~深夜にようこそ~ | 自炊・電子書籍化応援ブログ

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 今では全国に有り余るほど普及しているコンビニエンス・ストアですが、僕が子供の頃にはそんなモンはありませんでした……と言うことで今回はそんなコンビニを扱った懐かしのテレビドラマ『深夜にようこそ』を紹介したいと思います

そもそもコンビニってどこで生まれたの?、…ドラマの紹介をする前にちょっくらコンビニの歴史を調べてみました。すると諸説はあるものの、どうやらアメリカが発祥の地のようです。1927年に{サウスランド・アイス}という氷を販売する会社が自社の展開する売店に日用雑貨や食料品などを併売したことが始まりのようです。

このお店が営業時間を朝の7時から夜の11までとしたことから{セブン・イレブン}と名付けられアメリカ国内で発展しその後、世界展開していく中で日本でもイトーヨーカ堂が子会社として株式会社:ヨークセブンを設立し本社のサウスランド社とライセンス契約を結び、1974年の5月に東京の江東区に第1号店{豊洲店}を開店します。

…ただセブン・イレブンが日本でのコンビニ1号店という訳ではなく、1962年に岐阜県の多治見市にある国鉄多治見駅内において鉄道弘済会が開店したコンビニエンス・ストアが最初だと言われています。しかしこの日本でのコンビニ1号店にも諸説があり、1969年に大阪・豊中市に開店した{マイショップ1号店}こそが日本初のコンビニとする説もあります。

まぁ~そんなこんなのコンビニ小歴史ですが、1986年6月・全4回のミニドラマ作品として『深夜にようこそ』が放送された当時、コンビニ国内事情はまだまだ目新しい存在であったように思います(僕的には…)。しかし一般的(社会的)な認知度・浸透度はすでに全国レベルに達していたようで、実際にはテレビドラマや映画などの中にコンビニが登場することも間々あったようです。

……そんなコンビニ時代到来を背景に作られたドラマ・『深夜にようこそ』は、モノローグがとても印象的だったことを僕は憶えています。周囲が真っ暗闇に包まれた都会の一角に煌々と光を放つコンビニエンス・ストアが映し出されドラマのタイトルが現れる……まさに砂漠の中に突然現れ出たオアシスのような錯覚を与えるほどに憎い演出!。

脚本は「ふぞろいの林檎たち(僕は嫌いで見て無かったけど…)」「男たちの旅路」で有名な山田太一氏、出演者は千葉真一松田洋治名取裕子などなど……

…ところでストーリーはと言うと、大学生で24時間のコンビニでアルバイトをする青年:矢崎省一(松田洋治)の元に、ある日自分よりずっと年配の村田耕三(千葉真一)という人物がアルバイトでやってくるところから始まります。省一は何かの間違いではと問うのですが本部の紹介状を持参してきた耕三を追い返す訳にもいかず、渋々ながらも仕事の手順を教えるのでした。

耕三に仕事の手ほどきをしながらも、コンビニのバイトなど実年者がする仕事ではないと思い耕三が根をあげるようにあれやこれやと、どんどん仕事をまわす省一。しかし耕三省一の指示を黙々とこなすため、省一は不満ながらも耕三を認めざるを得なくなっていくのでした。

…そしてそんな事情の中で起こる様々な人間ドラマ、若者たちの万引きを取り押さえたことで耕三に対する見方が変わっていく省一、とても美しい常連客:中山絹代(名取裕子)が実は片方の乳房を乳癌で失い女性としてのコンプレックスに苛まれていること、同級生の有馬由子(松本伊代)に失恋した省一の悩みなど……大学生の省一と中年男の耕三を中心に深夜のコンビニを舞台に様々な人との出会い・出来事、心の交流を描いている中々に心温まるミニ・ドラマシリーズです。

ラストには耕三が実はこのコンビニチェーンの本社・取締役だったという展開なども用意されていて少々あざとさは感じるものの、全4回の放送では最終回での急展開も止む無しかと思えます。

コンビニエンスストアーも黎明期から発展期初期にかけては、イメージ・存在感共にコンクリートジャングルと評されていた高度成長期の都会にあって、以外なほどにアットホームな感覚を有していたように思います。しかしアホほど店舗数が増えた現在においては、無機的な存在になりつつありますし、また青少年たちの深夜の溜まり場と化しているところも今だに見受けられます。


山田太一氏が脚本で書き上げた当時では、確かにコンビニには都会の深夜に在って、僅かながらも安心や安らぎを与える場所であったように思われるのですが、それは単なる錯覚だったのでしょうか……このドラマが放送された1986年当時と2015年の今を比較対象するとコンビニも随分と変わったように思えます。


『深夜にようこそ』……ブラック企業的経営手法じゃねーのかと思うフランチャイズシステムにより拡大を続けるコンビニエンス・ストア。利便性と利益追求を貪欲に続ける人間社会にあって、コンビニほど人間生活が退廃していく様と歩調を合わせて成長してきた存在は滅多にないなぁ~と、ついつい思ってしまうのは僕だけなのでしょうか?……。