紅葉の色づきとともに学校現場で高まってくるのが、受験や入学者募集に向けた熱気と緊張感。

 

ということで、感染者数も抑えられているこの機に、日頃から学院の子どもたちを御守りいただいている京都「北野天満宮」へ、神恩感謝と学業成就の御祈祷に伺いました。

 

 

実は北野天満宮は、約350本もの紅葉を有する京都有数の紅葉狩スポット。

 

桃山時代、豊臣秀吉が洛中洛外の水防のために築かせた土塁「御土居(おどい)」の一部が、境内の西側一帯に保存され史跡として指定されていますが、その一帯が「もみじ苑」として公開されています。

 

かつては全長23kmに渡って京の都をぐるりと囲っていた御土居は、今はほとんど壊され形を留めていませんが、ここ北野天満宮には往時の姿が遺され、御土居の上から眺める紅葉に彩られた国宝・御本殿はまさに絶景です。

 

 

御土居の紅葉狩は堤の高低差を利用して、紅葉を真横からも上からも楽しむことができます。

 

個人的には、堤防を降りていって紙屋川(天神川)にかかる鶯橋を渡り、川沿いにそぞろ歩きしながら透かし紅葉を見上げると身も心も浄められます。

 

 

ただ紅葉シーズンはとにかく混雑しているので、青紅葉の頃、初夏の逍遥がお勧めです。

 

 

 

 

さて、北野天満宮での御祈祷を終え、戻りの新幹線出発時刻まで数時間。

 

 

この日は快晴に恵まれた祝日(勤労感謝の日)だったため、紅葉が見頃を迎えた観光地はどこも大混雑で、下手に車で近づこうものなら渋滞から抜けられなくなり、新幹線に間に合わない危険もあります。

 

そこで、長年お世話になっているタクシーの運転手さんが連れて行ってくれたのが、

東山三十六峯の南端に位置し皇室の菩提所として知られる「泉涌寺」の塔頭である「今熊野観音寺」。

 

 

泉涌寺は京都駅からも程近く、宮内庁により管理も行き届いているので、四季を通じて美しく格調高い境内を静かに散策することができます。

 

中でも「今熊野観音寺」の紅葉の見事さは殊の外で、今熊野と呼ばれるここ阿弥陀が峰の南西側一帯が、古くから「鳥戸野(とりべの)」の地と称される高貴な方々の葬地だったためか、色とりどりの紅葉に彩られたこの時期に訪れると、極楽浄土を思わせる異次元の世界へ誘われます。

 

 

ちなみに庶民の葬地も「とりべの」と呼ばれますが、こちらは「鳥辺野」の字があてられ、「鳥戸野」の葬地を掌っていたのがここ今熊野観音寺です。

 

唐から帰国してまもない弘法大師が、熊野権現の霊示を受けて開創したと伝えられ、大師が熊野権現より授けられた十一面観世音菩薩像を、大師みずから彫り上げた十一面観世音菩薩像に体内仏として納め御本尊とし、千数百年経った今も秘仏として祀られています。

 

 

西国三十三霊場の一つであり、熊野信仰の修験場でもあったこの地に平安末期、後白河上皇が熊野権現を勧請し「新那智山」の山号を与えることで、今熊野観音寺は遥か熊野まで御幸せずに熊野詣が叶う聖地として整えられていきました。

 

高低差を活かした境内を散策すると、コンパクトながら幽玄なる深山に分け入ったかのような気分を味わうことができます。

 

 

 

既に全山紅葉とも思える鮮やかさでしたが、クライマックスはまだこれからのようで、私が弘法大師像を後ろから撮影したこのアングルも、

 

 

紅葉のピークには、こうなるそうです。

 

 

ちなみにその頃に、前から御大師様のご尊顔を見上げると、この艶やかさ!

 

 

このお寺に参詣すると“ボケ封じ”のご利益があるそうですから、いつかまた二人揃って真紅に染まるお詣りができることを祈っています。