懐かしドラマ「恐怖の二十四時間・連続殺人鬼 西口彰の最期」 | ゆうべ見た映画

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そして「ちょっと休憩」など 入れてます。


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中島丈晴 脚本 深町幸男 演出


1991年にフジテレビで放送された
「実録犯罪史シリーズ」の中の 一本です。



西口彰は 実在した人物で

昭和38年・10月から12月の 3か月間に
福岡、静岡、東京で 5人を殺害・現金を奪い

 

他に10件余りの詐欺・窃盗を働き 
全国指名手配となりましたが 翌年の7月、熊本で逮捕されました。


このドラマは フィクションを交えて

西口の 熊本での 最後の一日を描いたものです。

 

完全 最後まで 書いてます ご容赦ください。 
 
 

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西口彰 (役所広司)



昭和39年7月25日 

熊本県・玉名市のバス停に
大きな鞄を下げた 太縁眼鏡の男が降り立った。


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途中、掲示板に貼られた 手配書を見る男
彼こそが、西口彰だった。


西口はその足で
福岡刑務所の教戒師 篠川禎淳を訪ねるが
篠川は一家で外出しており 留守だった。

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篠川家の 郵便物を盗む西口。


翌日、再び 篠川を訪ねた西口は
「弁護士・川村角次」の 名刺を出し


この地で地道に 冤罪事件防止活動をしている 
篠川に協力するため 東京からやって来たと言う。

これを聞き、篠川と妻は大いに喜び 「川村角次」を歓待する。

 

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篠川貞淳 (河原崎長一郎)

本業は住職である。

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その妻 (丘みつ子)

篠川家は 他に、妻の母、娘二人、息子二人の 七人家族だが 


その中で、11歳の末娘は 「川村」を 
毎日、通学路で見ている 手配写真の「西口彰」であると直感し
父に訴えるが 聞き入れてもらえない。

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「何を言う、あの方は東京の優秀な弁護士さんだ。

 わざわざ、あちらから来て下さった。

 ウチにとっては、幸福の使者なんだぞ」

 

「違うわ、悪魔の使者よ」


盗んだ郵便物から知った 篠川の知人の名前などを持ち出し
饒舌に語る 「川村角次」の西口。


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「もちろん、私は手弁当でやりますよ。

 報酬なんて、戴くつもりはありません」


弁護士バッジは 東京で殺害した
老弁護士から 奪ったものである。

 


しかし、今夜はこの家に一泊することになり

 

時が経つにつれ 西口の言動に 

次第に訝しさを 感じるようになる篠川。


篠川が管理する運動資金の額を 幾度となく聞き出そうとしたり
(これが、ここに来た目的である)
 
自身が卒業した東大法科の 著名な教授を知らないなど
弁護士としての基礎知識に 欠けていること 

更に、家族に聞こえよがしに 
地方裁判所などに掛ける電話が 一人芝居であることが露見。


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親子電話。


また、母娘が こっそり覗いた西口の鞄の中に
盗まれた篠川家宛ての手紙を発見。


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深夜、妻は隠れて駐在所に走り 警察に通報。

 

 

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何にも知らない 

おばあちゃん(三崎千惠子)だけを除き

 

家族は 一家皆殺しの恐怖に おびえながら

表面は平静を装い 


7月27日・午前 西口は逮捕された。


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「僕は弁護士の川村だ、バッジが見えないのか!」

 

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思わず手を合わせる篠川。

 

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「篠川さん、篠川さん、福岡でまた、会おう」

最後まで 妙に快活に

「川村角次」を 演じる西口。


とにかく、役所広司さんがいいです!

上手い演技とは こういうのを言うのだと 改めて納得する。

ちょっとしたことに声を荒げ、傲慢でありながら
篠川の妻の 家庭内の悩みごとに 

親身になって 相談に乗ってやったり


また、篠川の 18歳の長男・巧は 
実は妻の連れ子であり 父の篠川を嫌い
グレて高校にも行かず、小遣いをせびっては 家で暴れるが
 

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巧 (角田英介)


このとき、居合わせた西口が 彼を殴りつけ 
別の部屋に引きづり込んで そして、本気で諭す。


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さすが、西口の凄い迫力。

 

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「あんなに、いいお父さんがどこにいる
 こんなに、いい家庭がどこにある」


「若い時に身を誤るな、世間を敵にするな」

その夜、西口と布団を並べて 寝かされた巧は
夜中に蒲団を被って 泣く西口を見た。


西口にも 別れた妻の元にいる 高校生の息子がいたのだ。

 


この西口を 役所さんは充分に咀嚼し
完全に、自身の「西口彰」を創り上げている。

 

普通の表情をしている時さえ 怖い。


役所さん、このとき35歳。

さすが200倍の難関を突破、

仲代さん主催『無名塾』出身 凄い才能なのだ。
 

 

そしてやはり、 篠川家にとって 

或る意味、西口は 幸福の使者だった。

 

事件が新聞に 大きく取り上げられた為
冤罪防止運動には 日本各地から協力者が名乗りを上げ

 

そしてまた 逮捕寸前、張り込む刑事たちの

不穏な空気を察知した西口は 急に帰ると言い出し

長男の巧に無理やり、バス停まで送らせようとするが

 

篠川が強引に、自分が送ると 人質を買って出る。

父の心が 息子に伝わった瞬間だっただろう。

 

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巧役の角田英介さんも良かった。

 

 


この「西口彰事件」は 
何度も映画化、テレビドラマ化されており

今村昌平監督『復讐するは我にあり』の 緒形拳さん他
根津甚八、室田日出男、柳葉敏郎さんなどなどが 

西口を演じています。



 
西口彰・本人
昭和45年12月 福岡刑務所で処刑。

 

 

DVDが無いのが残念なのですが

VHSは レンタル出来ます。