1,量子コンピューターでできること
各国で研究が進む「量子コンピューター」ですが、その処理能力はスーパー・コンピューターの5億倍から50億倍といわれ、目下、急ピッチで進められている「第二次HAARP計画}において、月や火星へ人員や物資を搬送するのに不可欠な「量子テレポーテーション」を可能にするテクノロジーです。
例えば、新素材や新薬の開発には膨大な分子構造の組み合わせをシュミレートしなければなりませんが、これを可能にするのが量子コンピューターによる「化学計算」です。
また、主に「AI」を補完するものとしての「機械学習」があります。これはコンピュータ自身が、あらゆる起こりうる将来予測や分類などのパターンを学習していく技術で、需要予測、生産工程の最適化、人材配置の最適化などのほか、自動運転の際の予期せぬ事態をも想定し対応する「ディープ・ラーニング」への応用が期待されています。
さらに、後に述べる「量子アニーリング」によって「組み合わせ最適化処理」を可能にし、交通渋滞の緩和や物流コストの削減、“空飛ぶ車”や“空飛ぶ住居”などの実現を可能にします。例えば、交通渋滞の緩和でいうと、同じ目的地を最短で目指すドライバーが、すべて同じ最短ルートを使う(部分最適化)とすると交通渋滞が起き、結果的には時間がかかってしまうといった事態の回避(全体最適化)を可能にしますが、このことは現在、すでに完成している「ドローン型空飛ぶ車」の利用に際しても当てはまるテーマです。
最後に挙げる「量子テレポーテーション」は、人や物の瞬間移動を可能にする技術ですが、目下、人類の移住先として月や火星で進められている、大気圏や水を生み出す「第二次HAARP(高周波活性オーロラ計画)」の推進に不可欠なテクノロジーです。
しかし、その構造や基礎となる「量子理論」の難解さから、一般の理解が進んでいません。
そこで今回は、「量子コンピューター」について、理数系出身者やコンピューターの専門家でない人でも理解できるように、最低限の基礎知識をわかりやすく解説します。
2,量子回路型コンピューター
まず、量子コンピューターには、「量子回路型」と「量子アニーリング型」の二つのタイプがあります。
いずれも、超電導状態を実現した「希釈冷凍機」の中に量子チップを実装し、制御装置としての従来型の「古典コンピューター」とユーザー側の古典コンピューターをクラウド(仮想空間)上でつないで利用します。
そして、「回路」には、通常の電気製品で使われる、電源と回路素子を導線でつないで電流を流し、“初め(on)”と“終り(off)”がある「電気回路」や、これまでの「古典コンピューター」で使われてきた、半導体を使ってデジタル信号を送ったり止めたりし、“0”と“1”を論理素子として演算を行う「論理回路」があります。
これに対し、量子コンピューターでいう「量子回路」とは、「古典コンピューター」上に“仮の回路”を作り「量子的処理」、すなわち「量子ビット」という計算の最小単位である量子素子を作って(初期化)、これに「量子操作」をしたうえで「計算結果の読み出し(測定)」を行うことで演算(計算)を処理するものです。
ちなみに、昨今、進歩の著しい「AI」は、量子コンピューターの「機械計算」という機能を利用することもありますが、基本的には、決められた手順(プログラム)に従って一定の動作を「制御」するもので、「演算」を目的とするコンピューターとは対象領域や機能が異なります。
量子操作には、以上述べた「量子回路型」の「量子ゲート操作(量子入力)」のほかに、「量子アニーリング」という操作があります。
3,量子アニーリング型コンピューター
量子アニーリングとは、「量子揺らぎ」と呼ばれる、粒子でも波動でもない膨大な確率論的な状態のパターン(量子重ね合わせ状態)を情報処理に導入し、揺らぎを徐々に弱めて「測定(量子観察者効果)」によって安定状態、すなわち数値を得る計算技術のことです。
この量子理論の特徴の一つである、粒子でも波動でもない「量子揺らぎ」の状態は、通常、「ブロッホ球」と呼ばれる、地球儀上の緯度と経度を模倣し球体上に描かれた二つの線が直交する点として視覚的に表現されます(緯度=確率振幅、軽度=複素位相)。
古典型コンピューターでは「0」と「1」しか表現できませんが、量子コンピューターでは、北極を「0」、南極を「1」に例え、最終的には「0」か「1」に確定(測定)されるのですが、そこに至る過程には、球体の中心から伸びた矢印が示す、“算盤の玉”のような無限の“確率論的な状態のパターン”が存在し、これを利用することで同時に莫大な情報処理が可能となるのです。
