先日のレイクハマナトライアスロンのレース中に、
バイクの途中で倒れていて心肺停止状態だった選手の
心肺蘇生に携わらせていただきました。
ずっと経過が気になっていました。
もし何かあったら新聞に載るんじゃないか?
いつも以上に新聞をチェックしていました。
皆様も、彼のその後の経過が気になっていることと思います。
先週から情報があったのですが、
うかつな情報を流してはいけないと思い、報告していず、
元気なことがはっきりしたら報告しようと思っていました。
先週に、
別のSNSを通じて、友人の方からお礼の言葉と、
生きてらっしゃる!ということを知らせていただきました。
今週に、
レイクハマナのバイク編の記事に、
友人の方とご本人からのお礼のコメントをいただきました。
そして昨日、
レイクハマナの運営サイドの知人の方から、
お礼の言葉をいただきました。
そして現在のご本人の様子を知ることができました。
まだ入院はしていますが、
今のところ何の後遺障害なく過ごされている!!
ということでした。
先週の知人からのメッセージ、
今週の知人、そしてご本人からのメッセージ、
昨日の運営サイドの方からのお礼と報告。
その都度、
涙が出ました。
助かってよかった
何よりそれが一番です。
そして・・・
自分がやったことは無駄じゃなかったんだ。
生命の力って素晴らしい。
でも、
やっぱり医療者としては、
どうしても反省せざるをえません。
誰も手当てをしなかったら絶対に助からなかった症例です。
昨日運営サイドの方から、
お礼だけではなくお願いをされました。
次回に向けて整備しておくべきことはないのか?
やはり助かったとはいえ、
一時的に心肺停止状態。救急車出動。
警察も黙っていません。
事情聴取が大変だったようで、まだその対応に追われているらしいです。
大会存続と生命を天秤にかけてはいけませんが、
今回、助けられるはずの命が助からなかった場合、
来年のレイクハマナは開催できなくなってしまう可能性があります。
たまたまじゃいけないんですよ。
昨今、死人が出ているトライアスロンのレースで、
手当てが遅かったから助けられないなんて許されないのです。
今回はいわゆるどこでもやられている救急蘇生を、
"マニュアル通りに行った"に過ぎないのです。
命が助かってよかった。
個人の命は何よりも尊いですが、
正直なところ、
我々はいつ、どこでどんな病気になるかわかりません。
恐らくその方も、今まで異変を感じたことがなかったからトライアスロンに挑んだのです。
いずれ、
運営者の方と、
その時の詳しい状況と
そういうことを想定して、何を用意するべきか、
そして、心も含めて運営者がどういう準備をしておくべきか、
という話し合いの場に参加させていただくことになりそうです。
ワタシは救急領域に配属されたことがありませんので、
ちゃんと答えられるように、救急のエキスパートの友人に今回の症例を伝えて、
どうするべきだったか詳しく聞いておこうと思っています。
ここからはワタシの反省です。
助かったからいいという問題ではないのです。
○駆けつけたとき、ワタシは半分パニックでした
人が倒れてて呼吸してないんですよ!!
「何があったんですかーーーー!?」
ってなってしまいますし、声にも出ます。
主になってチームを動かしていた医師に、「シッ!」みたいな反応をされ、
状況を教えていただきました。
いくら医療者とはいえ、路上での心肺停止の人を見るのは初めてです。
ワタシがパニックになるのですから・・・
マーシャルの方々もほとんど固まっていました。
冷静にできることを考えることが大事です。
○役割分担
ワタシを含めて4人の医療者が心肺蘇生を行っていました。
それに夢中になっていました。
やっと心拍が再開されて、
そこまで10分以上かかっていました。
医師が本人に呼びかけようとして、
「名前は??」ってなった時に、
誰もその人の名前を知らなかったわけです。
ゼッケンをつけてるわけですし、
もしそれで助かったとしても助からなかったとしても、
家族にすぐ連絡をしなきゃいけないと思います。
そこで初めて、ゼッケンを確認し、お名前を知ったのです。
ワタシの反省としては、
医師が3名もいたわけですから、
マーシャルと名前を確認するとか、本部と連絡をとるとか、
場合によっては家族に直接連絡するとか、
心肺蘇生以外のするべきことを考えて行動しなければいけなかった。
と思っています。
○物品
AEDはありましたが、汗でパッドがうまくつかなかったようです。
選手はトライスーツくらいしか着ていないので裸同然です。
ワタシが心臓マッサージする時も汗で滑ってやりにくかったです。
汗を拭くタオル類をAEDと一緒に用意してあったらよかったと思います。
途中、口から唾液があふれ出ることがありました。
その時もぬぐうものがなくて困りました。
何かタオル、
あとは今回ほどのことがなかったとしても、
バイクで落車すればガーゼ類も欲しくなるはず。
トライアスロンは基本的に自己完結で自分のものは自分で用意する。
のでしょうが、血だらけでDNF状態の場合は周りが何とかするしかないですよね。
ということで救急用具一式は欲しい。
マーシャルの方々はあまりの緊急事態に固まっていました。
しょうがないと思います。
医療者のワタシでもパニックでした。
でも今回行ったのは、
あちこちでやられている救急蘇生をマニュアル通りにやったに過ぎません。
じゃあその状態の時に、
誰が心臓マッサージをするのか、AEDを管理するのか、
では、他の人は何をするべきなのか?
そういうことを想定して事前準備をしておかなければならないのだと思います。
ということをレイクハマナの運営の方々とお話しすることになりそうです。
次の10/1の磐田のトライアスロンでも同じことが起きませんように・・・
で、ワタシとしてできて良かった点ですが、
(反省ばかりじゃしょうがない。できたことはできたと自分で認められることも大事なことです)
○数秒考えたけど全てを覚悟してその場に入ることができた。
邪魔しちゃうかもしれない、リーダー役割は荷が重過ぎる、時間切れ覚悟など。
ずっとその場にいて思っていましたが、
ワタシが今勤めているのは癌終末期の病棟。
心の準備がある程度はできているはずなのに、最期の悲しみは非常に大きいです。
じゃあ今回みたいに「トライアスロン行ってくるね~」を最後に生きて会えなかったとしたら、
家族はどれほどの衝撃と悲しみを受けるでしょう・・・
本当に必死でした。
○自分の心臓マッサージは的確だった。
ワタシが心臓マッサージをしている時、医師が頚動脈を触っていて、脈拍を確認できていました。
ちゃんと心臓を圧迫できている証拠です。
頚動脈以上に血流が行けば脳のダメージを回避できます。
○救急車に乗せる前、医師が動き回る選手をなだめている間、選手の荷物をひとまとめにし、救急隊員に手渡せた。
大事な私物です。気がついたら思い入れのある装備を紛失していたなんてかわいそ過ぎます。
以上です。
マラソン、トライアスロンに看護師が参加する意義とは?
怪我してるくらいだったら運営サイドの救護班に任せようと思っていましたが、
生命の危機に瀕している場合は必ず手を出そう。
と決めていました。
こういうことが起きないことを切に願いますが、
もしまた次にこういうことがあったら、
次は冷静に周りを見て的確に動けるようにしたいと思います。
本当に助かって良かった・・・
またその方とどこかのレース会場でお会いできますように・・・
今日は準夜勤。
昨日までの疲れが癒えていずノートレ!
夜中の1時過ぎに仕事が終わって雨がなかったら走りに行こう!
応援ありがとうございます(^^)
