この記事の続きだ。


昨日(13日)、アニメ映画『この世界の片隅に』を台湾(台中市)の映画館で見たのだが、印象がうすれないうちに、書き留めておきたい。


私は、この映画は、もっと『日本語世代』(1945年に終了した、日本の植民地時代に教育を受けた台湾人)の人々が見に来るのかと思ったが、そういう人の姿は見かけなかった。

そういう人(日本の統治下の小学校等で日本語教育を受けた人)は、いま、80歳近くかそれ以上になっているから、そもそも、映画館で映画を見る習慣などないのかもしれない。

それに見に来たとしても、(広島弁の)日本語では『ほとんど、分からない?』かもしれない。
中国語の字幕は、画面の下についているが、それも見づらいかもしれない。

日本でも、かなり年配の人も来ているが、(年配者といっても)70歳代、60歳代が中心だろう。
日本でも、若い人たち(彼らの子供や孫?)などが、『クラウドファンディング』(ネットを通じて、今回の場合は、映画製作資金の一部を集めたことである)の説明などをしている様子を見たこともある。


私が日本で見た5回くらい(細かく数えるのをやめたので、はっきり覚えていない)だが、そのうち、2回は、舞台となった広島市と呉市内の映画館だった。
当然、観客たちが日々、暮らしている土地の昔の話だから、関心が高かったのも当然であろう。


それから、台湾の人たちが、(植民地の時代に)日々、接していた『日本人』というのは、仮に『庶民』であっても、『統治者』であった。『この世界』に登場する、まさに庶民そのものである『日本人』とは違った印象もあるだろう。
(まあ、これから、『日本語世代』でこの映画に関心を持つ人が増えることも、考えられないではないが…。)


それから、私は、日本がいわゆる『一国平和主義』的な『平和ボケ』状態にあると『誤解?』されて、もしかしたら、この映画が台湾の人に受け入れられないかもしれないと案じていた。

しかし、映画を見続けている人々の『感情』みたいなことに思いを寄せていると、どうも違うようだ。
たしかに、台湾には国民に対して、『兵役』義務がある。
また、台湾の総統選にからんで、中国が台湾周辺にミサイルを威嚇的に打ち込んできたこともある。


だが、実際、台湾が『戦争』に本格参入したのは、国民党と共産党の『内戦』くらいが最後だろう。
むしろ、『朝鮮戦争』とか、あるいはベトナム戦争に『韓国軍』が本格参入したことのほうが、後のことになる。
(つまり、韓国人にとって、『戦争の記憶』は、もっと生々しい?)

そういう意味では、台湾の『若い世代』に『戦争』の記憶など、『ない』と言っても言い過ぎではないのかもしれない。


この映画の中で、『すずさん』が、得意の絵を描いていて、憲兵に『間諜行為』(スパイ)だなどと疑われる場面がある。

どうも、この場面に対する反応は、日本よりも台湾のほうが、『良かった』というより、もっとビビッドに反応しているように感じた。
私は、それは台湾の人々の中に、30年前まで敷かれていた(蒋介石軍事政権による)『戒厳令』の記憶が残っているからではないかと思った。
(直接、体験した世代でなくとも、親などからその話を聞かされているであろう。)


この場面をのぞけば、私は、(現代の)台湾の人の記憶も、日本人の記憶も、それほど『根本的な差』はないのかもしれない、と思う。

台湾も、日本の敗戦まじかには、米軍による『空襲』を何度か受けたようである。
しかし、それは日本本土に対する最終段階における攻撃のように、根本的なものではなかったようだ。

米軍は、台湾はどちらかと言えば、(ほとんど)パスして、『沖縄』に対して、集中的な攻撃を加えた。
日本軍もフィリピンで敗北した以降は、次の戦略的な戦場は、『沖縄』へと定め直したようだった。
(この辺は、私も、知らないことが多いので、違っている部分もあるかもしれない。)

この映画が、台湾の人々の『ヒロシマ・ナガサキ』に対する関心につながっていくと良いという気がする。

(現時点でも、台湾の人々は、『3・11』以降、原発事故に対する強い関心を持っている。『脱原発』は台湾において、日本以上に『政治的関心』を集めた争点である。
民進党の蔡英文政権は、『脱原発』を進めているが、現状でも、夏の電力の不足を口実に、『原発の復活』を目指す勢力は、依然として存在している。)

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最後に、こちらの(民進党系の新聞である)『自由時報』に掲載された、映画『この世界』に関連した記事を紹介しておく。
(こちらの新聞は、日本の『産経』『読売』と『朝日』『東京』みたいな違いが、もっと露骨に出ている。国民党系の新聞も時々買っているが、どうも、この『自由時報』という新聞が一番、見やすい。まだ、『読む』ところまで行っていないが…。)


最初の記事は、のんさんが、7月に台湾の映画祭に訪れた時の記事。
台湾では、日本の映画、テレビドラマが人気なので、『のんさん』は人気が高いようだ。
(日本の芸能界の事情で、『改名』を余儀なくされたことも、報道されている。)

2番目の記事は、『原爆映画』の比較として、『この世界』と山田洋二監督の『母と暮らせば』(2015年作品)とを比較して論じているようだ。

3番目の記事は、片淵監督の熱心な活動(製作のための長期のロケハン、情報収集、それから映画ができてあとの『舞台挨拶』の活動、広島の平和式典への参加など)を中心に取り上げ、それが、『11か月間連続上映』という快挙につながったことを報じている。







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