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妄想小説 恋に落ちた海賊王 -病める時も- ⑩
トワ 「ゆりさん、大丈夫ですか?」
ハヤテ 「病み上がりで出歩いたから、ぶり返したんじゃね?」
晩メシの集合場所になっていた酒場。
ゆりの不在の理由をきかれ、歩き疲れたから宿の部屋で寝ている、と告げると、
トワとハヤテは言葉通りに受け取ったが。
シン 「ぶり返したんじゃなくて、大方、ナギに疲れさせられたんだろうが」
リュウガ 「手出せないのに、世話してる間に煽られて、たまってたんだよなぁ。しゃーねーだろ」
ソウシ 「無理させないようにって、言ったんだけどね・・・」
この3人には、さすがにバレちまってる、な。
俺はあえて何も言わずに、適当に酒を飲み、食いものをつまんだ。
リュウガ 「ゆりは、ハラ減らねーのか?」
「あとで店に行くなりして、適当に、食わせます」
シン 「今はナギで満腹、ってわけか」
ソウシ 「シン! ・・・まぁ、ここなら夜中でも空いてる酒場もあるしね」
リュウガ 「今からでも連れてこねーか? コトの後の、イロっぽいゆりも、見てみてーもんだ」
・・・んな目で見るヤツがいる所に、連れてこられるか、っつーの。
船長相手に罵るわけにもいかず、俺は黙って酒を飲んだ。
リュウガ 「さて、じゃぁ、俺は行くところがあるからな。明日の朝、港でな」
店をでて、今夜の宿に帰ろうとすると、船長が一人、別方向へと歩き出した。
シン 「船長、お供しますよ」
ソウシ 「まったく・・・ 船長、あまり羽目をはずさないようにして下さいね。シン、よろしく頼むよ」
リュウガ 「わかってるって」
シン 「努力しますよ、ドクター」
ひらひらと手を振って、船長はシンと夜の街へ消えていった。
トワ 「船長、また全財産つぎこんだり、しないでしょうか・・・」
ソウシ 「ふふ。半分は私が預かってるから、すくなくとも、全財産をっていうのはないよ、大丈夫」
いつもの笑顔で言うドクター。やっぱり、この人がシリウスいちばんの権力者、だな。
部屋に戻ると、ゆりはベッドで静かに眠っていた。
わずかに差し込む月明かりに浮かぶ、昼間見せた艶っぽい顔とは全く違う、子供のような無邪気な寝顔。
引き寄せられるようにベッドの端に座り、頬に触れると、少し身動きをして、重たげに瞼が開けられた。
ゆり 「ん・・・ ナギ? ・・・おかえり、なさい。食事、済んだの?」
・・・まだ少し、声が掠れている。
「あぁ。他の奴らも、もう戻ってる。お前はハラ減らねーのか?」
ゆり 「うーん・・ 減ってるような、そうでもないような・・・」
「なんだよ、それ。何か食うなら、まだ開いてる店あるぞ?」
んんんー!とベッドの上で伸びをして、ゆりが起き上がった。
俺の隣に来て、同じようにベッドの端に座る。
ゆり 「ナギ、疲れてるんじゃない?眠くないの?」
足をぶらぶらさせながら、俺の顔を覗きこんだ。
「別に、疲れてねーよ。行くか?」
ゆり 「うん!」
ぴょん、と勢いをつけて立ち上がったゆりが、振り返って俺の手を引っ張った。
つられて立ち上がった俺が軽く抱き寄せると、ゆりは両手を俺の首に回して抱きついてきた。
「お前・・・また煽りやがって。んなことしたら、出かけられなくなるぞ?」
ゆり 「え・・っと」
あわてたように手を解いて、少し体を離したゆりに、ちゅ、と軽く触れるだけのキスをした。
「ま、それはまた後でも、な。明日は朝飯の準備をする必要もねーから、ゆっくり寝てられるし、な。」
わざとニヤリと笑って言ってやると、意味を理解したようで、ゆりは顔を赤くして、俯いた。
ゆり 「きれいなお月さまだね」
「あぁ。」
比較的静かそうな酒場で軽く食べ、宿への帰り道。
少し欠けた月が空に浮かんでいた。
ゆり 「船の上で見る月もいいけど、こうやって街で見るのもいいね」
「そうだな」
手をつなぎ、指をからませながら、歩く。
ゆり 「ね、ナギ」
「あ?なんだ?」
ゆり 「ありがと、ね」
「・・何がだよ?」
ゆり 「看病してくれたり、こうやって夜の街に連れ出してくれたり。ありがと」
「・・別に。礼を言われるほどのことじゃねーだろ」
ゆりの言葉がくすぐったくて、わざと素っ気なく言うと、ゆりはふと、足を止めた。
する、と体を寄せて俺に向き合うと、両手で俺の頬をやわらかく挟んだ。
火照った頬に、少し冷たい手が、心地いい。
ゆり 「ううん。みんなの食事を作ったりして忙しいのに、私の世話までしてくれて。すっごくうれしかったんだよ?」
「・・・」
あまりにもまっすぐな瞳と言葉に、咄嗟に返事ができない。
ゆり 「具合悪いと、普通、心細くなるでしょ?でもね、私、平気だったよ。ナギがいるから、って」
「・・・なんだよ、それ」
ゆり 「最初に、夜中に目が覚めた時。私が寝るまで、抱きしめてくれてたでしょ?」
「・・・あぁ、ドクターんとこに連れてく前、な」
ゆり 「そう。あの時ね。『この腕の中にいれば、大丈夫』って、思ったの。ナギがいてくれるから、大丈夫なんだ、って。」
「・・・・」
ゆり 「ナギがいない時も、ナギの匂いがするベッドで寝てたから、なんだか抱きしめられてるみたいで、安心できたし」
「・・・ワケわかんねー」
ゆり 「ふふ。とにかく、ありがとう。」
ふわ、と微笑んでそんなことを言われ、愛しさが湧き上がる。
「ま、俺が具合悪くなったら、倍返し、しろよ?」
軽口のつもりで、そう言うと。
ゆり 「うん。元気な時も、弱っている時も、ナギのいちばん近くに、いたい」
「・・・」
ゆり 「そばに、いさせて、くれる?」
この、心臓をつかまれたような、妙な感覚は、何なんだ。
・・・コイツ、は。
何の武器も使わずに、俺の心臓を、止められるかもしれねーな。
衝動のままに抱きしめると、ゆりは俺の背中に手を回して、シャツを掴んだ。
ゆり 「・・・好き。大好き、ナギ。大好き、だよ」
「・・・アホ。何回も、言うな」
俺の方が・・ きっと、惚れてる。
元気だろーが、病気だろーが、関係ねぇ。
他の誰でもない、お前だから、だ。
言えねーけど、な。
口に出せない代わりに、思いが伝わるように、と、抱きしめる腕に、力を込めた。
THE END
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なんか中途半端な終わり方で、すみません
ずるずる長くなりそうなので、半ば無理矢理・・・
短編でサラッとまとめられる才能が欲しいなぁ。
妄想ネタはけっこうあるんですが、、、長さとか、けっこう難しいです。書いてるうちにキャラが好き勝手に動き出して収拾つかなくなるし。
このお話も、5話くらいで終わるはずだったのに、倍の長さになってしまいました![]()
才能&修行が全く足りていませんね。反省点だらけです・・・
ここまでお付き合いくださった方に、最大の感謝と愛情をこめて
ゆり@ジャスミンティー