この記事の続きだ。

なぜ、今頃、百田尚樹のことを書くのだろうか?
などと疑問に思った人もいることだろう。

実は、今朝(28日)、(台湾でも『NHKワールドプレミアム』という海外放送で見ることができる)NHKの『日曜討論』を見ていた。
今回のテーマは、『賛成? 反対? 激論“テロ等準備罪”』だった。

賛成、反対ともに、3人の論者を揃えて、NHKの島田敏男解説委員副委員長が『司会』をつとめる。
あまり、『中立』とはいえない人物である(安倍首相のメディア対策の『食事会』には、何度も出ている人だったと記憶する)。

そもそも、賛成、反対、同じ時間ずつしゃべらせるという(一見、『公平』な)形をとっているが、個別の論点の説明になると、まず政府の主張をNHKが説明し、そのあと、『賛成論』『反対論』と来るから、政府側(賛成論)としては、2度の発言権(説明権)があるようなもので、運営の仕方からして、『公平』とはいいがたい。


とはいえ、今回、面白い局面もいくつかあった。
(本当は、録画したものでも見直せれば良いのだが、あいにく録画できていないので、それもできず、確認できない。)

その一つは、この2人のやりとりである。

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最初の人は、門田隆将(作家・ジャーナリスト)という人。
『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』『なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日』などの著書で有名だ。

簡単にいうと、安倍首相寄りの『解釈』で物事を説明する人である。
同時に、読む人を揺さぶるような感情(=正義感?)を込めて書くので、それに変に『感染?』すると危険な本でもある。

上記の吉田元所長に関する本(および、その後の執筆)では、『朝日新聞』が書いた、吉田証言に関する記事が、『デタラメ』であるとの主張に沿った内容であったと記憶する。
(私は、『朝日新聞』の記事は、吉田証言をどう『解釈』し、『表現』するかという選択の範囲内の記事であって、『誤報』とか『デタラメ』とは言い切れないと感じている。)


今回、この番組に出てきたのは、彼が例えば、『狼の牙を斬れ 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部』などの本も書いており、この分野にも詳しいと目されているからなのだろう。
同時に、『首相官邸』から覚えがめでたい、という事情もあるのだろう。安倍首相は、百田尚樹、あるいは山口敬之と次々と、『書き手=喋り手』の応援団を、(実質的に)失いつつあるが、門田氏は、そのなかの『生き残り』(あるいは後継者)の一人なのだろう。

ともかく、『テロ対策』として、この法案が有効なのかどうか、ということについて話していた。
印象に残ったのは、門田氏が言ったこと(主に、オウム真理教の事件に即して、この法案は役立つと主張)に対して、江川氏は、『どこが、どう役立つの?』と『ファクト』に即して反論していた点である。

こちらも『素人?』であり、オウム真理教事件については、昔、幾つか読んだが、すっかりその内容を忘れてしまっている。

こういう『素人?』からすると、門田氏の主張も、一見、『そういう風に言えるのかな』とも思ってしまう。
ところが、江川氏は、見事なくらい門田氏の主張を打ち砕く。
(門田氏の反応を見ると、江川氏のほうが『精度』の高い議論をして、門田氏が撃ち込まれているのがわかる。)

つまり、江川氏いわく、『警察・検察もオウム真理教事件について、本来の意味の総括を全くしていない』そして、なおかつ、『テロ対策』に役立たず、単に公安畑の権限拡大をもたらすこの法案を、この機に便乗して『成立』させようとしているだけ。

警察・検察による冤罪事件、『でっち上げ事件』の多さから考えると、この法律が制定されることによる『暴走の危険性』のほうが大きい、と主張していた。

私が、ツイッターなどを拝見して知っている限りでは、江川氏は、いわゆる『左派』でもなんでもない。むしろ、『読売新聞』なども文字通り『熟読』されて、評価すべきものは評価している、そういう一種の『常識人』である。
(ただし、今回の前川文部科学省前次官を巡る、『読売新聞』の報道ぶりについては不快感を示していて、この番組でも、わざわざそのことを指摘していた。)


このやりとりを見ていて、私は、やはり門田隆将という人は、一種の『アジテーター』に過ぎないのだなと感じた。
そして、これが、前回書いた、百田尚樹氏に続き、(安倍首相に近い人々が)公の討論において、いわば『馬脚を現す』という(連続的な)シーンであった。

安倍首相がおそらく愛読しているであろう、『月刊Hanada』(花田紀凱・責任編集)や『月刊WiLL』などの雑誌で、健筆?をふるっているのが、百田尚樹氏や、門田隆将氏らである。

こういう、(身内の集まった雑誌で)『内弁慶』ぶりを発揮している人たちは、公開の『討論の場』に引っ張り出されると、『トンチンカン』なことしか言わない(言えない)ことが、人々に見すかされてしまうようだ。


ちなみに、今回の『日曜討論』では、『賛成派』の筆頭格として登場した、井田良・中央大学大学院教授が、『日本の警察・検察に信頼するのは当然。それが信頼できないのなら、話にならない』などと言うようなことを、最後に言っていたのが印象的だった。
(彼は、『世界の動きの変化に合わせて、刑法の考え方も変化させていくのは当然すべきこと』『物事には、すべてリスクがあり、それを恐れて、前に進めないのは問題』などとも言っていた。この議論を詰めていくと、かなり現時点での、政府の法案説明と異なっているような気がする。
また、刑法学者のような『顔』をして、政治学者か政治家みたいなことを言う人だな、とも感じた。)

もっとも、政治家であれば、現在の警察・検察(あるいはそれをチェックできない『裁判所』)の問題を含めて語るべきであり、そうしないところに、この人の『ずるさ』を感じる。






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