☆ 北斎漫画 (1981) 松竹 | ゆうべ見た映画

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矢代静一原作  新藤兼人監督


『富嶽三十六景』、『北斎漫画』で春画の大家としても知られる

葛飾北斎と 娘・お栄の一生 

そして 生涯の友・滝沢馬琴との交流を描いています。
 

新藤監督の中では 
とびきり派手な感じの作品で 私、大好きです。

 


大昔、
大河ドラマ『太閤記』の 拳さんの雑誌の切り抜きで
手製の栞を作って 教科書に挟んでいた
そんな可愛い頃もあった ジャスミンです。


お話。



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鉄蔵(葛飾北斎) 緒形拳  娘・お栄 田中裕子

 

 

鉄蔵は 貧しい百姓の生まれだが

幼い頃、鏡磨師・中島伊勢の養子となった。

 

抜群の絵の上手さで 幾人もの絵師の弟子となったが

その奔放さから、すべて破門された。

 

今、鉄蔵と お栄(13歳)の親子は  
下駄職人の左七の家に 居候している。

 

 

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佐七 西田敏行

 

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佐七の女房・お百(もも) 乙羽信子

 

左七は 読み本作家に なりたいと思っているが
13も年上の女房・お百は それを許さず 
左七が読本を読むのも 気に入らない。

さらに、朝から晩まで絵を描いている

居候の父娘にも 我慢がならない。

 


さて 近頃、自分の絵に 行き詰っている鉄蔵は
ある晩、お直という女に出逢い
ひと目で この女にのめり込んだ。

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 お直 樋口可南子

 

 

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しかし、お直を描くことで 
壁を突き破ろうとした 鉄蔵だったが
お直の持っている 魔性を描き切れず、持て余し

養父の中島伊勢に お直を譲り、小遣いをせしめた。

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 中島伊勢  フランキー堺

伊勢は 幕府御用達の鏡磨師という身分だが
その伊勢までが 次第に お直にとり憑かれていく。

 


 鏡だらけの 伊勢の仕事場での 幻想的なシーン。

 

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やがて おかしくなって、青白くなって、
首を括って死んでしまう 伊勢。


その頃、左七の女房・お百も亡くなった。

亡くなる間際 お百は言った。
「よく我慢したね、立派な作家になっておくれ」


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それから左七は 堰を切ったように書きはじめ
やがて 

流行作家・滝沢馬琴となった。


馬琴の『椿説弓張月』は 大人気となり

鉄蔵が 北斎の名で描いた挿絵も 巷で大評判となるが

北斎は思うところあって 放浪の旅に出る。

 

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旅の集大成 『富嶽三十六景』


歳月は流れ

 


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老いぼれ三人組。
北斎・八十九歳  お栄・七十歳  馬琴・八十二歳。

 

同時代を生きた 

喜多川歌麿 (愛川欽也)も、

式亭三馬 (大村崑)も、十返舎一九 (宍戸錠)も 死んだ。

 


ある日、お栄が お直と瓜ふたつの娘を連れてきた。



北斎は狂喜し 娘を裸にすると

ふたたび 「お直」の魔性に挑戦する。


巨大な蛸が 裸女に絡みつく図。

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春画 『喜能會之故眞通 蛸と海女』 



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やがて 馬琴が亡くなった。


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さびし・・ 「馬琴よぉ・・・」 


「だけど、俺ぁ、百一歳の夏に死ぬと決めている。
 九十歳からの五年で 西洋画を勉強し 九十九で総仕上げ
 百歳で 納得のいく絵が描けるだろう」

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「そのときが、楽しみで、楽しみで、わくわくすらぁ」


しかし
北斎は九十歳で ころりと死んだ。

 

 

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樋口可南子さんと 田中裕子さん。
この頃の女優さんの 体当たり演技は 見事でしたね。

樋口可南子さんは 
着物を着てないシーンの方が 多かったかも。
大胆だけど 下品じゃなく 綺麗でした。

田中裕子さんは  

前年にテレビ『マー姉ちゃん』で デビューしたばかり。

翌年の『ええじゃないか』と この『北斎漫画』で

日本アカデミー助演女優賞・新人賞受賞。

 

終盤「老いぼれ三人組」の 

カックラ・キンかと思うほどの 絶妙なかけ合いも 

名だたる演技派俳優 二人を向こうに回し

恐ろしく 達者で上手い。


最初から 出来上がってた感がありましたね。

 

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だいたい、13歳を そのままやれる女優さんは 

そうはいない。