(長文につき注意)

新型コロナというのは、予想以上にしぶとい。
これまでは、野党の政府批判は、『どうせ、自分たちも実施できないこと』をいろんな角度から批判しているだけと(正直、半ば)思っていたのだが、2020年初頭に日本でも感染が報告されるようになって既に3年目に入っている。

現在直下の状況で言うと、日本が世界で一番、新規感染者の数が多いとか、あるいはいまだに、検査キットなどを自治体のニーズを把握して、国が各都道府県に物資を配送することができていないなどという話を聞くと、さすがにどうなっているのかと思う。
(それに『デジタル、デジタル』と騒いでもみても、さっぱりシステムの構築ができていないようで、『これは、日本という社会の宿痾なのだろうか』という気さえ、してくる。)

もちろん、新型コロナは、次第に『感染者数』こそ拡大しているが、『重症患者』の比率が低下しているから、『そんなに心配することないのだ』という話も聞くが、そうならそうで、『どこで防衛線を張るのか?』などの戦略を明確にして対応すべきではなかろうか?

我が国の政府は、ともかく『選挙にさえ勝てば良い』という考え方のようで、先の参院選も野党が考えられる限り、最大限分極化してしまい(これは、芳野友子・連合会長の方針の『おかげ』?もかなりあることだろう)、自民党あるいは『改憲勢力』が(議席数からいえば)『圧勝』してしまったので、さっぱり岸田内閣などは、『国民の批判』を気にしていないようにも見える。

ただ、こうしたなかでも『変化』はある。


先日の『NHKの夜7時のニュース』のなかでいきなり放送されたので、びっくりした(仙台市内に住んでいる下の娘から、こういう放送があったと連絡してきた)が、私の住まいの最寄りの特定郵便局(ごく小さな規模の郵便局である)で、職員の間にコロナが発生したということで、いきなり『休業』のお知らせがあった。


わざわざ、これをNHKの『全国ニュース』のなかで取り上げたのは、コロナ再拡大にともない『社会インフラ』に影響しているという話で、(渋谷のNHKの)東側に位置する台東区だったかの『銭湯の時間短縮(休業)の話』と、(NHKの)西側に位置する横浜市青葉区の『郵便局の休業の話』を二つ、結び付けて放送したようだ。



こうしたこともあって、この地域の『盆踊り大会』が3年ぶりに開催される予定になっていたのだが、それも中止になったと『自治会の掲示板』で告知している。
(なお、『盆踊り』は中止になったものの、同時期に開催される『商店街が中心のイベント』は、子供たちが楽しみにしているせいもあるのだろう、30日、31日と三会場を中心に、縁日や歌と踊りのイベントなどを日中、野外で実施するようである。)

こうした状況なので、私は、2~3週間前に予約していたのだと思うが、昨日(28日)4回目のワクチンを接種するために出掛けた。
(特に、『副反応』というのはないのだが、注射を打たれた二の腕の部分は、なんとなく腫れた感じが残っている。)


こういう状況のなかでも、実は、私は(東京・京橋の)『国立映画アーカイブ』でやっている古い映画の上映会に、コンスタントに参加していた。
(さすがに、わっと感染が拡大しているような時期は、出掛けるのを『やや自粛』しているが…。)


現在、ここでは映画会社『東宝』の創業90周年を記念して、このような特集を組んでいる。
(『6月24日~7月31日』までが第一期、その後、10月~12月にかけて、断続的に(恐らく、コロナの状況など見ながら実行していくのだろう)第二期、第三期などの予定を組んでいるようである。


このような特集は、単に『昔の映画を上映しているだけなのだろう』と思われるかもしれない。

だが、(例えば)27日などは、『ハワイマレー沖海戦』(1942年、山本嘉次郎監督、116分)と『激動の昭和史 沖縄決戦 』(1971年、岡本喜八監督、149分)を連続的に上映していて(もちろん、それぞれ料金は別で、65歳シニアの場合は、310円になる)、なかなかの充実ぶりである。
(両方を通しでも見ると、かなり疲れた。)


というのは、『ハワイマレー沖海戦』というのは、こういう映画だ。
<海軍省の後援により東宝が製作した太平洋開戦1周年記念の大作。国策映画として、海軍飛行兵に志願した義一(伊東薫)が厳しい訓練のすえパイロットとして出陣するという物語を軸としている。


ハワイ真珠湾の米軍艦隊への奇襲とマレー半島沖での英軍艦隊への攻撃を再現した特殊技術班は円谷英二が率いており、後の東宝特撮部門の基盤となった。>

まあ、このような『映画史』における位置づけは、その通りなのだろうが、この『派手な国策映画』が各地の映画館で華々しく上映されていたころ、既に日本軍は、『ミッドウエー海戦』(1942年6月)において、致命的な打撃を受けた後だったはずで、この映画は、『大本営』が国民一般と同時に、映画の製作スタッフをも騙しながら、『能天気な映画』を上映していたことになる。


(そうしたことに対する『後悔』も一因となったのか、この映画を監督した山本嘉次郎監督は、一般には、NHKテレビの『バラエティー番組』にも出演していた、英国紳士風のやさしいおじさんとして知られている。


また、彼は、黒澤明や谷口千吉らの後進を育てあげ、あの三船敏郎が入社応募をしてきたときに、目をとめ、『監督として責任を持つ』と発言して、積極的に採用したということでも知られている。)


しかし、山本嘉次郎の妻である『山本千枝子』が書いた『カツドウヤ女房奮闘記』(1983年発行、1974年の山本嘉次郎の死後、書かれたもの)によると、山本は外面が良くて、『ヤマさんはどんな時も怒った顔を見せたことがない。腹が立つはずなんだがなア、と思って顔を見るとニタニタ笑っているんだから』と谷口千吉が昔、言っていたような人だったという。

しかし、その分、内に秘めた怒りや矛盾は、相当なものがあったようで、もっぱら彼は妻にそれをぶつけ、また外で浮気というか、とっかえひっかえ女と付き合うことで、ようやくバランスを保っていたという。
(晩年は、『アル中』のような状態で、亡くなってしまったらしい。)

こうした山本の『心の葛藤』の背後には、『ハワイマレー沖海戦』のような映画を作ることで、多くの青年を死に追いやってしまったことに『加担』したというトラウマなどもあったのかもしれないというような気もした。


ちょっと、山本嘉次郎に関する話に深入りしてしまったが、このように映画というのは、そこからさまざまな情報、物語が得られる。

コロナの合間をぬいながら、(自分が感染しないように気を付けつつ)ペースは落としても見ていきたいと思っている。
(特に、8月は戦争とか平和に関する映画が、各種上映される時期でもあるし…。)