…暑い。
船長の気紛れで『神秘の島』とやらに向かっている。
世界一美しいビーチがあるとか。
海なんていつも見てんだろ、と思わなくもねーけど。
何か新しい食材が手に入るかもしれねーな。
と、パタパタと足音が近づいてきた。
コンコン、と軽いノックの音。
「…アリアか」
アリア「うん。入ってもいい?」
「…ああ。ちょうどいい。手伝え」
アリア「うん!あ、かき氷ごちそうさまでした。おいしかった!」
アリアはニコニコしながらキッチンに入ってくると、シンクにたまった皿やボウルを洗い始めた。
アリア「あ、そういえば、さっき船長が日焼けオイル探してたよ。どこにあるか知ってる?」
「…あるよ。倉庫の奥だ」
アリア「さすがナギ!でも船長、日焼けオイルなんて、すっかりリゾート気分だよね。そんなにキレイなビーチなのかな」
「…俺は海には入らねぇぞ」
アリア「うん、わかってるよ。でも、少しのんびりしたいな。お散歩とか」
「…あぁ。たまにはいいな」
アリア「やったー!楽しみ~」
屈託のない笑顔。
…昨夜とは別人だな。
アリア「…ナギ?何笑ってるの?」
「!…別に」
無意識のうちに緩んでいた口元を引き締めて、俺は目の前の仕込みに集中した。
「おい、まだか?」
アリア「ちょ、ちょっと待って!」
…ったく、女の着替えってのはなんでこうも長ぇんだ?
水着なんて、んな時間かかんねーだろ?フツー。
船長にもらった水着に着替えるアリアの、念のための護衛ってことで、俺はビーチから少し離れた茂みの近くに立っていた。
…ガサゴソと着替え音が妙に耳について落ち着かねぇ。
アリア「…っと、できた。えっと、出るけど、笑わない?」
…なんで笑うんだ?
「お前の水着姿はんなに面白ぇのか?」
アリア「そうじゃないけど…」
「ごちゃごちゃ言ってねーでさっさと出てこい。来ねーなら行くぞ」
アリア「わわっ、待って、出るからっ!」
カサカサと茂みの向こうから、アリアが出てきた。
…っ!
アリア「えっと…ヘン、かな?」
言葉を失った俺を、不安そうに見上げるアリア。
「…別に。ヘンじゃねーよ」
アリア「そう?よかったー」
安心したように笑う。
…そう。ヘンじゃねーよ。
…なんつーか・・
「その…似合ってる」
アリア「ほんと?うれしいっ!」
ボソッと呟いた言葉に、ぱぁっとうれしそうな顔をしたアリアが、いきなり抱きついてきた。
「っ!アホ、外でこんなことすんな!」
アリア「あっ、ごめん!うれしくてつい」
ニコニコと笑う顔はいつものアリアだが、いかんせん、目の遣り場に困るっつーか…
次の港に着いたら、念のためもうちっと露出の少ない水着を買っておかねーと。
俺だけじゃなく、あいつらもいることだしな。
アリア「ナギ?どうしたの?」
「…いや、別に… っ!」
ふと見た、アリアの胸元。
…昨夜刻んだ痕がいくつか。
やべぇな。シンや船長が、見逃す訳がない。
「…着てろ」
俺は自分が着ていたTシャツを脱いで、アリアに渡した。
アリア「…え?なんで?」
「いきなり日焼けすると体によくねーから」
適当な言い訳を言うと、アリアは腑に落ちない様子ながら、大人しくシャツを着た。
トワ「お帰りなさーい…って、あれ?アリアさん、シャツ着てるんですか?」
アリア「あ、うん…日焼けしちゃいそうだし…」
ソウシ「それもそうだね。日焼け止め持ってくればよかったね。ごめんね、気付かなくて」
アリア「あ、いえ、そんな」
ハヤテ「別に日焼けなんかしたって構わねーだろ?つーか、むしろ焼かねーと!」
リュウガ「ははっ、女だからな、そういう訳にゃいかねーんだよ」
シン「…ナギのシャツ着てるのが、妙にいやらしいな」
アリア「なっ、なんでですかっ?」
…一気に騒がしくなった。
シャツ着せて正解だな。
息を吐いて、ふと、ビーチとは反対側の森を見た。
…食材調達に、あとで木の実でも採りに行ってみるか。
あいつも散歩してぇって言ってたしな。
トワ「あれ、ナギさん?」
「あ?」
トワに声をかけられて、顔だけ振り向いた。
トワ「ここ、どうしたんですか?傷が出来てますけど」
トワが背中を見ながら言った。
…傷?
「なんかの古傷だろ」
トワ「いえ…新しい傷で…なんか、猫にでも引っ掻かれたみたいな」
…!
やべぇ、と思って体の向きを変えたが、遅かった。
船長やシンが、ニヤニヤと笑っていた。
シン「…トワ。バカなこと言うな。なぁ、ナギ?」
リュウガ「はははっ!若いなぁ、お前達!」
…ちっ。
トワ「え?なんですか?どういうことですか?」
シン「ナギの部屋には猫がいるからな」
ニヤリと笑ったシンが、アリアを見ながら言う。
トワ「猫?ナギさん、いつのまに猫さん飼ってたんですか?」
リュウガ「ははは!夜になると、猫が出るんだよなぁ、ナギ!」
ハヤテ「え、ナギ兄んとこ、猫なんかいたのか?」
トワ「うわー、見せてくださいっ!僕、触りたいです!」
シン「ったく、お前達はガキだな。」
リュウガ「おいおいトワ、ナギの部屋の猫に触ったら、鎖鎌が飛んでくるぞ」
シン「ま、これでアリアがシャツを着てる本当の理由もわかったな」
シンが意味ありげにアリアを見て言った。
リュウガ「ははっ!ナギは猫に引っかかれて、アリアは吸血鬼に食われたってことか!」
ハヤテ「はぁ?ネコに吸血鬼?全然話が見えねーんだけど」
シン「ガキにはわからないだろうな」
ソウシ「シン、あんまりからかうものじゃないよ」
…諫めながらも、ドクターは苦笑いを隠そうとはしていない。
きょとん、としているトワとハヤテ。
真っ赤になって俯いているアリア。
・・・ちっ。
「・・・おい、食材探しに行くぞ」
アリア「えっ・・ あ、はい!」
このままからかわれ続けるのはカンベンだ。
アリアの手首をつかんで、森へと歩き出した。
リュウガ「おー、行って来い!森ではホドホドにな!」
シン「水着だと、さっさと始められて便利だな」
好き勝手に放たれる言葉は聞こえないフリをして、森へ入って行った。
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アリアさん、お名前拝借しました!支障がありましたら差し替えますのでご一報くださいませ。
番外編「妖精の国」をプレイしていて、猪が出てきて。
そーいえば、猪って、神秘の島でもでてきたよね、と思いだして、
ナギにお姫様抱っこされようと(&裸ナギ見たさで( ´艸`))、神秘の島をプレイ。
そして妄想、といった具合です。相変わらずの駄文で申し訳ありません。
男性ばっかりのなかに、ヒロインちゃんが水着。
そりゃーからかわれるよねぇ。
そして、そんなヒロインちゃんの恋人は、気が気じゃないよね・・
お前の水着姿なんて、俺だけが見ればいーだろ。しかもキスマークついてるし、と、
シャツを着せちゃうナギ様でした。
さて、金曜日ですね。
少し早いですが、みなさま、よい週末を('-^*)/