コロナに酷暑が重なり、様々なことがいつも通りには行かない今年の夏。
しかし歴史を振り返れば、制約や危機があるからこそ万物は、それを乗り越えるためイノベーションを起こし、進化を遂げて来ました。
「教育」も、然り。
何事もいつも通りには行かない今こそ、何かと保守的で前例主義に捉われがちな教育現場が、大きく進化&深化できる最大のチャンスだと、私は思います。
そうした中、これからの教育が目指すべき新たな教育のあり方が、オンライン教育と対面式教育をベストミックスさせた「ハイブリッド教育」です。
新型コロナウィルス感染症により人々の移動が極端に制限され、一斉休校や在宅勤務を余儀なくされる中、オンラインの持つ可能性の大きさと、対面しか持ち得ないリアルの大切さを、私たちは身をもって知ることとなりました。
同時に、コロナによりオンライン活用の重要性が高まる中、行政や教育など日本のオンライン化の遅れも明らかとなりました。
一斉休校が解除となり、オンライン教育についての報道もめっきり少なくなった今も、コロナ感染拡大に歯止めが効かない中、「ハイブリッド教育」の重要性や緊急性はむしろ高まっていると言えます。
作新学院ではこの度、本学が目指す「ハイブリッド教育」の意義と具体的効果を、一斉休校中に小学部、中等部、高等学校4部でそれぞれ実施されたオンライン授業の記録とともに、パンフレットにまとめました。
<なぜ、「ハイブリッド教育」なのか>
何が起きても「学び」は止めない。
新型コロナウィルス感染症拡大により一斉休校が要請される中、作新学院は4月後半から、県内でいち早くオンライン授業をスタートさせました。
「コロナ」という現実とどう向き合い、立ちふさがる壁を越えるのか。
どうしたらこの経験を、より良い「未来の教育」につなげられるのか。
誰もが「オンライン」という新たな教育現場で格闘し、対面式教育の重要性を改めて実感すると同時に、その限界も痛感する中、必死に模索を続け議論を重ねました。
そして“with コロナ”の今を、新しい教育の仕組みやあり方を創出するチャンスと捉え、ICT活用を加速させることによって、よりきめ細かく、より能動的な学習の実現をはかることを決めました。
作新学院が新たにめざす教育の姿― それが「対面式教育」と「オンライン教育」を適時適切に組み合わせて実践する「ハイブリッド教育」です。
◇ どんなことがあっても、質の高い学びを安定的に行えること。
◇ 子どもたち一人ひとりの学習進度や興味・関心に応じて、オーダーメードの授業を実現すること。
◇ 誰かに教わるのではなく、「自ら学ぶ」主体的で能動的な学習を実践し、問題解決力を育成すること。
◇ 世界とつながり、自ら考え、他者と協力しあって社会を革新する“人間力”を育むこと。
「作新(新しき時代を作る)」の覚悟をもって私たちは、時間的・空間的制約や人間の限界を超えて行くためのツールとしてICTを活用し、理想とする教育を実現すべく努力を重ねて参ります。
“afterコロナ”の時代に、より明るく豊かな未来を築いてくれる人財を、一人でも多く世の中に送り出したい。
それが作新の願いであり、志です。
<「ハイブリッド教育」がひらく学びの可能性>
1.学びの「安定」
-いつでも どこでも 質の高い教育を-
時間的・空間的制約を超えて学べるため、予期せぬ事態でも教室と家庭を結び、各教科の授業をリアルタイムで、高いセキュリティのもと継続できます。
また、学院の児童・生徒のみがアクセスできる授業用動画に、学びたい時、学びたい場所で、学びたいだけアクセスして繰り返し学習ができますので、より効率的に高い学習効果が期待できます。
2.学びの「最適化」
-ニーズに合わせてカスタマイズ-
ICTの活用により一人ひとりの習熟度が可視化され分析できるので、個々の学習進度や興味・関心にマッチした、オーダーメードの学習環境を作り上げることができます。
また、そうした「見える化」されたデータを学校と家庭で共有しコミュニケーションを円滑にすることで、児童・生徒に対するよりきめ細やかな教育を実現して行きます。
3.学びの「活性化」
-自律的に学び、協働的に解決する-
ICTを活用したバラエティに富んだコンテンツが児童・生徒の五感を刺激し、学びの機動力が高まることで、「教師に教えられる=受動的な学び」から、「児童・生徒が自ら学びとる=主体的な学び」へと、学習の姿勢を転換します。
また授業中も、出席者同士の情報共有が瞬時に円滑に行えることにより、「協働的な学び(アクティブ・ラーニング)」をより活発に行うことができます。
4.学びの「革新」
-世界とつながり、社会を革新する
“人間力”を育む-
オンラインで世界とつながることにより、より広い視野と多様な価値観が醸成され、自ら考え、他者と議論を深める習慣を身につけることができます。
社会的課題の解決に向け、多角的に情報を収集・分析し、自分なりの考察を深め、他者と協力しあって社会を革新して行ける、総合的な“人間力”を育みます。
(「教育の未来」(後編)へ続く)