さらに詳しく述べると、無限の状態パターンの中から一定の法則を導く「統計力学」の手法を応用して、格子状に配置された、それぞれが前後左右に影響力を持つスピン(量子スピン)と呼ばれる小さな磁石(磁性体)を想定します(イジングモデル)。
これらスピンの向きのうち、「上向きを負=0」「下向きを正=1」として扱いますが、これらは放っておくとそれぞれが影響し合い、すべてが「上向き=0」か「下向き=1」になり、エネルギー的に安定的な状態(基底状態)になりたがります。
そこで量子アニーリング型コンピューターでは、「アニーリング操作」によって計算値を求めるため、エネルギー(熱エネルギー)を徐々に下げて「量子揺らぎ(0と1の両方の可能性を持った状態)」を弱くする一方で、「0」か「1」に自然かつ一時的に安定した複数のスピンの群れを、全体として一つの「0」か「1」に確定させます。
通常は、「1」というエネルギー的に安定した状態(エネルギー0)から、「0」というエネルギー的に不安定な状態(エネルギー1)に戻すことは、「エネルギー1」と同等以上のエネルギーを必要とするため不可能です。が、量子コンピューターでは、量子の性質により、あたかも“トンネルを抜ける”ようにエネルギーの壁をすり抜けることができるのです(量子トンネル効果)。
ちなみに、量子理論の一方の状態である「波動」は、「時間」が“結晶化”したものです。このことは、例えば、水面に石を投げ込むと、時間の経過とともに次々と波紋ができ、外側に向かって広がりますが、これを横からみると波動になることからわかります(波線は0,直線は1)。
ただ、ここにいう量子理論の特徴である「量子揺らぎ(量子重ね合わせ状態)」も「測定(量子観察者効果)」も「量子トンネル効果」も、量子アニーリング型コンピューターだけではなく、量子回路型コンピュータにも当てはまりますが、量子アニーリングでは、「組み合わせ最適処理」という限定された枠の中での利用を実現するため、操作の対象となる量子数が限られる点に違いがあります。
量子アニーリングは、1998年に東京工業大学の門脇正史教授と西森秀稔教授によって理論的に提案された計算技術で、提案から10年余り経過してから、カナダのバンクーバーに設立されたベンチャー企業D-Wave Systemsが、世界初の商用アニーリングマシンD-Waveを発表しました。
その後、ほぼ2年に1度のペースでハードウェアの更新が行われ、D-Waveの中に搭載された超伝導量子ビットの個数が2倍程度増加し、現在では、2048個の超伝導量子ビットが集積されたハードウェアD-Wave 2000Qが最新の量子アニーリングマシンとなっています。
4,量子テレポーテーションについて
最後は、量子理論の特徴の一つである「量子もつれ効果」を応用した量子操作の一つ「量子テレポーテーション」のメカニズムを紹介します。
まず、状況設定として、量子回路型コンピューターでの「量子ゲート操作」で、「一方の量子ビットで起こったことは他方の量子ビットでも起こる」という特殊な相関関係(量子もつれ状態)にある二つの量子ビットを作り、一方を事前に相手方に渡し、相手方はそれを持って離れた目的地に行きます。
次に、出発地に残された量子ビットの中にある「制御ビット」側に「重ね合わせ状態」を入力し、他方の「状態ビット」側には「送りたい(再現したい)状態」を入力します。
そして、制御ビット側に出力と入力し「測定」すると、「量子観察者効果」によって「00」「01」「10」「11」のいずれかが25%の確率で出るという計算データが出ます。この操作を複数の量子ビットを作って繰り返し、その結果値を電話やメールなどの「古典通信」で遠く離れた相手側に送ります。
それを受け取った相手が、教えてもらった測定値を自分が持ってきた量子ビットに量子ゲート操作で入力すると、自分が持ってきた量子ビットは送り主が送りたい状態として再現されます。
このメカニズムは「量子もつれ効果」を応用したものですが、そこにはさらに、「波の山」と「波の谷」を使って、「山と山」あるいは「谷と谷」をぶつけると、確率振幅の増加によって「大きい山(正)」あるいは「大きい谷(負)」ができ、「山と谷」「谷と山」をぶつけると打ち消し合って確率振幅が低下し「平坦(ゼロ)」になるという「波の干渉効果」が影響しています。さらに、「山」と「谷」がどの程度のものかは、前述の「複素位相」によって確定します。
以上が「量子テレポーテーション」のメカニズムですが、さらに詳細は
⇒ https://ameblo.jp/karaokegurui/entry-12575391691.html を参照してください。


