7月8日の午前11時30分過ぎ、安倍元総理が狙撃されてから、まだ5日しか経過していないことは(実に)驚くべきことのように思える。

それだけ、巷(特にネット空間)には情報が氾濫していて、次々と人々は“起こったこと”を忘れていく。

それでも、『権力者の突然の死』は、特にそれが“病死”とかではなく、全く不意を襲ったものであっただけに、いろんな事柄を浮き彫りにしてしまうものだと、改めて感じた。


この(『東京新聞』の記事に登場する)人物は、警察庁長官の中村格(いたる)氏である。


『安倍政治』に批判的な人々の間では、2016年の(元TBS記者の)山口敬之氏が、伊藤詩織さんに対する準強姦事件を引き起こした時に、山口氏に対する逮捕状の執行を、警視庁刑事部長の権限を行使して『停止』させた人物として知られている。


中村格氏は、その後、警察庁長官に出世していたわけである。
だが、今回の『狙撃事件』で彼は『警察として警護・警備の責任を果たせなかった』といって詫びている。

この写真を見ると、山口敬之事件で想像していたようなシャープな表情ではなく、むしろ、ぼよよっとした(言葉は悪いが)『狸おやじ』のような風貌の持ち主である。
だが、もちろん、外見だけで人の判断は出来ない。

今回、(『恩人』であるはずの)安倍氏の死に直面して、彼は『警護・警備体制の抜本的強化』とか、もしかしたら、(CIAのような)情報収集とか情報工作の機関創出を導き出すような、『検証チームの検証結果』を出すことで、(安倍氏に対して)『恩返し』をしようと考えているのかもしれない。


そして、今回、ほかならぬ(上述の)山口敬之氏であるが、とんでもないことで、『注目』を集めてしまっている。

実は、安倍氏の亡くなった8日は、準強姦事件に関連して(刑事ではなく)民事の裁判の最高裁の決定が下された日であった。
(刑事事件のほうは、最終的に『不起訴』という風に決定されてしまったので、山口敬之氏が法廷で裁かれることはなかった。)




ここに記されているように、最高裁は、控訴を棄却して、第二審の判決(山口敬之氏は、伊藤詩織さんの同意がないのに性行為に及んだと認定し、『332万円』の賠償を行うべし)が確定していた伊藤さんは山口氏に対して1100万円の損害賠償を求めていた)。
(同時に伊藤詩織さんに対して、『名誉棄損とプライバシー侵害』で1億3000万円の支払いを求めていた山口氏の側の訴えについては、『55万円』の支払いを命じていた二審判決が確定したという。
これは『食事中にデートレイプドラッグを飲まされたという部分は証拠がなく、真実とはいえない』という判断であるとのこと。)

そして、伊藤詩織氏のほうでは、こうした最高裁判決を受けて8日に『記者会見』を行ったようである。


山口氏は、これに対して、『自分の存在意義』をこのタイミングで、少しでも世間にアピールしたかったのであろう、安倍元総理の容態について、『死』が発表される1時間半以上も前の午後3時36分、自身のフェイスブックに『【安倍さんがお亡くなりになった】信頼できる情報筋から、救命措置の甲斐なく安倍晋三元首相がお亡くなりになったとの情報が入りました。悔しく、残念です』と投稿していたのである。


(このようなことをしでかしてしまうのは、彼のなかで『準強姦事件』の最高裁判断が出たことに対して、『何とかして、少しでも反撃したい』という思いがあり、自分が権力に近いジャーナリスト?であることをアピールするための『材料』に使えると判断しての、こうした行動であるに違いがないだろう。)

これにはさすがに、安倍氏周辺からも『異議申し立て』があったのだろう。
(何しろこの時間帯というのは、安倍昭恵夫人が、安倍氏の病院にまさに向かっている最中だったのだから…。)

山口敬之氏は、その後、『情報確認が不十分なまま、誤報を発信した』という趣旨の弁明と陳謝をフェイスブックに投稿している。

しかし、このような経過そのものが、山口氏という人物が、いかに自己本位で、他人(安倍晋三元総理に対しても)に対する『共感』などほとんど欠落させているかを露呈させてしまっている。

安倍氏は、(気の毒なことに)このような『権力の蜜』の周りに集まった人物を引き立てていたが故に、最後は、(かえって)裏切られてしまうという『悪循環』を繰り返していたようである。