27万4,000人(最新予測)に及ぶ労働者が恩恵を受けると見込まれる制度の実現を果たし、2日付明報によると、香港の7カ所でデモが行われた。
先陣を切った親中派労組の香港工会連合会(工連会=FTU)は1日午前10時から、深水ホの楓樹街球場を起点に油麻地までデモ行進。政府に対し、基準労働時間の立法化と退職後の生活保障を求めた。主催者側の発表では4,000人、警察発表では2,500人が参加した。
工連会の呉秋北理事長は「制度が守られているか監視を強化していきたい。併せて最低賃金の水準を早く引き上げるよう政府に求めていきたい」と述べた。
民主派系の主要労組、香港職工会連盟(職工盟=HKCTU)は、同日午後3時からデモを開始。ビクトリア公園からセントラルの政府本部まで行進した。途 中、高級オフィスビルとして知られるセントラルの長江センターでは、デモ参加者が柵を乗り越えて敷地内に進入しようとしたところ警察に阻止されたほか、政 府と大財閥の蜜月を風刺する活動が行われた。
同デモには主催者側発表で3,100人、警察発表で2,000~2,300人が参加。職工盟の書記長を務める李卓人・立法会議員は「次の目標は団体交渉権の確立。インフレが進行する中、生活水準を守るため、企業の利益を従業員と分かち合うことを望みたい」と述べた。
■制度の「犠牲者」も
一方、人件費上昇を嫌気する経営者がリストラを進め、4万人の職が失われるとの予測もある。
天水囲に住む威さん(19)は、最低賃金制度の「犠牲者」を自認する。もともと倉庫勤務員として週6日、1日9時間、時給26HKドルで働いていたが、2カ月前に最低賃金制度の開始を理由にリストラされたという。
配送員を務める父親、飲食店勤務の母親もともに減給となり、月々の生活は逼迫。今の希望はいち早く再就職してお金を貯めた上で進学し、さらにより良い職業に就くことだ。
コンピューター部品会社の事務員を務める群さん(34)は最近、7月以降、雇用形態を正社員からパートに切り替えるとの経営者名の通知を受け取った。時 給は上がるものの、勤務時間が減らされるため、実質的に減給を突きつけられた形。もともと6,500HKドルの月収は5,000HKドルほどに減る見込み だ。両親を養わなくてはならない群さんは「不満は不満だが、解雇が怖いから従うしかない」と嘆く。
■失業率「最悪0.4ポイント悪化」
労働・福祉局の張建宗(マシュー・チュン)局長は1日、現在3.4%の失業率について、「今の良好な経済環境を考えれば制度開始による影響は大きくない と考えており、最悪でも0.4ポイントの悪化にとどまるだろう」との見通しを示した。労工処は1~2日にかけて、職員34人を約200社に派遣し、制度に 違反していないか検査する。
また、制度開始がインフレを助長するとの見方もある。
制度の影響を受けやすい飲食店ではメニューの値上げが相次いでいる。ある学者は、各国の経験を基に2~3カ月後には数字上の影響が顕在化すると予測。賃金上昇率を超えるインフレ率悪化を引き起こす可能性もあると指摘している。
<メモ>
―最低賃金制度の影響(政府などによる予測)―
・賃金が上昇する労働者数 27万4,000人
・同制度による新たな失業者数 4万人
・勤務時間が削減される労働者数 19万人(年間延べ3,500万時間)
・赤字に転落する企業数 1,700社
・インフレ率押し上げ効果 0.4ポイント
出典:1日付蘋果日報
