岸田内閣発足後、初の総選挙がスタートした。
といっても、19日公示-31日投開票という、これまでで最も短い選挙期間である。
(『れいわ新選組』の山本太郎氏など、その煽りを食らって、『東京比例区』に単独立候補したが、衆議院の『比例区』だと『山本太郎』と投票用紙に書くと、『無効票』になるため、『れいわ新選組』と書いてくれという告知だけで、大変のようだ。
私は、『れいわ新選組』の支持者ではないが、自民党・公明党の議席を減らしてくれるのであれば、その点についてのみは、期待している。
また、彼を支持している人たちには、『他の政党』では思いを満たせないという強い期待感もあるらしいことは承知している。)

さて、今回の『総選挙』、『小選挙区』では野党の候補をできるだけ一本化しようという動きが実って、2人しか立候補者がいない選挙区も多いようだ。
これは、一昨日(19日)に図書館を利用するために出かけた藤沢市内で見かけた掲示板。
ここは、『神奈川12区』という選挙区で、3人(自民・立民・維新)が立候補している。

それに対して、私自身が住んでいる横浜市青葉区(+緑区と一部の都築区)は『神奈川8区』と呼ばれて、立候補者は2人だけ。
立憲民主党の江田憲司と自民党の三谷英弘の直接対決である。
両者のポスターを見ると、『みたに英弘』のほうは、『世代交代』を掲げている(対立候補の『江田けんじ』が、65歳であるのに対して、自分が45歳であるという年齢の差を強調している)。
それに対して、『えだ憲司』のほうは、『変えよう!!』と政権交代を訴えている。
両者ともに、『交代』『チェンジ』を掲げているが、その中身が違っている。
今回の記事は、このうち、みたに英弘氏の闘い方に焦点を当てながら、自民党あるいは岸田政権が何を狙っているかを整理してみたい。

まだ公示から、3日しかたっていないが、みたに陣営は大物政治家を動員して、応援演説を行わせている。
この写真は、公示日に『河野太郎』が来るという告知をしているところ。
(この写真をとった時点では、まだ来ていない。)
私は、この日は、藤沢まで出かけたので、河野太郎の演説は聞いていない。
(先の『総裁選』で敗北したが、『まだ、次があるぞ』とばかりに、『客寄せパンダ』に徹してあちこち演説して回っているようである。)
ちなみに、公示日の前日には、『萩生田光一経済産業大臣』が夕方来るという告知がされていた。
(この時も、聞きそこなった。『みたに英弘』は萩生田氏が文科大臣の時に、政務官として仕えたというので、『応援』に来たようだ。)
自民党にとって、『えだ憲司』は立憲民主党の幹部であると同時に、『横浜市長選が敗北』した時に活躍(自民党からすれば『暗躍?』)した政治家ということで、何が何でも小選挙区で落選させたいという執念を感じる。

みたに陣営は、こういうパンフをやたらに配布している。
たまプラーザ駅にほど近い、我が家(団地内に住んでいる)の集合ポストにも、このパンフが投げ込まれた。
かなり上質の紙で作られたパンフ(24ページある)で、私は、はじめ、『自民党の公約パンフ』でも配布しているのかと思った。
だが、中身を見ると、かなり考えて作られたもののようだ。
もちろん、『デザイナー』など専門家も関与しているのだろう。
(次回の記事で見るが、『えだ憲司』陣営のリーフの類は、かなり素人っぽくて、やぼったい。
『センス』が良いとは、お世辞にもいえない。)
まず、『若さで変える』というのは、当然、候補者が『45歳』と対立候補よりも20歳若いから強調できることで、(全国で多いはずの)自民党の候補者が『高齢』の場合は、当然、こんな『キャッチフレーズ』は影をひそめているはずだ。

これは、みたに英弘のプロフィールをまとめた部分であるが、この人は、それなりに(彼らから見た)『弱点』を抱えている。
その弱点をいかに、カバーして、(敵陣営の弱点への)攻撃に転じるかが選挙戦略のポイントになっているようである。

