明後日(11日)には、再び日本に『一時帰国』する。(今度は、10月30日までの予定。)
横浜の自宅に『住民票』は残したままなので、今回の総選挙、普通に投票できてしまう。

(どうも、喜んでいいのかどうか、よくわからない。私の父=一昨年、97歳で逝去=が生きていれば、どこに投票すれば良いか迷ったことだろう。

父は、『民主党』が政権をとった時に、投票したらしく、その後、ずっと怒っていた。
母=昨年、91歳で逝去、長崎の被爆者=は、晩年は『認知症』になってしまったから、生きていたとしても、ニュースを見ることもできなかっただろうが…。

ただ、もう少し判断力が残っていたとしたら、カズオ・イシグロ氏のノーベル文学賞受賞や、『ICAN』のノーベル平和賞受賞にどう反応したか、興味深いところだ。)


さて、先日、このような本を、台中市の『国立公共資訊図書館』から借りて読んだ。
それの簡単な紹介と感想でも書いてみたい。

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この本は、2000年の4月に藤原書店から刊行。著者は、丸山勝というかた。後ろのほうの著者紹介によると、次のような経歴のかたらしい。

1939年生まれ。現在、目白大学人間社会学部教授。台湾・国策研究院客員研究員。
読売新聞社で北京支局長、アジア総局長などを経て、著書に『現代中国のイメージ』(三修社)など。


この本は、『陳水扁の時代』というタイトルで、副題として、『台湾・民進党、誕生から政権獲得まで』と付けられている。

特徴は、台湾の政治史(1947年の『2・28事件』以降の)が書かれていて、特に私にとっては、何となく『知ったつもり?』になっている、李登輝氏が総統に就任して以降、2000年の総統選挙で、民進党の陳水扁氏が政権獲得をするまでの政治過程が、ジャーナリスティックな観点で書かれているのが、面白かった。


なお、なぜ、こんな本を読んだのかというと、台湾に来て新聞やニュースを見ていても、(中国語がわからないせいもあるが)どうも、何が台湾の政治で起こっているのかよくわからない。

これは、やはり、『民進党』(正式には、『民主進歩党』。民進党というのは略称)という政党の歴史をもう少し振り返らないとわからないな、と思って、こんな本を図書館で借りてきた。

私は、日本で、蔡英文氏(昨年の総統選で再び、民進党の総統、しかも台湾史上初の女性の総統)の著書を2冊くらい買ってきて、どちらも少し読み始めたが、ご本人が書いている著書のせいか、どうも、書かれていることに『客観性』『全体性』が感じにくく、外国人にとっては、読みにくい。
どちらも、途中で読むのがストップしてしまい、また、そのうち、頭から読み返そうと思っている。



この『陳水扁の時代』が書かれたのは、陳水扁氏の総統就任が決まったばかりの時点に過ぎない。
結局、陳水扁氏は、2期(2000年~2008年)、総統を務めた。2000年と2004年の2度の総裁選に勝利した。
しかし、2期目においては、スキャンダルにまみれた。特に妻の呉淑珍さん(この人は、もともとは陳水扁氏に劣らぬくらいの秀才であったらしい)がインサイダー取引とか総統府機密費の私的流用などで、スキャンダルで炎上した。

総統退任(2008年5月)以降、『不逮捕特権』がなくなり、同年11月には総統機密費流用及び資金洗浄(マネーロンダリング)容疑により逮捕された。
裁判では、機密費流用事件では逆転無罪となったようだが、機密費に関する文書偽造罪とマネーロンダリングで有罪(懲役2年8カ月、300万元の罰金)となった(夫人のほうは、懲役11年6カ月等と陳氏よりも重い刑である)。

その後、2013年6月に刑務所に収監中に自殺を図ったり、2015年にうつ病などで健康状態の悪化が伝えられ、現在、最高裁での審理が停止され(事実上、停止との表現もある)、釈放されているようである。
(以上、ウフィキペディアの記事による)

他方、最近の現地のニュースなどを見ると、民進党政権のなかでは、陳氏に対する『特赦』を求める声もあがりつつあるようだ。


ともかく、陳氏は、『初の野党の総統』に就任したにも関わらず、悲惨な結末を迎えたといっても良いだろう。
(しかも、陳氏に関する本などを読むと、日本では、『悪い奴』というイメージもあるかもしれないが、必ずしも『そうとは言い切れない』複雑な政治的社会的背景があったようである。)


不思議なのは、実は、同じようなイメージの政治家(貧しい農家の出身で、弁護士から政治家に転じた)で、韓国の大統領に2003年(既に陳水扁氏が、総統になっていた時期)に就任した、廬武鉉(ノムヒョン)氏が、これまた『悲惨な結末』を迎えていることである。

廬武鉉氏は、新千年民主党をバックにして、2003年に当選。しかし、この新千年民主党は、金大中氏らの派閥と、廬武鉉氏らの主流派で抗争を展開した。
そして、(これは与野党ともに起きた現象らしいが)大統領選挙における不正資金疑惑なども噴出、大統領弾劾訴追案が提起されたこともあった。

結局、2007年の大統領選では、保守の李明博氏に政権を奪取される。
大統領退陣後の2008年に廬武鉉氏の親族等の不正献金などの疑惑が噴出し、その過程で廬武鉉氏自身も捜査対象となり、事情聴取が行われた。
この過程で2009年5月に廬武鉉氏は自殺を遂げた。


陳水扁氏にしても、廬武鉉氏にしても、『不幸な展開』を遂げた。
ちょうど、2008年、2009年ころ、こうした事態が韓国や台湾で相次いでいたが、当時、こうした現象は、両国の政治の『後進性の表れ』としてとらえる向きが、日本国内では多かったように感じる。

しかし、果たしてそうとばかり言えるのだろうか?
日本の現在の安倍政権で、安倍首相夫人の安倍昭恵夫人をとりまく疑惑などを考えると、そうとばかりは言えないようにも思える。

安倍政権の場合は、権力のガードが堅いのでそうなってはいないが、考えようによっては安倍昭恵夫人を巡る疑惑、あるいは安倍首相の友人とされる加計孝太郎氏を巡る疑惑は、彼らを逮捕、起訴、裁判へという状況に至ったとしても、不思議ではないような話ではなかろうか?

あるいは、韓国や台湾の政治が『遅れている』のではなく、むしろ、日本の政治のほうが『遅れている』という可能性もある。
そのように、物事は、複合的にとらえうる状況になりつつある。
(つづく)







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