10月27日投開票の第50回、衆院選の結果が出た。

 

正直言って、こんなにも『混沌とした世界』になるのかと、驚きあきれるような結果が出ている。

 

(01)選挙結果

 

なお、私自身は、(神奈川8区=横浜市青葉区・緑区=の小選挙区だが)『小選挙区』には、(立憲民主党の)『江田憲司』、『比例区』では立憲民主党と記載して投票した。

 

ただし、こころのなかでは、『石破茂』が本来主張していたはずの要素を反映した投票をできないものなのかとも考えていた。

それは『無理だ』と判断して、上記のような投票を行った。

 

(02)神奈川8区結果

結果としては、これまで記憶にないくらい、『江田憲司』も『立憲民主党』も(選挙結果ということでは)勝利した。

 

(江田憲司は11万9971票と、自民党の三谷英弘の9万5832票に対して、予想外の大差をつけて、小選挙区で勝利した。ただし、三谷英弘は、前回同様に、『比例での復活当選』を果たした。)

 

この選挙制度で『恐ろしい?』というような印象を受けたのは、『小選挙区』でも『比例区』でも、従来ならば、『当選などできないだろう』と思うような立憲民主党の候補者たちが次々と当選したことである。

 

 

私は、結局、投票日の前日は、溝の口(東急田園都市線とJR南武線などが乗り入れているターミナル駅である)で、『野田佳彦代表』が(神奈川18区の)『宗野創』という新人候補と演説会を行うというので、わざわざ、列に並んでその演説を聞いていた。

 

(03)野田氏の演説

 

(もろに逆光になってしまって)妙な写真になってしまっている。

ただし、『たまプラーザ』駅前で自民党の『三谷陣営』が何度も行っていた演説会と比べると、陣営の関係者の動員も手薄であり、また、警察のほうとの『協力関係?』もほとんどないようで、『聞くために並ぶ人』も非常に少ないし、また、『指定されたところ』に並んでいても、ロクに、演説者の顔が見せないという『段取りの悪さ』を感じた。

 

それだけでなく、『聞いている人たち』自体が、拍手をしたり、合いの手を入れたりするようなことが少なく、『果たしてこのような状態で、この候補は当選などありうるのだろうか』と感じた。

 

(04)山際大志郎氏

 

ここに野田氏がわざわざやってきたのは、実は、この選挙区における本来、『大本命』のはずの自民前の候補が、『山際大志郎』という『統一教会汚染』で有名な人物で、もともと旧18区だったのが、わざわざ『新設』の18区のほうに『逃亡して立候補』したような人物だったからだ。

 

彼は、『統一教会汚染議員』の一人(でなおかつ、『経済再生担当大臣』(2021年~2022年)、『スタートアップ担当大臣』(2022年)などを連続して務めた『大物政治家』の一人だった。

 

(05)選挙結果

 

ちなみに、山際氏は、選挙結果では、『立憲民主党新人』『国民民主党新人』に続いて、第3位という有様だった。

しかし、『立憲民主党新人=宗野創』6万8632票、『国民民主党新人=西岡義高』5万2596票に対して、山際大志郎5万2593票(つまり、2位と3位の差は、たったの3票差)というきわどさで、結局、西岡、山際の両氏とも『比例区で復活当選』というあまり面白くない結果に終わっている。

 

(06)宗野氏の主張

 

野田氏が、ここまで来た目的自体は、山際氏を小選挙区で敗北させたことによって、『成就できた』のかもしれない。

しかし、私は、野田氏や宗野氏の演説を聞いて別の感想も抱いていた。

 

どうやら、野田氏と宗野氏は、『松下政経塾』での先輩と後輩の間柄であるらしい(もっとも、二人は、67歳と31歳といった具合に、36歳ばかりの年齢差があるようだ)。

そればかりでなく、彼らは、『早稲田大学政治経済学部卒』ということでも、先輩後輩の関係にあるらしい。

 

その結果、二人は、揃っての演説で、『松下政経塾』でも『早稲田大学』でも先輩後輩ということで、『あこがれの先輩と一緒に演壇にたつことができてうれしい』というようなことを宗野氏自身も強調していた。

(また、演説自体も『あこがれの先輩』と同じ演壇に立つことが出来て、『うれしい』という感情があふれるものになっていた。)

 

しかし、考えてみると、『松下幸之助』に対して、今時、どれだけの人が、『尊敬しているか(あるいは知っているか)』といっても、はなはだ怪しいものがあるのだろう。

 

野田氏が、(これはいつもの)『演説の鉄板ネタ』らしいが、『松下政経塾』の面接試験において、『親戚に政治家はいない』と聞いて、『ええなあ』と感想を漏らした。

 

