~怖え~未来を描いた映画:『華氏451』~ | 自炊・電子書籍化応援ブログ

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 もう、どれぐらい昔に観た映画だったか?………
たぶん高校時代に観たんじゃないかなぁ~と、かなり曖昧な記憶を元に今回は1966年のイギリス映画『華氏451』を紹介したいと思います。

この映画、原作はSF作家として世界的に有名な‘レイ・ブラットベリ’の「華氏451度」が下地になっています。…レイ・ブラットベリと言えば「魔笛」や「火星年代記」というSF小説の歴史に残る作品を書いた作家でもあります。

そんな名SF作家の作品をベースにして作られた映画:『華氏451』
…ところで‘華氏451’って何のこと?、って思われている方は少なくないのでは…… …そう、このタイトルはズバリ!紙が燃え始める温度である華氏451≒摂氏233度を意味しているのです。

はてさて、ではどんな映画かと言いますと……
近未来…徹底した思想管理体制の元、書物を読むことが禁じられた社会が確立されていました。そこでは隠れて本を集めたり読んだりする読書犯罪者は容赦なく摘発され、また隠し持つ書物は全て焼却されるという処置が取られていました。…そしてその摘発と焼却を一手に担っていたのが「ファイアマン」と呼ばれる組織(部隊)でした。

ところでこの「ファイアマン」と呼ばれる実行組織(部隊)は、隊員達の出で立ち、装備の全てに至り消防士そっくりなのです。ただ一点違うところと言えばどう見ても消防車と思えるその車両に装備されているホースからは強力な火炎放射が発せられ、それによって見つけ出された大量の書物が焼き払われるという何とも皮肉な設定なのです。

そんな書物摘発部隊「ファイアマン」の隊員・モンターグがこの作品の主人公なのです。彼は粛々と隠れ読書家たちの摘発と書籍の焼却を行っていたのですが、ある時1人の女性と知り合います。彼女の名前はクラリス!(宮崎駿はここからパクったんじゃないかぁ~?)、なんと彼女は隠れ読書がだったのです。…その事実を知ってしまったモンターグ!!……しかし彼はどうしても彼女を摘発することができず、あろうことか彼女の魅力と共に書籍の魅力にまで魅せられていくのでした。

……隠れ読書家となってしまったモンターグ、そして魅力ある女性クラリスの存在を知ってしまったモンターグの妻・リンダは夫・モンターグとクラリスを「ファイアマン」に密告するのです。こうして管理体制側から粛清対象となった二人は逃亡することとなります。

二人は一体何処へ向かうのか?、…そう、モンターグとクラリスが向かった先は、管理体制が及ばない理想の地!読書を通して自由に知識が得られる伝説の彼の地だったのです(……そして逃亡の果て二人は理想の地に辿り着くのでした)。

監督は‘フランソワ・トリュフォー’!…トリュフォーと言えば1950年代後半~から60年代前半にかけクロード・シャブロンやジャン・ジャック・ゴダールらと共にフランス映画界にヌーベルバーク(新しい波)と呼ばれる新風を吹き込んだことで有名な監督さんですね。

この映画で僕が個人的に感じることが一つあるのは、前大戦(第二次世界大戦)下の元で1940年~44年までフランスはナチス・ドイツに占領されていました。ナチス・ドイツは秦の始皇帝が行った{焚書・坑儒}の焚書よろしく、占領下のフランスに在って多くの書籍(思想・哲学・歴史などなど…)を焼却させました。

そんなフランスで多感な少年期を送ったトリュフォーが大人になってブラットベリの著書・華氏451度を読んでどう思ったことでしょう?。また映画演出の中で小道具や人々のファッションなどがナチに占領された40年代フランスの様式やデザインを使っているのは、らへんに思いが込められているのかも知れません。弾圧・抑圧・統制……、トリュフォーにとってこの映画はナチス・ドイツの占領下で自由を奪われた母国フランスの姿と重ね合わせ作られたのかも!?。

最後に、結構面白いエピソードですがトリュフォーは大のSF嫌いだったとのこと。…なのにこの映画の原作はSF!、……また後年、スティーブン・スピルバーグの映画『未知との遭遇』に役者として重要な役柄で出演していますが、こちらも超絶SF作品ですよねー…… …
(何だか、不思議な人物だなぁ~と、思ってしまいましたぁ~~