~書籍紹介⑩一日一言(守屋様)~ | 自炊・電子書籍化応援ブログ

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 連日の書籍紹介になってしまいましたが、本日は昨日のSF短編小説から一変、‘中国古典‘の一冊を紹介したいと思います

                       (守屋洋さん↑)
表題は【一日一言】、著作者は‘守屋洋‘さんという方です。
この本は小説や随筆などとは全く違い一年・365日、一月から十二月までの各月の初日から最終日までの一日一日に中国古典の一言を当てています。
そして日々の生活を送る中、毎日ページをめくる度に、これら古典文学を身近に感じ、それらの古語(故事)より様々なことを学び取ることができるように構成されています。

筆者は序文で現代を生き、未来を展望するうえで、古典や歴史に学ばなければならないと書き出し、加えて古典は人間の英知の結晶であり、歴史は人間の苦闘の記録であるとも明記しています。
この言は人間社会をより良く発展させる上で、これ以上ない正論でもあり、また私たちが様々な状況を踏襲していく為の一つの指針と成り得るかも知れません。

例えば
{一月の言葉}として第二日目に掲げられている言葉は「温故知新:故きを温ねて新しきを知る」という誰もが耳にしたことのある論語(孔子)の一言が選ばれています。
この言葉、現代を立ち位置として解釈するならば
「歴史を深く探求することを通じて、現代への認識を深めていく態度、これこそ指導者たるの資格である」ということになるでしょうか。

また
{五月の言葉}としてその第十三日目に掲げられている言葉は「善用人者為之下:善く人を用うる者はこれが下となる」という老子の一言が選ばれています。
そしてその意味は
「人使いの名人は相手の下手にでるものだ」と解説し、加えて「すぐれた指導官は武力を乱用しない・戦巧者は感情にかられて行動しない・勝つことの名人は力づくの対決には走らない」と補足されています。

……他にもよりポピュラーな古語(故事)として
(四月の言葉}で第二十六日目に記されている言葉として戦国策の一言「転禍而為福:禍を転じて福となす」であるとか{十二月の言葉}で第二日目に記されている言葉として後漢書の一言「水清無大魚:水清ければ大魚なし」などが記載されています。

守屋洋氏のこの一冊には人間が社会を形成する中で、国家を運営する上で、様々に引き起こした過ちの歴史を、一言に込めた先達の深い思索と知恵を伺い知ることができます。
…この地球上で歴史を記録し語ることができる生物は現在まで唯一・人間しか存在しません。
それゆえ歴史に学ぶこと、歴史を精査し直視してきた古の人々の言葉に耳を傾けることは、大いなる遺産の継承と共により良い人間社会を構築していく為の指針の一つなのかも知れません。

【中国古典・一日一言:守屋洋(著)………この一冊には、学ぶべきことが凝縮されていると僕などは思っているのです。