“光は闇の中で輝いている”

新訳聖書「ヨハネ福音書」の一節です。

 

私はクリスチャンではありませんが、世界各地から災害や戦争の悲報が届くたびこの一節を心の中で唱え、絶望の淵に沈みそうな魂をつなぎとめ、勇気と希望を奮い起こすようにしています。

 

 

イスラム組織ハマスによる攻撃の報復として、イスラエル軍がガザ地区への軍事作戦を開始してから1か月が過ぎ、双方の死者は1万1000人を超えました。そのうちの1万人以上がガザ地区での犠牲者であり、しかもその4割が子どもだったと、ガザ地区保健当局は発表しています。

 

地上侵攻を進めるネタニヤフ政権は国際社会からの休戦要請に応じることなく、ハマスを壊滅させるまで攻撃を続ける構えで、人道危機は悪化の一途をたどり歯止めがかかる見通しはまったく立っていません。

 

こうした中東での軍事衝突により世界の関心が急速に低下しているウクライナ戦争でも、ロシアとウクライナ両軍の死傷者は既に50万人に迫るという推計が伝えられ、民間人の死者はウクライナだけでも9000人を超えています。

    

人類が直面する悲劇は戦争だけではありません。地球温暖化の影響で昨今は風水害や旱魃など、大規模な自然災害が世界各地で急増しています。

 

大地震も頻繁し、例えばトルコ・シリア大地震での死者は約6万人にのぼり、強権的なアサド政権と対立する反政府勢力が支配するシリア北西部だけで、今も400万人以上が支援を必要としています。

 

 

このまま世界は闇に閉ざされてしまうのでは…と絶望感に襲われそうになりますが、闇が深ければ深いほど光はより強く輝くもの。

 

今年も学院での子どもたちの活躍が沈みがちな私の心を照らしてくれ、もうひと頑張りしてみようという力を与えてくれました。

 

 

中でも今春、作新学院にとって大きな光となったのが、東京大学文科二類に最高得点で現役合格した小杉あかりさんです。彼女は幼稚園から高校までの15年間を作新で過ごしました。

 

中等部では生徒会長を務め、高校でも「地球環境クラブ」で社会貢献活動に取り組んだ小杉さん。幼い頃から取り組んで来たバレエを高3の夏まで続け、プロのバレリーナを目指す同期生らとともに高校最後の舞台では、子どもの頃から憧れていた大役をやり遂げました。

 

周囲からは「(受験勉強に集中するため)バレエは高1の夏までにした方が・・・」という声もあったようですが、彼女の意思は微動だにしませんでした。一方、バレエを続けているから成績が下がったと言われないよう、より一層学業も努力しトップの成績を維持しました。

 

また、今や作新高校のお家芸となった英語ディベートコンテストでも活躍、全国大会で準優勝を果たし世界大会に進みました。

 

その高い英語力や社会貢献活動などを評価され、今夏には1年生ながら東京大学のインターンシッププログラムに派遣されたそうです。

 

また授業では、トライリンガルを目指し中国語の講座を履修。毎日授業があるこの講座は、入学時の英語の成績上位1割程度の学生しか履修が許されない狭き門だそうです。

 

そんな彼女から先週、大学内で国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)で働いている方から話を聞く会があり参加したというメールが届きました。

    

メールを受け取ったその日、ちょうど私もUNRWAとユニセフ、日本赤十字にガザ人道危機救援金を送付していたので、偶然の一致に驚くとともに、時間を割いてヒヤリングに足を運んだ彼女の姿勢に頭が下がりました。

 

日本にもこうした学生がたしかに存在しているという事実は、さらなる“光”となって私の心を照らしてくれました。

 

 

折しも、高校野球では硬式野球部が7年ぶりに関東大会で優勝。全国10校の王者たちと明治神宮大会に駒を進め、来年春のセンバツ甲子園大会での活躍も期待されています。

 

 

また2016年、作新学院が夏の甲子園大会で全国優勝した際にエースを務め、現在、西武ライオンズで活躍している今井達也投手が井端監督から「侍ジャパン」に召集され、こちらも人々の心に希望の光を灯してくれています。

 

 

“光は闇の中で輝いている”

 

闇に負けない強く豊かで温かい光を、こんな時代だからこそ生み出せる。そんな作新学院であり続けたいと思います。  

 

 

 

 

 

  (画像出典:1枚目「ユニセフ」 2枚目「AP」 4枚目「スポーツ報知」 最後「ユニセフ」)