また、『カネはあるか』と聞かれて、『自分のうちは、中の下くらいの位置にあるので、正直いって、貧乏なほうです』(また、父親が、『自衛官』であることも話したらしい)というと、松下幸之助は、大いに気に入って、『それは、ええなあ』などと言ったのだという。

 

これなども、『松下幸之助』を知り、なおかつ『尊敬』している人なら、大いに感情を揺さぶられるのかもしれないが、私の記憶では、『与野党の多くの政治家』が『松下政経塾の出身』で、おまけに彼らは、『どちらかというと保守』であり、なおかつ、比較的『大時代な演説が大好き』という共通項があるような気がしている。

(だから、『松下政経塾』出身をいまさら、売りにされても困るという気もするのだが…。)

 

 

しかし、野田氏は、『馬鹿正直』というか『素朴』というか(『素朴のふり』であるかもしれないが…)、自ら、『松下政経塾』の出身であるということを宣伝して回っている。

おまけに、この溝の口駅頭での演説でも、『松下政経塾』と『早稲田の先輩後輩』というのを、かなり強調していた。

(例えば、高田馬場とか、『早稲田大学』のキャンパスなり、周辺商店街で演説をやる際は、それなりのアピール効果があるのかもしれないが、現在では、こうした『学歴』や『経歴』の強調は、プラス、マイナス両方があるような気がしている。)

 

宗野氏の場合も、これまでの演説では、『何も地盤、看板などのない若者の政治への挑戦』『庶民感覚の持主』ということを、一種のイメージ戦略としていたようなのだが、こうした経歴を過度に強調すれば、かえって『政治オタクの青年』で、『松下政経塾特有の臭みのある人物』ということになり、『何もコネのない、徒手空拳の若者』というイメージとは、かなり異なってしまい、イメージが崩壊してしまいかねないような気もしていた。

 

実際、彼ら二人の演説の周りの人々の様子も、それほど『盛り上がっている』というような印象は受けなかった。

しかし、これこそが、『政治の勢いの怖さ』また、『小選挙区、比例並列制度の癖』とでもいうべきものなのだろう。

 

27日の(特に神奈川県における)開票結果を見ていくと、あまり当選しそうもなかった、立憲民主党の『小選挙区候補』が次々と当選し、仮に、『小選挙区』で当選できなかったものでも、『比例での復活当選』を遂げた者が、次々と現れたのを感じる。

 

しかし、次の『衆議院選挙』がいつまた行われるのか、全く、予想はつかないが、もしかして、その段階で『自民党への逆風』あるいは『野党、特に立憲民主党に対する、フォローの風』がやんでいたり、風向きが多少、変りでもしていれば、次は、(今回、続々と当選した)立憲民主党の議員たちが、バタバタと落選していくというようなことは、いくらでも考えられるような気がしている。

 

今回は、石破茂首相に対する評価については、あまり書く余裕がないが、彼のいわゆる『豹変ぶり』に対して、失望と怒りが、有権者の間に渦巻いていたであろうことは間違いがないだろう。

 

そして、彼は、今回の選挙結果を受けて、何やら『反省』しているかのような素振りも見せているが、今後の動向いかんでは、かえって『小手先だけの対応』では、その怒りはますます燃え広がっていくという可能性もある。

 

したがって、『石破首相』というものが、ごくごく短命な政権に終わってしまいかねない危険性は、決してふっきょくされていない、と感じる。

 

そればかりでなく、今回は、『自民党』『公明党』の一人負けのような状態で、『維新』や『共産党』なども議席を減らしていたので、多くの政党(立憲民主、国民民主、『れいわ』、『日本保守党』、『参政党』など)が議席を伸ばし、それぞれが『勝利した』と叫ぶことが出来た。

 

しかし、次の段階では、『どの政党の政策もほとんど実現しない』『政治の混乱』『何事も決められない』ということで、逆に『ストレスが高まり、敵味方の対立が先鋭化していく時代』に入っていくやもしれない。

 

そうなったら、一体、どのような『空気感』がこの世に漂うことになるのか、やや『怖いような気』すらしている。

(あるいは、議席が『倍増』等した政党などでは、次の段階では、『分裂の季節』『裏切りの季節』に入っていくのかもしれない。)

 

こうした『分裂と分断の状況』は何も日本に固有なことでは全くないのは、まじかに迫っている『アメリカ大統領選の状況』でも明らかなのだが、しかし何でもかんでも、『日本が一番すばらしい』とか、『日本が一番、惨めな状態にある』と考えるのが好きな風潮が、今でも世間には漂っているようである。

 

そして、それこそが、逆に『危ない要因』だという気がしている。