昔から、『犬が人をかむ』のはニュースにならないが、『人が犬をかむ』というのはニュースになるという。
(もっとも最近の犬は、人をかむことが少ないようだが…。)

そういう理屈で言うと、『産経新聞』が詭弁を弄しているというのは、ニュースでも何でもないのかもしれない。
しかし、今や、『産経新聞』の論理が、(ネットをはじめとする)世間にあふれているので、これを黙って見過ごすのもよくないと思う。

しかも、単なる『詭弁』ではなく、それなりに『世の中の矛盾』なり、『隠されたホンネ』の部分を突いているところがある。放置しておくのは、危険である。
(そういう意味では、トランプ大統領が提起している問題と似たところがある。)


そこで、(私が、現在、『電子版』を購読している)『産経新聞』の紙面上で、最近、目にした『詭弁』のサンプルについて書いてみたい。
(『産経新聞』は日々、こうした『付加的情報』の新たな生産にはげんでいるので、これはあくまでも『一例』に過ぎない。)

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まずは、本日(16日)の朝刊に出ていた『産経抄』というコラムから。
(これは、1面の左下に掲載されている。)

このコラム、タイトルはないが、今日の書き出しは、こうなっていた。

<美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が今月6日、米ニューヨークでの競売で『昭和天皇独白録』の原本とされる文書を落札したとの記事を目にし、久しぶりに同書を読み返した。

「現代史、なかでも昭和史にもっとも精通した歴史的証人」(現代史家の秦郁彦さん)である昭和天皇の目に、世界はどう映ったか。>


『「高須クリニック」の高須克弥院長』というのは、ナチスの『ホロコーストがなかった』とする発言あるいは、『南京大虐殺』を否定する主張をばらまいて、11月に『アメリカ美容外科学会』から除名になったと話題の人物である。

(もっとも、最近までご本人は、『アメリカ美容外科学会からまだ連絡がない』とか『除名ではなく、退会である』などと主張していたようである。
私は、この人について特に注目しているわけではないので、よく知らない。)

まあ、『産経新聞』としては『仲間意識』があるから、こういう人物の話を頭に持ってくるのだろう。
以下、途中を大幅に省略しながら、続けていく。
全文を読みたい人は、下記URLを参照のこと。


<▼その昭和天皇も現天皇陛下も、国民と国家の安寧と繁栄を祈る宮中祭祀(さいし)を大切にされてきた。政府が当初温めていた平成31年元日の譲位・改元案を取り下げたのも、「元日は早朝から重要行事が続く」との宮内庁の指摘をきちんと受け止めたからだろう。

▼ところが、今月1日の皇室会議で30年12月末の譲位を主張した赤松広隆衆院副議長の考えは違ったようである。産経新聞の取材では、常陸宮ご夫妻も出席された皇室会議で「皇室の神事は国民生活に何の関係もない」「年末年始の宮中行事は陛下である必要はない」などと説いていた。

▼この際、皇室典範を改正して衆参両院の議長、副議長が自動的に皇室会議の議員になるという在り方は改めてはどうか。過去の議長、副議長を振り返っても不適格者は相当にいそうである。>
 

上記の『皇室会議』というのは、『朝日新聞』の1日付夕刊記事では次のように報道されていた『皇室会議』のことである。

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安倍首相のほか、皇族2人(今回は、常陸宮夫妻が該当)、衆参の議長・副議長、宮内長官、最高裁長官ほか最高裁から1人の合計10人によって皇室会議の議員が構成されると、『皇室典範(第28条)』で規定している。
なお、今回は、皇室会議のメンバーではない菅官房長官が同席していたので問題とされた。

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これは、立憲民主党の議員からこのことについて出された『質問主意書』に対する政府側の答弁書の内容を、『NHKオンライン』で伝えている。

<政府は12日の閣議で、今月1日に開かれた皇室会議に、議員ではない菅官房長官が出席したことについて、天皇陛下の退位に向けた特例法の施行に関する事務を統括するものとして、議案を説明するために出席したなどとする答弁書を決定しました。

