にごりえより 「大つごもり」 (1953) ☆ | ゆうべ見た映画

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懐かしい映画のブログです。
ときどき、「懐かしの銀幕スター」「読書」など
そして「ちょっと休憩」など 入れてます。



 樋口一葉原作   今井正監督    モノクロ


ラストには とてもいいお話が用意されています。

 

この映画を観てみようかな、と思う方は
どうぞ、この記事はスルーして下さいね。



十二月十五日 はれ
いと寒し 薄霜降りたる。


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 みね (久我美子)

 


資産家の家で 女中奉公をしている
みねは 
ある日、半日ばかりの暇を貰って
叔父の病気見舞いに行く。


幼くして両親を亡くした みねを
親代わりとなって  育ててくれた叔父一家は

今は極貧の暮らしにあり 八歳の三之助までが 
しじみを売って 生計を助けている。

 

 

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 叔父夫婦 (中村伸郎・荒木道子)

 


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「さんちゃん、この肩に てんびんを担ぐのね」


ここで、みねは 叔父夫婦から
大晦日までに ご主人に二円の前借りを
してくれないかと頼まれる。

 


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 大晦日。



主人は 朝から魚釣りに。
女主人と二人の娘は 街に買い物に出た。


みねがひとりで 暮れの掃除やら 
正月料理の支度で てんてこ舞いの中

不意に この家の長男・石之助があらわれる。


石之助は 主人の先妻の子で
後妻のあやとは なさぬ仲であり


今は別所帯を持ち 時折りこうして
お金の無心にくる 放蕩息子である。

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 石之助 (仲谷昇)

 

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「この家ほど、奉公人の居つかぬ家はない。
 昔は・・、俺が子供の頃は そんな事は無かった」


主人たちが留守と聞くと 石之助は
ちょいと酒の支度を してくれないかと 茶の間に入って行ったが

みねが お膳を運んでいくと
石之助は横になって うたたねをしていた。

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そこへ帰って来た 女主人と娘たち。
石之助がいるのを知ると たちまち嫌な顔をする。

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 主人・あや (長岡輝子) 次女 (岸田今日子)


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「この、大晦日で忙しいと言うのに・・」


ここでみねは おずおずと あやに二円の前借りを切り出すが 
あやには 無慈悲に断わられる。

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この直後、あやは 嫁に行った長女が 
産気づいたとの知らせに ふたたび家を出るが

出がけに、二拾円のお金を 
茶の間の手文庫に 仕舞っておくよう
みねに言いつける。


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途方に暮れる みね。 
夕方には三之助が お金を取りに来る約束である。

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表から聞こえて来る 

何の苦労もなく遊び興じる この家の姉妹たちの声。

 

 

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切羽詰まったみねは ついにその中から
二円を抜き取った。



日暮れになり 主人たちが戻ると
あやは ねばっていた石之助に
五拾円をお歳暮代わりと渡し この家から追い払う。

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更に
大晦日の夜は 押し詰まり


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そろばん、台帳を前に 主人夫婦は
お金の収支決算をはじめた。


「みね、おみね、」

言いつけられて 茶の間の手文庫を 
持っていく みね。

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中をあらためる主人の前に 観念し
今しも告白しようと 頭を下げるみねでしたが 



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その刹那、 主人が驚きの声をあげる。

「お金が無い!」


そして
「おやまあ、こんなものが・・・」


手文庫の中には 一通の置き手紙が。

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「引き出しのお金も 拝借致し候 石之助」



昼間 茶の間で横になっていた 石之助は 
みねの行動を すっかり見ていたのです。



仲谷昇さんは この映画が初出演だったそうです。