<各設置校での「オンライン授業」への取り組み>

 

令和二年度の新学期を迎えても一斉休校が続く中、作新学院では「何があっても学びは止めない!」というただその一心で、手探り状態の中、オンライン授業をスタートさせました。

 

連日、まるで障害レースのように次々と出現する諸問題と格闘しながらも、全教職員がとにかく走り続け、悩み続け、乗り越え続けました。

 

実は2月の新型コロナ感染症発生当初から休校措置が早晩とられることを予測して、オンライン授業実施への準備を行うよう幹部に指示し、ICTの教育活用に関するチームも立ち上げていました。

 

そのため、早い部やクラスでは4月中旬にはオンラインでのホームルーム(HR)や試験的授業を開始することとなり、同月24日にはトップ英進部の全クラスで30分×5時限授業がスタートしました。

 

同時期に小学部・中等部でもYouTubeでの学習動画配信や各クラスでのオンラインHRがスタートし、5月連休明けにはすべての設置校でオンライン授業を実施することができました。

 

 

そうした中、最大の障害となったのが、各家庭での通信環境でした。

 

高校に通う生徒の中には、Wi-Fi環境が整っていない家庭、端末を持たない家庭もありましたので、そうした生徒には学院からモバイルWi-Fiルーターやパソコンを貸し出してやり繰りをしました。

 

また、学院と家庭をオンラインでつなぐ際に、保護者の立ち合いが必要な小学部や中等部では、日中は共働きのため保護者が不在の家庭も一定数あり、なかなか通常の授業時間内ではクラス全員の家庭をオンラインで結ぶことはできませんでした。

 

そこで、保護者が出勤する前の時間帯やあるいは夕食後の時間帯にオンラインHRを設定したり、あるいは教員が休日振替を行って土日に出勤したりと、すべての児童・生徒の家庭と学院をオンラインでつなげる時間帯を見出すことに、大変苦労しました。

 

そのため、小・中等部ではあらかじめ収録した学習動画を限定YouTubeにアップして、各家庭での通信環境が許す時にアクセスする学習方法が主流となり、特に中等部ではオンラインHRや授業の際も必ずその画像を同時収録し、通信環境に問題があった生徒のため毎回YouTubeにアップしていました。

 

 

また、高校を含めすべての設置校で生じた問題として、多くの家庭では親御さんも在宅勤務となり日中にリモートワークを行っているため、複数の端末を同時に稼働させることが難しく、オンライン授業にとって大きなハードルとなりました

 

それに加えて、通学する兄弟がいる家庭ではさらにもう一台端末が稼働することとなり、双方向でのオンライン授業の実施は困難をきわめました。

 

さらに端末として、パソコンやiPadではなくスマートフォンを使用する児童・生徒も相当数いるのですが(高校では大半がスマホ)、リモート画面はかなり見づらく、また長時間使用していると持っていられないほど熱くなってしまったり、月末近くになると使用できるギガ数が不足してしまったり、スマホによるオンライン授業の限界も痛感しました。

 

あらためて、日本の「通信環境の脆弱性」や「教育現場へのICT整備の遅れ」が、子どもたちの教育環境に致命的な障害となることを、骨の髄まで知らされた一斉休校でありました。

 

結局、こうした状況でも授業に遅れを生じさせないため、トップ英進・英進部では5月の連休中も土日を除きオンライン授業を実施し、連休明けからは通常の時間割に準じて7時間授業を実施できるようになりました。

 

なお、一斉休校中に実施した各部でのオンライン授業の詳細は、次のURLでご覧いただけます。

https://www.sakushin.ac.jp/feature/17832/

 

 

短い夏休みが終わり、作新学院でもいよいよ来週から(トップ英進・英進部では22日〜、中等部では8月3日~7日にオンライン授業、8月19日・20日に課題確認テスト実施のため、登校は9月1日~)授業がスタートします。

 

“afterコロナ”の時代に、成長した子どもたちがより明るく豊かな未来を築いてくれることを夢見て、本学は「作新(新しき時代を作る)」の気概を持って、ハイブリッド教育の確立に取り組んで参ります。

 

作新学院のささやかな一歩が、日本の教育の革新・発展を(わず)かでも後押しできれば望外の喜びです。