で抑えた。


「…ナギ、ありがと」


目を見てそういうと、


ナギ「…いーから早く食え。」


ぶっきらぼうな口調だけど、ちょっとだけ顔が赤い。


ふふ、と思わず笑うと、


ナギ「食わねーなら片付けるぞ」


「あ、やだ!食べます、いただきます!」


お皿に伸びるナギの腕を抑えて、


ぱく、と口に入れたレアチーズケーキは冷たくて、チーズの風味の後に、レモンの酸味が広がった。


「おいしい・・・」


ナギ「…当たり前だ。誰が作ったと思ってる」


「甘さも、チーズとレモンのバランスも絶妙だよね」

あっという間にチーズケーキ終了。


ストレートの紅茶を味わってから、次へ。


「ナギは食べないの?」


向かいに座って、頬杖をついて私が食べる様子を見るナギにきいてみる。


ナギ「…作りながら味見してる」


「そっか」


ん?


じゃぁ、私の味見なんていらないんじゃ…


と思っていると、バタバタと足音がして、勢いよくドアが開いた。


ハヤテ「ナギ兄!あいつ知らね…って、あ!お前、なに1人で食ってんだよ!ずりーっ」


一気に言いながら来たハヤテさんが、私の前のお皿に手を伸ばしたと思ったら


ナギ「…意地きたねぇマネすんな」


ぴしゃり、とハヤテさんの手の甲を、ナギが容赦なく叩く。


うわ、痛そう…


ハヤテ「いってーっ!なんだよナギ兄、俺にもくれよ!」


ナギ「お前はまだ仕事が残ってるだろーが」


ハヤテ「ちぇーっ。んじゃちゃっちゃとバスルーム掃除しちまうか。おい、手伝えよ」


「あ、はい。」


ハヤテさんに言われ、急いで残りのお菓子を食べようとしたら


ナギ「…ハヤテ。バスルームの掃除はお前が船長に言われた仕事だ。責任持って1人でやれ」


ハヤテ「なっ!なんでこいつだけ悠長に菓子食ってんだよ、ずりーっ」


ナギ「…アホ。こいつは味見してんだよ。お前じゃ『うめぇ』しか言わなくて参考になんねーだろ」


えっと…


不満そうなハヤテさんだったけれど


ナギ「さっさと終わらせねーと、仕事を終えたヤツらに菓子食い尽くされるぞ」


ハヤテ「うわっ、やる!バスルーム掃除してくるっ!!」


来た時と同じようにバタバタと足音をたてて、走っていってしまった。


ナギ「…ったく、うるせーヤツだ」


えっと、、いいのかな?


問うようにナギを見ると


ナギ「お前の今の仕事は、味見だ。いいから座って、食え。」


「…はい」


…もしかして、これって。


私を、休ませようとして…?


でも、多分、ナギにきいても、そうだとは言わないだろうな。


…このお菓子だって、全部、私の大好きなものだし。


こういうナギの優しさに、いつも守ってもらってるんだよね、私。


うん。


「…ほんとに、おいしい。ありがとう、ナギ」


なんていっていいかわからなくて。


ありがとう、に、色々な気持ちをこめて、言ったけど。


…伝わるかな。


伝わるといいな。







-NAGI SIDE-


…ったく、あのアホ。


朝からパタパタとあちこちで動き回って、


それは別に悪いことじゃねーんだが。


少しは休めっつーんだよ。


頼まれるままに誰かを手伝って、


ずっと動きっぱなしじゃねーか。


骨惜しみしねぇで働くのはいいことだが、たまには『できない』って断れよな。


隣の食堂を掃除している気配がした。


…よし、強制的に、一休みさせてやるか。


出来上がった菓子を切って、盛り合わせを作って。


あとは、紅茶、だな。


…ったく、手間のかかるヤツだな。


俺が、守ってやんねーと。


The End



P.S.


「できません」と言えない、


人に頼むと説明やら確認やらで面倒なので自分で片付けようとする、


「疲れた」と言えずに頑張ってしまう、


そんなあなたと私に、


そして、そんなあなたと私を支えてくれる大切な人に捧げます。


☆☆Merry Christmas!☆☆




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

こんにちは。


なんだかんだでお久しぶりです。


アメブロでは現在、多数の方の強制退会被害があるようで、


実際に被害に遭われた方に、お見舞い申し上げます。


26日に復旧予定との事ですが、一刻も早い復旧完了を願ってやみません。




私、アホなりに忙しく過ごしていますが、


萌えも忘れずに生きております(^^)v


某乙ゲーの晴明さまと、源義朝さまに萌え萌えです(^m^)




寒さが本格的になってきました。


どうぞお体お気をつけてお過ごしくださいませ。


さて、萌えは程々にして、年賀状デザインでも考えよっとガーン







.