ヴァイキング料理と聞いて、どんな光景を思い浮かべるでしょうか。豪快にかじられる骨付き肉、それとも音を立ててすすられる素朴なスープ?

ヴァイキング達は詳しくレシピを残しませんでしたが、今日私たちは出土品などから彼らの料理を想像し、再現することができます。


当時に戻って彼らの酒宴に招かれたい。そんな夢を叶えてくれる料理は、身近に挑戦できる再現活動です。

食材のほとんどは現代でも手に入り、調理器具も今と大きく変わりません。ヴァイキング時代に想いを馳せて作った料理を木の器に盛りつければ、自宅が、キャンプサイトが、1000年前の食卓へと変わります。




【Step1  食材を知る】

地域によって違いはありますが、当時食べられていたと考えられる食材です。


○ 肉

牛、豚、鶏、羊、山羊、馬、うさぎ、鹿、野豚、トナカイ、熊、アヒル、ガチョウ、海鳥


○ 魚と海獣と海藻

ニシン、タラ、鮭、クジラ、アザラシ、サメ、貝類、ワカメ


○ 乳製品

牛乳、バター、チーズ、サワークリーム、ホエー


○ 穀物

ライ麦、大麦、燕麦、小麦


○ 野菜

玉ねぎ、ケール、カブ、ニンジン、キャベツ、ビーツ、エンドウ豆、セロリ、リーキ(西洋ネギ)、キノコ類


○ 果物

ベリー類、リンゴ、ハシバミの実、プラム、ナシ


○ 調味料

塩、クミン、キャラウェイ、コリアンダー(パクチー)、ディル、ホップ、フェンネル、クレソン、マスタード、ミント、タイム、ニンニク、蜂蜜




【Step2  調理器具を知る】

私たちの物と変わらない出土品の器具類から、当時の調理方法が伺えます。


○ 鉄鍋

煮込みや蒸し料理に適した深い鉄鍋。スープなど煮込み料理は好まれた様です。


○ フライパン

平らなフライパンは肉やパンを焼くのに便利です。魚も上手に焼けます。


○ 鉄格子

鎖で吊るした鉄のグリルは、分厚い肉の固まりもじっくりと焼けます。



○ 石臼

ライ麦、大麦、燕麦などの穀物は石臼でひいて粉にし、パンを作りました。


○ 鉄のフォーク

スカンジナビアの歴史は古く、ヴァイキング時代前から使われていました。



【Step3  後世の料理描写を知る】

後世に記された神話エッダと物語サガには、いくつかのヒントが残されています。


○ 仔牛を煮込んだスープ (リーグの詩)


○ 豚を煮込んだスープ (リーグの詩)


○ 固くて粗末なパン (リーグの詩)


○ 鶏肉と豚肉の一皿盛り (リーグの詩)


○ 馬の煮込み肉 (ラーデのブロット)


○ ヤギ乳の粥 (赤毛のエリクのサガ)


○ 村で入手できる全ての動物の心臓 (赤毛のエリクのサガ)




【Step4  料理を想像し再現する】

ヴァイキング時代の人々は何を食べ、どんな料理をしていたのか、残念ながらレシピとして残されたものはないようです。


知る術は、遺跡から出土される調理や農耕器具、貝塚、下水調査、そして文学、エッダやサガの記述からとなり、考古学者、地質学者、現代の再現者・ヴァイキングリエンアクターたちによる、努力と研究、そして現代のテクノロジーによって今なお解明が進んでいます。


私達もリエンアクターとして、ヴァイキング時代にあった食材を使って食べていたかもしれない料理のレシピを作ってみることにしました。

沢山のリエンアクターが料理のレシピを公開しています。

それらは参考にしつつも、日本で入手しやすい食材も考慮して、私達なりのオリジナルレシピを考えていきたいと思っています。


次の記事から、キャンプや自宅で作れるレシピを紹介していきます。



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ヴァイキングマーケット

(ヴァイキング時代の再現品をはじめ、手作りの品々が集まる交易市場です。)



日本ヴァイキング協会WEBサイト