みたに氏の弱点の第一は、もともと『野党』の政治家だったということ、また、藤沢氏に生まれはしたが、この『神奈川8区』にやってきたのは、『自民党内の都合』に過ぎない(落下傘候補)ということ、この2点にある。
彼は、『みんなの党』で、2012年の総選挙で東京5区から出馬し、『比例代表』で初当選している。
しかし、その後、『みんなの党解党』に伴い、無所属で出馬・落選し、やがて自民党から出馬するようになった。
こうした『経歴』がある(これは、実は『えだ憲司』と微妙に接近しているところもある)ので、何とかして、地元の選挙民の『アレルギー』を払しょくする必要がある。
そのため、『野党から与党に移籍して』というコラムの記事をあてて載せている。
(しかし、ここには、そもそもなぜ、みたに氏が最初の時点で『自民党でなく野党から政治家を目指したのか』その心は、書かれていない。)
また、『与党に入って一番変わったのは、言ったことはちゃんと実現しなければならないだけに、実現可能性の低いことはなかなか
打ち出しにくくなったこと』などとも書いているが、これはご自身が『みんなの党』でやったことも否定してしまっているようにも見える。
それに、自民党だって、『選挙の時』にだけ、きれいごとを並べ立てているのは、いくらでもある。
(あるいは、萩生田光一・経産大臣は、前の文科大臣であるが、自身の功績として、『英語民間試験と記述式問題の導入をストップ』したことを挙げているという。
これなどや、高校生など受験生、あるいは教師・予備校講師などからの批判、それを受けて騒いだ野党議員などからの追及の前に、『ストップさせられた』というのが、真相なのに、『原因と結果』をひっくり返して誇るという、『与党政治家の驕り・嘘』のシンボルのような行為である。)

この『政治家になってよかった』というのは、みたに氏が、もともと弁護士であったのからの『転身』であったこと、そのことを(ある意味)フォローする内容になっている。
というのは、(横浜市長選でもそういった面があったが)他の職業をやっていたのが、『政治家』に転職しようとするのは、『もともとの仕事』でも問題があるのではなかろうか?と見られがちになってきているせいだろう。
それをフォローしたいみたいだ。
(また、弁護士の仕事に限界を感じていた時に、『アメリカに留学』したということで、その経歴も宣伝している。
さらには、『チケットの高額転売の禁止』とか『インターネットの誹謗対策を実現』したとかして、『若者の有権者』にアピールできそうな面を強調している。)

この『子煩悩な一面』というのも、候補者の若さのアピール、同時に『アメリカ留学時代に(上の子と)ずっと一緒にいられた』ということで、『子育て世代の有権者』に向けて、自分も『仲間だ』と訴えているとも言える。

もう一つ、みたに英弘氏には、(ある種の)『弱点』があるようだ。
それは、彼が(そもそも、小さいころから、やたらに住所が変わっているのは)父親が海上自衛官だったためということである。
『たたき上げの現場の自衛官』に対しては、親近感を感じている選挙民も多いかもしれないが、かれの父親の場合は、みたに英弘自身が、『父親の勤務の都合でロンドンに滞在』などとプロフィールに書いているように、詳細な仕事の内容はわからないが、いわゆる『幹部自衛官』『自衛隊の官僚』だったのではないかと思われる。
それで、今では、その『経歴』を生かそうとしているかのように、『安全保障・外交防衛』の政策もアピールしている。
(なお、みたに氏が、立っている場所は、『硫黄島視察時』のものということである。)
青山繁晴参議院議員が代表を務める「日本の尊厳と国益を護る会」の幹事(設立メンバー)の一人として活動とも書かれているので、これまでの記述の内容からうかがわれるような、『ソフトなイクメン政治家』というイメージからは、ずいぶん異なる側面もあるようだ。
ご本人が、どういう人なのか、私は全くと言ってよいほど知らない。
しかし、この『みたに英弘』陣営の宣伝内容を見ても、攻撃目標である『えだ憲司』に対してダメージを与えることを、いろいろ考えて矢を放っていることがうかがえる。