桜の頃を通り越し初夏のような陽光が降りそそぐ中、3月1日、作新学院高等学校の卒業式が行われました。

コロナ発生以来、従来通りの式典がずっと開催できない日々が続いていましたが、今回の卒業式では3年ぶりに保護者の方々にも(各家庭1名限定ながら)ご臨席いただくことができ、待望の校歌斉唱もマスク着用の上で歌うことが叶いました。

     
    


  
三拍子の学院校歌を3番まで久々に歌い終えると、さすがに万感胸に迫り、理事長として祝辞を述べ始めた瞬間思わず涙が溢れそうになりました。

当たり前の事なんてきっとこの世には一つもない、何気ない日常と気にも止めず過ごしているすべての事が、実は絶妙のバランスと安定のもとに出現している奇跡であり恩寵なのだと実感した瞬間でした。


今年度の卒業生は在学中の3年間、ずっとマスク生活を余儀なくされ、修学旅行をはじめとした各行事や部活動の大会などが幾度も変更あるいは中止となり、悔しく悲しい思いを味わった生徒たちです。

しかし、そうした特別な環境に置かれたからこそ、他の世代にはない忍耐力や適応力、創意工夫や弱者への思いやりといったパワーを、コロナ世代と呼ばれる子どもたちは身に付けて来ました。

中でも今年度に高校を卒業する子どもたちは、小学校に入学したその年に東日本大震災を経験しています。

それだけに、傷ついた人々に寄り添う気持ちや、思い通りに行かない環境でも挫けず前向きに立ち向かう力、何事にも謙虚に感謝する心が自ずと育っていると感じます。

分断が進む社会の中で、この子たちは将来きっと大きな役割を果たしてくれる、天もきっとそれを期待して彼らにこのような試練を与えたのだと、私は理解しています。

 

 

 

 

 


そんな卒業生に学院生活最後の日にとびきりの思い出をと、情報科学部の教諭たちがサプライズで用意したのが、超特大の「卒業証書」を模った記念撮影用パネル。

本物そっくりでなかなか良くできているので、私も卒業生やその保護者の方と記念撮影をさせてもらいました。
 

 

 

 

 


コロナ前までは式典が終わると、卒業生全員と一人ひとり握手して送り出していたのですが、それがまだできない淋しさを埋めてくれる貴重な思い出の一枚となりました。

 

 

 

 

 


“光は暗闇の中で輝いている”

そんな新約聖書「マタイ伝」の一説が現出したかのような、まさしく“光満ちたり”な卒業式でした。

特別な経験を重ねることでより強く優しく成長した卒業生たちが、今度は自分たち自身が“光”となって世の中を照らして行ってくれることを、心から願ってやみません。


※ 作新学院校歌は「光満ちたり (はて)しなき・・・」で始まる