先週23日の株価急落を受けて、今週も市場は荒模様。以前は16,000円台を伺う勢いだった日経平均も、一時は13,000円台まで値を下げるなど、依然不安定な値動きが続いています。

 

ただ、もともと黒田東彦日銀総裁の“劇薬”とも言える「異次元的金融緩和」で急激に進んだ円安・株高ですから、どこかで調整局面に入るのは当然のことですし、他国の状況によっても相場は左右されるわけですから、そう上がった下がったといちいち一喜一憂する必要はないのかなと思います。

マスコミも、ヒートアップし過ぎないよう警鐘を鳴らすのは大切なことと思いますが、「ほら、見たことか」といったような“高みの見物的”報道が重なると、どうなのかなと思えてきます。

 

いま肝心なのは、せっかく盛り上がってきた人々の前向きな気持ちや期待感を冷え込ませないこと。

そして、実体経済の回復に必ずつなげて行くという強い「覚悟」を日本全体で共有するということだと思います。そういう意味で人々の「気」=景気を醸成するに最も影響力を持つ報道の在り方はとても重要だと思います。

 

「アベノミクス」の真価が問われるのは、まさにこれから。

来月には、第3の矢である「成長戦略」の具体的内容がいよいよ政府から示されますが、この評価が市場の期待を下回ると、本当の“日本売り”が一気に加速しかねません。

 

「成長戦略」評価のポイントとなるのが、「規制緩和」と「構造改革」です。

この2点に政府が本気で取り組むかどうか世界が注視しており、安倍政権の「覚悟」のほどが問われています。

 

・規制緩和を進め、民間活力を積極的に導入できるのか。

・府省間の“縦割り”や国と地方自治体間の重層的な“横割り”を廃し、日本が一丸となって真の国益(国民益)実現のために邁進できるのか。

・戦略実行における「スピード」は十分か、「ターゲティング」は妥当なのか。

 

 

 

世界が厳しくも熱い視線を注いでいます。

 

規制緩和も構造改革も、その実現にとって最大の障壁となるのが「既得権益」です。ただ、規制緩和や構造改革を実行すれば、これまでの社会システムの中で利益や権限を得ていた人たちが、従来通りの利益や権限を与えられなくなるという事態が発生します。

ですから、既得権益を持っている人や組織は、自分たちの権限や利益をおかす危険のある規制緩和や構造改革には死力を尽くして抵抗するのは必至です。

 

ちなみに、この夏の参議院議員選挙の各党候補者の顔ぶれを見れば、その多くが高い集票力や資金力を持つ団体の代表者で占められていることが分かります。

このような構造的問題を政治が抱えているからこそ、日本はこれまで十分な規制緩和や構造改革を実行できず、グローバル化が進行する中で急速に競争力を失ってしまったわけです。

 

そんな「既得権益」の代表という絶対的ブレーキを党内に抱えながら、「成長戦略」実現のため規制緩和や構造改革のアクセルを踏んで行くという自己矛盾を、安倍政権が国民にどのように説明し、乗り越えて行くのか。

今、世界が注目しています。