この答弁書は、立憲民主党の逢坂誠二衆議院議員や初鹿明博衆議院議員が提出した質問主意書に対するものです。

それによりますと、今月1日、天皇陛下の退位に向けて安倍総理大臣が衆参両院の議長や皇族などから意見を聴く皇室会議に、議員ではない菅官房長官が出席したことについて、「会議の議案が『天皇の退位等に関する皇室典範特例法』の施行日に関する件だったこと、のとして、議案と特例法の内容などを説明するため皇室会議に出席した」としています。

一方、過去に官房長官が皇室会議に出席した事例は、今回以外にはないとしています。>


以上のように、『前例がない』ようなことを、『議案と退位特例法の内容を説明する』ために必要だったとしている。
そもそも、安倍首相自身が説明すれば良いことである。
(そのような説明もできないようでは、『皇室会議』の議員としての資格に欠ける。)

さらに『説明のため』に出席したと称しながら、菅官房長官の席は、議長である安倍首相の反対側に当たる席で、会議の真ん中の席に座っていた。

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こればかりでなく、今回の『皇室会議』および、その『議事概要』として8日に発表されたものには、疑問が多い。
『議事概要』はA4で5枚の貧弱な内容で、しかも匿名で次の3つの意見を列挙しているだけである。
(『朝日新聞』9日付記事より。)

「天皇陛下には(2019年)1月7日の在位満30年の節目をお迎えいただきたい」「国民生活への影響等を考慮する」「静かな環境の中で退位と即位をこぞってことほぐにふさわしい日とする」

退位日について、出席議員の意見は、匿名で三つを列挙したのみ。その後、議長を務めた安倍晋三首相が「19年4月30日退位」の案を示し、「皇室会議としての意見が議長の意見案のとおり決定された」となっている。>

<菅義偉官房長官は8日の記者会見で、詳細なやりとりを公表しない理由について、「国民がこぞってお祝いすべき日に関するものであって、どなたがどのような発言をされたかを明らかにすることは必ずしも好ましくない」と皇室会議が合意したためだと強調。これ以外の記録については「作成しない」と明言した。>



それなのに、『産経抄』は、赤松衆議院副議長が「皇室の神事は国民生活に何の関係もない」「年末年始の宮中行事は陛下である必要はない」などと説いていたとして、『この際、皇室典範を改正して衆参両院の議長、副議長が自動的に皇室会議の議員になるという在り方は改めてはどうか。』などと書いている。

これは、あまりにも一方的ではないか?
そもそも、赤松氏が何を発言したのか定かではない。


実は『朝日新聞』の8日の記事にも、こう書かれている。

<実は、意見はそれだけではなかった。複数の出席議員によると、立憲民主党出身の赤松広隆・衆院副議長が「18年12月31日退位」を支持する発言をしていた。国民生活への影響、退位の早期実現を考慮した意見とみられる。だが、赤松氏は会議終盤のとりまとめでは「19年4月30日退位」に同意し、議決書に署名。自身の発言をその後も公にはしていない。>



『皇室会議』で衆議院副議長が、自由に意見を述べることができるのは、当然ではないか?
それを、出席者の議論を紹介するような形で『議事概要』あるいは『議事録』を作ることもなく、『産経抄』のような形で、『一刀両断』に付するのは、まさにルール違反ではないか。

あたかも政府が『改元』や『退位』『即位』をきっかけにどのような決定・宣伝をしようが、それに対して『異を唱える』のはまるで『国賊』であるかのような態度である。


これこそ、現行憲法のもとでの、『改元』や『皇室』の在り方にふさわしくないと感じる。
こうした安倍内閣の『悪乗り』をサポートするかのような、『産経新聞』の論調に対しては、厳しく監視・対応していく必要があると思う。

『産経新聞』のこうした論調(安倍内閣をサポートする暴論)は、この『皇室会議』に関するものだけではない。
(つづく)






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