この記事の続きである。

https://ameblo.jp/japanreal/entry-12594570261.html

 

 
昨日、行われた『緊急事態宣言延長』の記者会見に関しては、また別の記事で書くつもり。
 
5月3日の改憲派の集会に向けて、安倍首相が『自民党総裁』として送っていたビデオメッセージの内容について、前回の記事で紹介した。
ところで、この集会(『美しい日本の憲法をつくる国民の会』等主催の『憲法フォーラム』)の主催者の一人である櫻井よしこ氏が、いろいろ面白い文章を書いている。
(面白いというのは、安倍首相に関する『記述の仕方』が面白いという意味である。)
 


 
一番、話題になりそうなのは、『安倍首相よ 自信を持って歩め』と題する月刊『正論』6月号にも掲載されている、この文章。
 
この雑誌は、『産経新聞社』発行であることもあって、『産経新聞』の5月4日付朝刊6面では、宣伝の意味も含めて取り上げている。
この号、全体が『国難を乗り切る』と題して、新型コロナ(この雑誌では、挑発的に『武漢ウイルス』とも表現している)を巡る危機を取り上げている。
 
そして、櫻井よしこ氏の文章に関しては、次のように紹介している。
<各メディアの世論調査で圧倒的多数が緊急事態宣言の発令は「遅すぎる」と答えた。この結果に、ジャーナリストの櫻井よしこ氏は「一皮めくると、それは首相への限りない応援の声だ」として、安倍晋三首相に「自信を持て」と呼びかけた。>
 


なお、櫻井よしこ氏自身は、同じく『産経新聞』の5月4日付朝刊1面の、連載コラム『美しき勁(つよ)き国へ』<現行憲法で国民守れるか>のなかで、次のようにも指摘していた(この文章の最後の部分を引用する)。
 
<どの時代においても状況を客観的に読みとれない朝日の観念的報道は、日本国民に苦難と不幸をもたらすのではないか。
だからこそ安倍首相は朝日の論難を名誉と思うのがよい。
怯(ひる)むことなく力強く前進するのが国益である。>
 
 
相変わらず、『朝日新聞批判のオンパレード』である。
(私自身も、『朝日新聞』をかなり批判してきているが、おのずとその『批判の視点』は櫻井氏とは異なっていると思っている。)
 
なお、このコラムのなかで、櫻井氏は、次のようにも書いている。
<4月7日の緊急事態宣言から約1カ月、安倍晋三首相は緊急事態宣言の延長を表明した。わが国の対応は生真面目だが遅い。努力するがあと一歩を詰め切れない。詰め切る力を決定的に欠いているのが緊急事態宣言だが、その修正、すなわち罰則規定追加の議論も遅い。
 
かくして休業の要請にも、店名の公表にも、従う義務をもつ「指示」にも従わず、5月3日も営業したパチンコ店がある。国民各層の協力なしには課題は解決されず、国民の良識に頼りきりなのが日本国であるのに、だ。>
 

こうした記述のなかで、安倍首相に『怯(ひる)むことなく力強く前進する』ことを進めているのが気になった。
櫻井氏から見て、安倍首相が『怯(ひる)んでいる』ように見えているのではなかろうか?
 
 
そう思いながら、先日、『電子版』を購入済みだった、『正論』6月号の先の記事に目を通してみて(多少)驚いた。
(正直言って、まだ『流し読み』しかしていない。それから、こういった雑誌の記事のタイトルは、基本的に編集部が勝手につけているようだ。『月刊Hanada』あたりが、一番、チラシ広告のデザインみたいな感覚で、過激な『煽り』のタイトルを付けまくっている。)
 
<連日、テレビに映る首相の髪には白い物が増え、時に目は潤んでいる。日々続く見えない敵、武漢ウイルスとの戦いに加えて一部メディアの非建設的な批判で、疲労が蓄積していても当然である。
 
だが、首相は自信を持ってよいのである。
メディアによる底の浅い批判にエネルギーを殺がれる必要はない。
 
「遅い」「足りない」との批判を首相個人として受けとめるのでなく、首相をしてそのような決定に至らしめた戦後の日本の在り方への戦後の日本国の在り方への批判と受け止めるのがよい。>
 
そして、この記事の最後は、こうなっている。
<首相よ、自信を持て。年来思い描いてきた国家像の構築に向けて歩み続けよ。>
<首相への批判は日本国の国家なき国家構造への批判である。安倍首相に対するこれ以上の応援歌はないのである。>
 
 
この櫻井氏自身の文章を読んでも、安倍首相が『自信喪失』気味であるらしいことがうかがえる。
だが、それは、櫻井氏が書いていない『不都合な事情』が背後にあるからでもある。

安倍政権は、現在、『政権末期』の状態にあって、安倍首相、麻生副総理、菅官房長官とかつてであれば、『鉄壁』の体制であったものが、バラバラ状態になりつつある(さらに、二階幹事長も含めて、それぞれの思惑が錯綜している)。
 
そして、その背景には、安倍首相が<トランプ大統領、習近平国家主席、プーチン大統領らに対して、いずれにも『言うことをきく?』奇妙な『主体性なきバランス外交』を展開してきたこと>、それらが『矛盾』に直面したこと、また<『アベノミクス』がもともと抱えていた『危うさ』が新型コロナによる世界の経済状況の緊迫化によって、もはや覆い隠すことのできないようになってしまったこと>、さらには、<常に安倍昭恵夫人の名前と共に取りざたされてきた、種々の『疑惑』が『桜を見る会』『赤木さん自殺の経緯の告発』などを機に、自民、公明の支持者レベルにも嫌悪感を拡大していること>、少なくともこのような事情があることは、明らかである。
(このほか、『オリンピック招致疑惑』と『3・11以後』に対する国民の失望も存在している。『ジャーナリスト』を自称する櫻井よしこ氏は、決して、こうしたことを認めようとしないが…。)
 
これだけ、『政権末期』の要素が勢ぞろいすれば、『人間・安倍晋三』が無力感にさいなまれているかもしれないのも、無理からぬ気がする。
(このあとは、できるだけ早く、『辞任させてあげること』こそ、むしろ安倍首相に対しても、『親切?』と言えるのかもしれない。)