この春夏と県大会で連覇を果たした作新学院中等部の野球部が、現在開催中の関東大会で埼玉県優勝校を4-0で破り、全国大会出場を決めました🙌🙌🙌

 

作新、それも野球部が全国大会に進んだって当然じゃない?と思われるかもしれませんが、中等部はちょっと違うんです。

 

たしかに今夏だけでも、作新学院高等学校では軟式野球部をはじめ27の部活が全国大会へ出場していますが、栃木県で作新中等部と言えば国立大附属中と並ぶ進学校として評価・認識をいただいています。

 

その中等部がスポーツで全国大会に出場するということは、かつて我が母校である都立国立(くにたち)高校が都立高史上初めて甲子園出場を果たしたと同じくらい(古い話でスミマセン・・・😅)、奇跡的な出来事なのです。

 

 

作新教育の根幹をなす3本柱は、「文」「武」、そして「社会貢献」。

 

これまで学習や社会貢献という分野で、常に高いパフォーマンスを上げ学院をリードして来た中等部が、身体的には小柄で華奢な選手が多い中、その「人間力」によってスポーツでも全国大会への切符を手にしてくれたことは、作新が掲げる一つの理想がカタチになったという思いで、もう感無量です😭

 

 

さらに今大会ではエポックメイキングなことが、もう一つありました。

 

作新の主力選手として、女子選手(荒田裕菜さん)が活躍しているのです。

 

 

高校野球と違い中学校では、女子選手も実力さえ認められれば男子と同様に同じグランドでプレーし、全国の頂を目指せます👍

 

今夏の甲子園大会では、野球部の部長を務めながらも高野連の規定により地方大会にすら出場できなかった女子選手が、開会式の入場行進で先頭を歩いたことが大きく報じられましたが、そんな中途半端なことをするよりも、中学校のように男女の区別なく正々堂々と、実力で高校生同士が勝負できる大会となることを願ってやみません。

 

 

さて、振り返ればこの一年、作新高校の硬式野球部にも色々なことがありました。

 

10年連続出場を決めた昨夏の優勝報告会では、事もあろうに選手たちが入場の際も退場の際も来賓席に対し脱帽も一礼もしないという、前代未聞の事態が起きました。

 

しかもこうした非礼や感謝の欠如はこの時に限ったことではなかったため、指導者に対し厳重注意を行いましたが、その後、反省の弁は誰からもありませんでした。

 

結局、10年連続出場という作新にとって節目の甲子園大会にもかかわらず、院長・理事長ともに毎年欠かさず行ってきた選手宿舎への激励も取りやめ、恒例であった記念品の贈呈も行いませんでした。

 

そして試合後、指導者に対し理事長である私から次のように伝えました。

 

「作新野球とは、すなわち“人間力”野球。

にもかかわらず、選手たちが礼節を欠き、感謝を忘れた言動を取り続けるのであれば、それは作新の名折れである。

だから、もう私は君たちのために天には祈らない。

来年からは、自分たちの力だけで勝つように。」

 

そしてこの夏、高校硬式野球部に与えられた結果が、県大会準決勝での延長サヨナラホームランを浴びての惜敗でした。

 

天の守りを失い甲子園連続出場記録が途絶えたことは、院長も私も納得していましたが、この夏も作新を変わらず応援し、連覇を期待してくださった皆様方には、大変申し訳なく思っています。

 

 

さて、硬式野球部の応援はしないと伝えた後も、作新野球の守り神である各神社には、例年と変わることなく毎月お供えや参拝を続けていました。

 

中等部野球部の3年生たちも、修学旅行先の京都で北野天満宮に参拝し必勝祈願を行いました。

 

関東大会直前には、左肩骨折から初の長距離となる院長の運転で、作新野球の守護神である箱根神社に詣で御祈祷をあげていただきました。

 

 

その御神徳の賜物として、全国初の甲子園春夏連覇を果たした昭和37年からちょうど60年となる今日まで、作新学院が白球に込め積み重ねて来た熱い思いは、この夏、真の文武両道である中等部の全国大会出場という新たなカタチとなって開花しました。

 

 

この夏の野球をめぐるドラマを受けて、中等部と高校の硬式野球部の間にも新たな連帯が生まれました。

 

実はこれまで中等部野球部は、学院外のグランドを借りて練習していたのですが、関東大会の直前練習のため学院硬式野球場を中等部に使わせてほしいと、高校硬式野球部に声を掛けたところ、心よく午前中を中等部の練習時間に充ててくれました。

 

さらに、中等部野球部の主将・渡邊捷真君の兄は、昨年の甲子園大会で作新高校のキャッチャーを務めた主力選手で、渡邊主将も甲子園で活躍したお兄ちゃんの背中を追って、ここまで頑張って来ました。

 

高校から中等部へ、そして中等部から高校へと、野球部を結ぶ絆もより強く太いものとなりました。

 

 

様々な思いが交錯したこの夏ですが、作新の“魂”とも言える「人間力野球」の第二章がこの夏、始まったことを実感しています。

 

実は、箱根神社から御祈祷記念にいただいた末広(扇)を開いたところ、能筆として知られる小沢修二宮司の書で、次のような「御成敗式目」の一節が記されていました。

 

「神は人の敬に依て威を増し

   人は神の徳に依て運を添ふ」

                            (御成敗式目)

 

この言葉の真意を、まざまざと体感させていただいた貴重な作新の夏でした。