久しぶりに、台湾の『総統選』について少し書きたい。
前に、4月24日に<【台湾の総統選】国民党・韓国愈氏撤退? まだまだ分からないという気もするが…>と題する記事をアップした。
前に、4月24日に<【台湾の総統選】国民党・韓国愈氏撤退? まだまだ分からないという気もするが…>と題する記事をアップした。
これは、同日(4月24日)付の『産経新聞』の次のような記事をもとに、コメントを加えたものだった。

この日の『産経新聞』は、『高雄市長が不出馬宣言』『台湾・総統選 国民党は鴻海会長有力に』と報じていたのである。
ところが、昨日(4日)付の『産経新聞』朝刊(東京版、電子版)は7面に次のような記事を掲載している。

記事の冒頭部分を紹介すると、
<台湾で来年1月に行われる総統選で、最大野党、中国国民党が党内の予備選に、人気の高い韓国瑜(かん・こくゆ)高雄市長(61)を参加させる見通しとなった。本人が表向き出馬を否定する中、党本部はルールを変更して候補に加える方針だ。
<台湾で来年1月に行われる総統選で、最大野党、中国国民党が党内の予備選に、人気の高い韓国瑜(かん・こくゆ)高雄市長(61)を参加させる見通しとなった。本人が表向き出馬を否定する中、党本部はルールを変更して候補に加える方針だ。
「勝てる」候補を出したい党本部と、「市長投げ出し」批判を恐れる韓氏の双方の思惑が一致した形だが、なし崩し的な出馬に他の候補は反発している。>
もともと4月24日の『産経』の記事が出ていた時点でも、韓自身氏は、『現行の予備選の制度のもとでは出馬できない』とかなりニュアンスのある発言を繰り返していたので、私は『不出馬宣言』と『産経』が報じてしまうのは、フライイングではないかと思っていた。
すると、その後、韓氏が『出馬をやめそうにもない』といった情報が相次いできたので、とうとう、『産経』としても、やむにやまれず、『なし崩し的』に『不出馬報道』の訂正に乗り出したというのが、本当のところだろう。
でも、全体として見ると、『産経』は台湾のことを詳しく報道しているほうである。
特に、最近(4月3日以降)では、『李登輝秘録』という大型連載をスタートしたばかり(最初は、1面に掲載、その後は国際面に掲載している)なので、おそらく台湾のことを伝えるスペースを十分、確保できなくて、苦労しているのではなかろうかと推測する(『李登輝秘録』については、そのうち、ここでも紹介してみたい)。
それにしても、台湾の世論の動きというのは、急ピッチで変化しているようであり、総統選が来年の1月11日に投開票(1院制の国会議員=立法委員の全員の改選も同時に行われる)されるまで、どうなっていくのか目を離せないような状態である。
(といっても、台湾の政治状況については、わからないことが多いし、中国語の新聞を読んでも、言語以外に理解できない部分がいっぱいあって、日本以上にわかりにくいというのが、率直な感想ではある。)
(といっても、台湾の政治状況については、わからないことが多いし、中国語の新聞を読んでも、言語以外に理解できない部分がいっぱいあって、日本以上にわかりにくいというのが、率直な感想ではある。)
4月24日から1週間前、17日に突如、郭台銘氏が(国民党の予備選に)『出馬宣言』して以降、ここ2週間強の間に台湾で起きたこと、報じられたこと(の一部)を少し紹介してみよう。

郭台銘氏は、シャープを買収した鴻海(ホンハイ)グループの会長である、
台湾の大富豪の一人であり、おまけに鴻海(ホンハイ)グループは、主力工場は中国にあって、アップルその他のIT企業の重要な製品の製造を一手に引き受けている『IT業界の黒幕的な存在』である。
(何しろ、このグループの総従業員数は、一時期は130万人を超えたとも言われており、その大半は中国の工場に勤務している。もっとも、最近のアップルの業績低下、あるいは米中摩擦の影響などによって、従業員数も相当減らしている可能性がある。)
台湾の大富豪の一人であり、おまけに鴻海(ホンハイ)グループは、主力工場は中国にあって、アップルその他のIT企業の重要な製品の製造を一手に引き受けている『IT業界の黒幕的な存在』である。
(何しろ、このグループの総従業員数は、一時期は130万人を超えたとも言われており、その大半は中国の工場に勤務している。もっとも、最近のアップルの業績低下、あるいは米中摩擦の影響などによって、従業員数も相当減らしている可能性がある。)
台湾は、政治的にいうと、近年は中国の『国際的な包囲締め付け』にあった真綿をしめられるように、国交関係を結ぶ国の数が減少している(現在の総統・蔡英文政権下にあって、22カ国→17カ国とそれがさらに減った。今後、バチカンやソロモン諸島なども、『陥落』のおそれがあると言われている)。
こうしたなかで、台湾の人々の間に、『中国に統一されるのはイヤ』『しかし、既成の政治家以外に、これを打開できる人はいないのか?』という渇望感が生じているのは間違いないだろう。
そうした中で、この郭台銘氏(68歳)が来年の総統選に向けて、手を挙げた。
(政治に関していうと)『伏兵』とも言える存在だったので、一挙に多くの人々の関心を集めたようだ。
しかし、彼と夫人の間の関係が、(一定の人々の)失望と怒りを招いた。


