渋谷東急ハンズ前のサイゼリヤ
互いに仕事終わりの為
夜の七時に待ち合わせ。
先に僕が店内に入り、れいこを待つことにした。
タバコを一本吸い終わる頃に
れいこの姿が見えた。
「お待たせー」
電話の時とは違う普段のれいこの声だった。
「安心した!!」
あまりペットのことは触れずに会話は進んだ。
「先週の○×○×の番組見た?」
「あの映画、面白そうだよね」
中学生のような話ばかり
まだ僕たちは、二人になると気分は
中学生のままのようだ。
れいこの元気な姿を見られただけでよかった。
帰り際、れいこが忘れかけていたかのように
「私、実家に帰るかも」
「へー、何日間ぐらい帰るの?」
僕が聞くと
「違うよ!地元に戻って仕事しようかなと思ってるの」と
答える れいこ。
「えっ 何で?」
「なんとなく」
あまりにもひどい理由だ。
「ペットが死んだのが原因か?」「仕事で何かあったのか?」
僕には理解できなかった。
それからというもの、、、、、、、、、、
頭の中はれいこのことでいっぱいになった。
「何で帰っちゃうんだろう」「またひとりになっちゃうのか」
結論を言うと「帰って欲しくない」というのが
本音だった。
これまで、何度 れいこが支えになったことか
僕の中で「れいこ」の存在は大きくなっていた。
ただ、僕に れいこを止める権限はない。
虚しいばかりだ・・・・・・・・・
長めのバイブレーションが鳴る。
電話の着信だ。れいこからだった。
「もしもし」
「もしもし、私 来週の土曜日に帰るね」
れいこが言った。
現実になってしまった。
「もしかしたら、あの発言はウソだったんじゃないか」と
期待していた自分もいたからだ。
それにしても急すぎる。
「荷造りとかはしてるの?」と聞く
「まだしてない」
「荷造り、手伝おうか?」
「えっ本当に?じゃ、お願いしちゃおうかな」
複雑な思いだったが、少し嬉しかった。
せめもの恩返しの気持ちがあった。
れいこが帰る土曜日までの間
空いている時間は荷造りの手伝いをした。
仕事終わりに毎日のように手伝った。
どんどん土曜日に近づいていく。
土曜日、、、、、、、、、
東京駅から新幹線で帰る れいこを
僕は見送ろうと考えていた。
休日の東京駅は旅行に行く人たちで
ごった返していた。
僕とれいこは
なぜか照れくさそうに、あまり多くを語らなかった
「帰省した時にまた遊ぼうよ」と言うと
「うん。連絡してね。」と
れいこが言う。
東京駅から家に戻るあいだに
頭の中では れいことの思い出で溢れた。