*今日はギュタバン『34』『35』あげてます。『36』を0時に上げる予定です。
*またまた、勝手にコラボさせてもらいました、いつものように事後で承諾は頂いてます(笑)
今回はこちらから…
この間、やっとお部屋から出ることが出来て、嬉しくて堪らないお猿さんと虎さん。
お揃いのピザ柄のTシャツを着て楽しそうに遊んでいます。
知ってた?あのクッキー
フォーチュンクッキーのこと?
そう、あのクッキー大きいお馬さんのお手製だって
え、
あれね、一つ一つ、中に入れるおみくじから全部書いてるんだよ
ええっ
忙しいのにね
そう、大きなお馬さんは、世界中を飛び回ってとっても忙しいのです。
忙しくて、忙しくて、大好きなペンギン君と一緒にいられません。
ペンギン君も大きなお馬さんがいなくて、寂しくて寂しくて。
ペンギン君が寂しくて死んじゃわないように、大きなお馬さんはお友達として、ぬいぐるみをたくさん用意してくれました。
そのぬいぐるみを、大事におなかのポケットにしまって遊んでいるうちに…
ある満月の夜…
ぬいぐるみが生き生きと動き出して、おはなしを始めました。
大きなお馬さんとペンギン君の思いが、魔法をかけたのでしょうか。
それからは、みんなが遊んでくれるので、寂しくないもん、とペンギン君は大きなお馬さんに言っていました。
それなのに、最近ペンギン君が寂しそうにしてるから、
大きなお馬さん、寝る間も惜しんで、クッキーを焼きました。
一つ一つ中に入れるおみくじに、
大切に文字を書いて。
クッキーも焼いたことがないのに、
料理上手のウサギさんにおそわりながら。
真面目な大きなお馬さん。
真剣に作業して、
箱一杯のクッキーを焼きあげました。
そうして、すやすや眠るペンギン君の枕元にその箱を置いて、また、お仕事に行ってしまいます。
ペンギン君はそんなことも知らず、その箱を開けてみましたが…
「ふん!こんなの…頼んでないしっ…」
そう言ってほったらかしにしていました。
そんな様子を見ていた、お馬さん。
大きなお馬さんの努力を知っているので、一生懸命考えました。
そして、ブタさんに頼んで、あのTシャツを取り寄せてもらったのです。
ペンギン君が、兄さんたちのTシャツに憧れて羨ましがっていたのを知っていたから。
なのに最初は失敗して、ピザのTシャツは自分と同じサイズにしてしまって…
途中で入らなくて、最後は鋏で切らないといけないことに。
それで、しょげてしまったペンギンさんのために、今度は大きな白いTシャツを用意しました。
猫さんとひよこさんも真っ白なTシャツを着て楽しそうに遊んでいるのを、遠くから羨ましそうに見つめていたペンギン君の姿を見ていたのです。
今度こそ、大丈夫と思ったら。
ペンギン君、ちょっと乙女心があったようで…
見るからに大きなサイズのTシャツにショックを受けて、拗ねてしまいました。
困ったお馬さん。
そうだ、大きなお馬さんが作っていたクッキーを思い出して…
今度は大きなクッキー柄のTシャツです。
ブタさんの所に一緒に行って…
そしたら、ペンギン君、大激怒!
「もう、諦めたんだから!もういいの、諦めたの!」
大きな声でそう言いながら、お馬さんを残して、ペタペタ走って行きました。
「キュヒョナ…」
残されたお馬さん、とっても寂しそう…
一人で暗いお部屋でいじけてるペンギン君。
そこへ、ウサギさんがぴょんぴょんやってきて、後からカメさんもゆっくりやってきます。
「ねえ、そんなにしょげないで。」
ウサギさんがペンギン君の背中を擦りながら優しく声をかけます。
カメさんも、ペンギン君のお腹のポケットを擦りながら
「ほら、元気出して」と。
「イヤだ。どうせ、どうせ、僕は大きなTシャツしか着られない…」
そんな風に言って俯くペンギン君。
「ほら、これ見て」
ウサギさんがベッドの枕元に置いてある箱を持ってきて声をかけます。
「なに?」
不機嫌に細めた目でそっちを向くペンギン君。
ウサギさんが箱を開けて、中から一つクッキーを取り出しました。
「ほら、割ってごらん」
そう言われて、渋々、クッキーを手に取ると、パリっとクッキーを割ってみます。
中から紙が一枚。
ペンギン君も、このクッキーがおみくじなのは知っています。
「割ったよ」
不貞腐れて、そう言いながら、ウサギさんに紙を渡そうとします。
「ちゃんと、読んで」
そう言われて、面倒くさそうに紙をひろげて、見てみると…
《キュヒョナ、大好き。
ポッケのおなかもとっても可愛い💕》
「何、これ…」
「これ、大きなシウォナが一生懸命、手作りしたんだよ」
「えっ、手作りなの?」
ペンギン君は、大きなお馬さんがこれを作ってくれたなんて知らなくて。
忙しくて逢えないのを、買ってきたクッキーで誤魔化されたと思っていたのです。
「最近、寂しそうにしてたでしょ、大きなシウォナ忙しくてお家にいないから。
だから、大きなシウォナ、キュヒョナへのメッセージをいっぱい書いてクッキーにしたの」
「どうして?」
「自分がいなくても、キュヒョナに愛のメッセージ、届けたいからじゃない?」
そう言ってウサギさんはニヤニヤして。
「ほら、そんなに揶揄わないで、あっちに行こう」
カメさんに諫められたウサギさんは、カメさんと一緒に部屋を出ていきました。
「シウォナ…」
手元の紙を見つめているうちに、涙が溢れてきて、その文字が滲んできます。
「逢いたいよぉ…」
そう言いながら、シウォナの愛のメッセージの書かれた紙を大事にお腹のポケットにしまうペンギン君。
ポケットの上から、もう一度、大事そうにそっと触って。
「シウォナ…」
もう一度、愛しい人の名前を呼びました。
しばらくして、お部屋から出てきたペンギン君。
外で心配そうにしていたお馬さんに謝ります。
「ごめんね、僕、八つ当たりしちゃって」
「ううん、大丈夫だよ。僕もキュヒョナの気持ちも考えないで、大きいサイズ用意しちゃってごめんね。」
「ううん、ありがとう。でも、あの柄、恥ずかしいから、お部屋でこっそり着ようね。」
そんな風に言って、二人はあのTシャツをお部屋で二人だけの時に着ています。
そんな二人が、Tシャツを着て一緒に眠っているのを、夜中に帰ってきた大きなお馬さんが微笑みながら見つめていました。
「おやすみ、キュヒョナ…大好きだよ…」