というのは、郭氏には、曽馨瑩さんという二番目の妻(現在44歳、24歳年下になる)がいる。最初の妻が、病死したのちに2008年に再婚した人だが、彼女との間に3人の子供をもうけている(最初の妻との間に、2人の子供がいる)。
この夫婦の間は、円満だとみられていたようだが、郭氏が突然、『総統になる』と言い出したことで、彼女の不満(どうやら、経営者を引退したあと、郭氏は別の形で『第二の人生』を送るものと考えていたようだ)が爆発。
彼女は、台湾の家を出て、日本に向かってしまったという。
これに対して、郭氏は、『オンナは政治に口出しするな』みたいことを突然、メディアのまで口走ってしまった(あるいは、この発言が先行して、その後、彼女が家を出てしまったのかもしれなかった)。
いずれにしても、台湾では女性政治家(しかも、日本とは異なり、決して『アクセサリー』とは言えないような実力政治家ばかりのようだ)が大きな社会的地位を得ており、社会全体としても女性の発言権が大きい。
こういう社会において、総統選への出馬を表明した時は、『媽祖』(まそ)という台湾の道教の伝統的な女性の神様の『お告げがあった』などと言っていた郭氏が、このような『昭和のおやじ』的な時代錯誤の発言をしたので、かなりのバッシングを受けたようだ。
(結局、曽夫人は、日本に気晴らしのためにショッピングか何かで出掛けていたようで、その後、郭氏のもとにもどってきたらしい。)
(結局、曽夫人は、日本に気晴らしのためにショッピングか何かで出掛けていたようで、その後、郭氏のもとにもどってきたらしい。)

また、郭氏が、(工場を中国各地に持っていて)習近平主席とも近い関係にあり、同時に鴻海(ホンハイ)の工場のアメリカ・ウィスコンシン州進出が決まっていて、『トランプ大統領とも親しい』とこれまで、言われてきたことも、やや『逆回転』をしはじめている。
実際、トランプ大統領との関係では、つい最近も訪米して、トランプ大統領と会ってきたようである。
だが、ホワイトハウスでは(当然ながら)『台湾の大統領選挙の話などしていない』と、政治ネタに拡大するのを警戒しているようである。
下手をすると、第二の『ロシア疑惑』ではないが、『トランプ大統領は、(郭氏というパイプを通じて)中国との妥協を追求しているのか』(逆に、『郭氏は、台湾を中国やアメリカに切り売りしようとしているのか』)などと、言われかねない恐れもあるのだろう。

こうしたこともあって、最近の世論調査では(実施機関によって、結果はばらついているが)国民党の総統選候補としては、郭台銘氏よりも、むしろ(昨年末に)高雄市長に当選したばかりの韓国瑜(かん・こくゆ)氏の方が、郭氏の人気を上回っている、という状況である。
なお、現在与党である民進党(民主進歩党)のほうでは、相変わらず、蔡英文・現総統と頼清徳・前行政院長(首相に相当)とが、譲らず来月の『予備選』の結果が出なければ、どちらが候補になるか、最終的にわからないという状況のようだ。『予備選』の実施方法についても、決まっていない部分があるようだし、最後まで、この『内ゲバ』みたいな状況が続きそうである。
(いずれにしても、一般的な人気のほうは、頼氏のほうが、蔡氏を上回っている。ただし、両者の差が縮まっているとの報道もある。
また、国民党の韓氏との比較でいうと、韓氏と蔡氏または頼氏の対決になった場合は、韓氏のほうが有利という予想が多いようだ。)
(いずれにしても、一般的な人気のほうは、頼氏のほうが、蔡氏を上回っている。ただし、両者の差が縮まっているとの報道もある。
また、国民党の韓氏との比較でいうと、韓氏と蔡氏または頼氏の対決になった場合は、韓氏のほうが有利という予想が多いようだ。)
このように、台湾の状況は、日本の政治以上にドラスティックに変化している。
総統選の行方は、朝鮮半島の動向、あるいはアメリカでトランプ大統領の再選の芽があるかどうかによっても影響されると考えられ、なかなか目が離せないような状況である。
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