昨日(9日)は、アメリカ大統領選の副大統領候補同士の討論会の模様を、NHKのBS放送で見た。

周知のように、トランプ大統領の新型コロナウイルス感染騒ぎ(いまだに実態はよく分からない。ただ、ホワイトハウスは新型コロナの感染が蔓延して、一種の『クラスター』が発生しまっているのはたしかなようだ。日本で、『安倍-菅』とトランプをどちらも支援している人たちが、どう考えているのか、興味深い)
のために、どうなるかと思われた大統領選であるが、いちおう、選挙(トランプ陣営が盛んにこき下ろしている『郵便投票』を含め)自体は、今のところ、それなりにスケジュールに沿って進行しているようである。

昨日も、かなり背伸びをして、二か国語放送のうち、英語で視聴していたので(これはそうしたほうが、議論の『勢い』というものは判断できると思ったため)細部は何を言っているのかわからない部分も多い。
また、英語で視聴していると、聞いた内容も短時間で忘れてしまうようなのも、短所ではある。
(それなりに、メモは取るように努力しているが…。)

しかし、昨日の『副大統領候補』同士の討論会は、(何もルールを守ろうとしない)トランプ氏がいないために、前回と比べると(まるで別の国の出来事のように)秩序だった討論が行われていた。



特に印象的だったのは、この黒人(有色人種)女性初の副大統領候補といわれる、民主党のハリス上院議員(55歳)の『有能さ』である。
(どちらかというと、いろいろ欠点の多い、バイデン候補よりも政治家としては有能なのではないかと感じさせる。)

彼女は、検事出身であり、もっと『攻撃一本やり』の政治家なのかと予想していた。
(こういう女性政治家は、日本にもたくさんいる。)

ところが、昨日の討論会を見ると(もちろん、かなり練習などを積んで討論に臨んだのだろうが)彼女は、たくさんの『引き出し』をもっているようであり、また『人生の表も裏も』知っているというような雰囲気を醸し出している。
(知性と感性の双方で優れているという印象を与える。また、ヒラリー・クリントンのようにどうしても、上流階級のにおいを消すことのできない女性政治家とも異なっている、ようにふるまっていた。)

つまり、彼女は、『仮にジョー・バイデンが途中で倒れて、大統領職を引き継ぐことがあったとしても』その職をまっとうすることができそうな印象を与える(これは、もともと反トランプ陣営の人たちにアピールすることが出来れば、それでとりあえずは『勝利できる』可能性がある。もちろん、『中間派』的な人たちにアピールできたほうが望ましい)。



もう一つ、印象的だったのは、今回の司会者が女性だったことである。
日本では、テレビ番組を含めて、さまざまな場面で女性は、『副次的な扱い』であり、それを逆に心地よいと考えている女性も(かなりの数)いそうである。
(だが、その結果、日本では能力のない、男性管理職などが疲弊しているという現象も同時に生じている。)

この司会者は、『時間管理』にしぼって自分の任務を定めているようで、どちらの陣営に対しても時間管理は厳しかった。


ただし、議論の流れ(トランプ大統領は、新型コロナウイルスの『対策・管理』に失敗して、多くのアメリカ国民を死に至らしめたという疑惑。それに対して、自分自身の感染については、『特別の対策』を享受しながら、なおかつ他人にコロナウイルスをまき散らす選挙活動を継続しているという更なる疑惑)からいって、ペンス陣営は防戦に努めるという色が濃かった。

そのため、ペンス氏のほうが『時間を超過』したり、司会者の指示にしたがわず、『前のテーマの議論を蒸し返そうとする』試みの回数が顕著だったと感じる。
(それにしても、トランプ大統領のように、まるっきり司会者の指示に従おうとしない、傍若無人の態度ではなかったが…。)

その結果、この司会者は何度も『制御するための魔法の言葉』(例えば『サンキュー、Mr.バイス・ぺレジデント』)を繰り返さざるを得なかったのだが、彼女はこれを通常は、3回、時には6回以上繰り返さざるを得ないのだが、感心したのは彼女が(まるで言うことを聞かない生徒を教師が、辛坊強くたしなめるように)同じトーンでこれを強く、繰り返していたことである。

そうする内に、ペンス氏も(もともとトランプのようにふるまう気はなかったのだろうが)
言うことを聞くというのが、ほとんどのパターンだった。
しかし、彼としても、せいぜい頑張らないと、今度は『トランプのルール無視が逆に浮かび上がってしまう』という問題もあり、その結果では『トランプに忠誠心を疑われかねない』という危険性もある。
(そういう意味では、ペンス氏も大変だったようではある。)

先ほどの女性司会者のふるまい方は、1回目の討論でトランプが言うことを聞かないもので、次第に(自身が)パニックに陥ってしまった?かのような男性の有名らしいキャスターとは、はっきりと異なっていた。

ただし、彼女は『時間管理』に自分の任務を割り切っていたようで、第1回の司会者のように、『気の利いたこと』を言う余裕はなかった。


こちらは、矛盾を感じながら、防戦にこれ務めていたであろうペンス氏。
トランプやペンスの主張していることは、中国に対する、さまざまな疑惑など味方によっては当たっている部分もあるのだと思うが、何しろトランプなどは、北朝鮮とも中国とも、いつどこで『妥協する』か分からない。

何事も『自分ファースト』の人たちだから、(『トランプ信者』らしい人たちとは異なり)彼らのいうことを『鵜呑み』にすることはできない。

また、今回の選挙戦の過程で、果たして『トランプは、自分の主張するほどビジネスで成功した人物なのか?』という疑惑も拡大しているように感じる。
(トランプは、『福音派』のキリスト教徒だともいわれるが、この『福音派』という概念もかなりいい加減なもので、トランプが宗教を単に『自分ファースト』に利用しているだけという疑いも残る。)


こうしたことを考えると、『トランプは、一般に言われていることと異なり、非常に人の言うことをよく聞く人物だ』とインタビューなので語っている、安倍前首相の『人を見る眼』はどれくらいあるのだろうか?ということも改めて、疑問に感じられる。

今後、どうなるか分からないが、『11月3日のいちおうの投票日』を節目として、アメリカ大統領選は続いていく。