(前回からの続き…)

 

㊹また、憲法のもう一つの原理である「民主主義(国民主権)」に関しても、民主主義は国民世論の上に成り立つ制度です。が、世論は生まれながらにして自然発生的に出来上がるものではなく、教育機関と報道機関を使った巧みな情報操作と刷り込みによって形成されているのが実態です。

 

㊺さらに、「民主主義」のもう一つの問題点は、"ヒューマニズム"という名の「利己的、唯物的な人間至上主義」を前提にしている点にあります。このヒューマニズムは、中世教会の権威とそれを背景にしてきた絶対君主制に対抗する意味で生まれてきた思想です。

 

㊻が、裏を返すと、大衆をして「際限のない自我の肯定」という罠に陥れる危険をはらんでおり、その結果、自分たちの考えだけが正しいという独善と、異教徒、異民族への干渉、侵略を生む根拠となったのです。例えば、奴隷解放宣言をしたリンカーンも黒人や先住民には選挙権を与えませんでした。

 

 

㊼加えて、「際限のない自我の肯定」は、利己的な自由放任経済を選択した結果、恐慌や貧富の格差をもたらし、これに対する反動としての強大な国家権力の介入という「全体主義(ファシズム、共産主義)」と、それとの戦いというパラドックスを抱えています。

 

㊽目下、世界では「対イスラム戦争」という形をとっていますが、これら人類の争いは、「際限のない自我の肯定」とユダヤ・キリスト教的な「一神教的価値観」によって生み出されたものだといえます。

 

(次回に続く…)