昨日(1日)、この映画を久しぶりに出掛けた横浜『シネマリン』で見た。

 

この日、『シネマリン』は『映画の日』ということで、1200円均一の料金だった。

私は、どちらにしても『シニア割引』が適用されるので、同じ金額であまり関係はないのだが…。

 

この映画、この日がここでの上映の最終日で(2回上映されたので最終上映回ではなかったが)、やけに混んでいた。

しかも、相当、年配の人ばかり(私よりも一回り上の人がほとんど?)という状況で、かなり久しぶり(何十年ぶり?)に映画を見に来たといった感じの人も多かった。

 

何故、これだけ多くの人が来ていたのか、よくわからなかった。

もしかしたら、この映画の主人公である、(ハマのドンとも称される)藤木幸夫さん(ふじき・ゆきお、92歳)を応援している人たちの関係者なのかな…とも思った。

 

しかし、そうであればあるはずの、映画が終わってあとの大きな拍手?みたいなこともあまりなく(ゼロではなかったが…)、何とも不思議な上映回であった。

 

さて、この映画、実はこういう映画があるというのは前から知っていたが、何となく敬遠していたものだった。

 

というのは、私は、横浜の『IRカジノ導入計画』に反対であり、(一応、横浜市民なので)前回の2021年の市長選では山中竹春市長にも投票した人間だ。

 

しかし、その後の(何となく)横浜市の方向性が停滞しているような状況を見ると、前の林市長のもとで、『IR推進』に舵をきっていた横浜市の官僚たちは、今度は山中氏をとりこんでしまったかのように見えないこともない。

 

そして、山中市政は現在は、自民党を含めた(ほぼ)『オール与党』的な体制のもとで、進められているようにも見えてしまう。

 

だから、正直言って、あの2021年の横浜市長選(山中氏が、小此木八郎、林文子氏らをしりぞけて初当選した)は何だったのだろうか? あれでよかったのだろうか?という気がし始めていた。

 

ところが、この映画は、その辺を(妙に)すっきり描いている。

藤木幸夫さんという人間をど真ん中に据えて、描いていく。

 

元テレビ朝日の『報道ステーション』などのディレクター、チームプロデューサーなどを務めた松原文枝さんが、テレビ朝日のドキュメンタリー番組の枠で放送した2本の番組を再編集して、映画にしたものがこの作品のようである。

 

 

その辺の顛末が書いてあるらしいというこのような本が、昨日、『シネマリン』で販売されていて、『どうやら、下手にパンフレットを購入するよりも、こちらの方がコスパが良さそうだ』という気がして買ってしまった次第だ。

(最近は、中身のほとんどないパンフレットを平気で売っていたりすることがあるので。もっとも、この本、まだほとんど読むことができていない。)

 

藤木氏については、正直言って、私は『山師的な人物かもしれない』『自民党とつながっているのではないか』『ある種の裏切りの道へ導こうとしているのではなかろうか?』と半信半疑だったのが、正直なところである。

 

ところが、この映画を見た限りでは、藤木氏の言葉には、ウソはないようだ。

藤木氏は、『私が、神奈川県で最高齢で、最も古くからの自民党員だ』といっているとおり、今も昔も、自民党の長老たち、元幹部たちと太いつながりがある。

 

 

また、彼の父である(藤木組=藤木企業=の創業者)藤木幸太郎氏(1892年~1980年)は、山口組三代目組長の田岡一雄が若いころに、港湾労働の仕事とその仕組みを実地に学ぶために、神戸からやってきたときに、それを受け入れて一から教えたような関係だったという。

 

しかし、藤木氏は、このような『過去』をかかえているからこそ、港湾労働は、『暴力団=やくざ』と絶縁しなければならない、またかつては、港湾労働と『賭博』は切っても切れない関係にあったが、『IR=カジノ』は『賭博の合法化であり、横浜を再び汚染にさらしてしまう愚行である』と心底信じているようである。

 

この映画は、『もういつまで生きるかわからないから、IR=賭博阻止のために自分の命を掛けても良い』『横浜をこのままの姿で後世に残すために、最後のひと花を咲かせたい』と言い切る藤木氏の姿と、彼が媒介となって起きた『化学反応』の状況を描いている。

(つづく)