この記事の続きだ。

6日に開催された日経新聞と、アメリカの戦略国際問題研究所=CSISというシンクタンク共催のシンポジウムに関するこの記事、今回(その5に相当する)をもって『最終回』としたい。

今、思い返してみると、このシンポの数少ない日本人登壇者(3人だった)のなかで、結構、聴衆にこびるような(それでいて、聴衆をミスリードするような)妙な発言をする人が多かったなと感じる。
(もっとも、こういった発言は、『日本経済新聞』に掲載された、シンポの報告記事ではカットされている。)


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最初にカチンと来たのは、北岡伸一氏の発言。

この人は、特別鼎談1『米国の次期政権の課題:国家安全保障会議(NSC)の経験から』という部分の司会をやっていたのだが、安倍内閣が発足させた日本版『NSC』(国家安全保障会議)について、こんなことを言っていた。


<日本のNSCは、まあ、うまくいっていると思う。今朝の『朝日新聞』にNSCについてポジティブな記事が出ていた。
『あのアサヒ』がほめているのだから、うまくいっているんでしょうね?>

こんな調子で、『あのアサヒ』という言葉を、まるで仲間内の『暗号』みたいな使い方をしながら、思わせぶりな発言をする。

しかし、この人、『産経新聞』系列の雑誌などでは、『戦後70年談話』に『侵略』や『おわび』を盛り込ませた張本人?として、(一部)裏切者呼ばわりする人(例えば中西輝政氏)がいるくらいの『器用な政治家みたいな学者?』である。
(もっとも、総体として、安倍首相のやることは何でも支持するというのが、今日の『右派』の全体的なスタンスのようだが…。)


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これが、北岡氏のほめた、『朝日』の6日付の記事のようである。
(北岡氏、おそらく本音では、自分自身が『朝日にほめられたい』というような願望を持っている、つまり、『朝日がえらい』と思っているタイプの人なのであろう。)


この人は、上記のように、この日のパンフには、『東京大学名誉教授』という肩書を使用していたが、その他、『国際大学学長』も兼務し、さらに、(シンポの中でも言っていたが)一連の安倍内閣に対する貢献の『見返り?』ということか、今では、国際協力機構(JICA)の理事長まで務めているようだ。


北岡氏より、もっとおかしな言動をまき散らしていたのは、特別鼎談2『米国の大統領選挙と日米関係』の司会を務めていた春原剛(日経新聞編集局長)であった。
(この人、身内のせいか、この日のパンフに写真は掲載されていなかった。)

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この特別鼎談2のパーツというのは、最後に聴衆(1000人を超える)を対象としてアンケート調査を行うのが、慣例になっているらしかった(初めて参加したので、わからなかった)。

幾つかの質問(全部で10個くらいあった)を春原氏が発表し、それに対して、上記のパンフの裏表の表紙の色(青と赤)を使い分けて、青なら『YES』、赤なら『NO』といった具合に、聴衆に高く掲げさせて、それを壇上から春原氏とか、アーミテージ氏あるいはキャンベル氏などが見て、やれ『YES』が80%だとか、90%だとか言って、一喜一憂?している。


その第1問は、(正確な言い回しは忘れたが)『トランプ氏がアメリカ大統領候補になったことを、支持するかどうか』というものだった。
これは、『トランプNO』を意味する赤票が、90%以上になったと、春原氏(壇上から見渡しながら)言っていた。
(私は、受け取ったパンフをリュックの中に入れてしまい、それですぐ取り出せないので、この『投票ごっこ』には参加しなかった。)

ただし、この投票はシンポの最後に実施したため、実際には途中で帰ってしまった人もいて、そういう人は『アンケート用紙』に記入して意思表示した人もいたようだ。

その途中退出者の投票状況によれば、『トランプNO』が86.1%、『トランプYES』が13.9%だったと紹介した。
そのうえで、春原氏は、<このYESの回答のなかに、その理由として、『日本の自立をうながすから』というものがあった。これは、かなり危険な傾向である。これでは、日米間で『負の共鳴作用』が生じてしまう。>などと言っていた。


このような『アンケート調査』は聞いたことがない。調査をしている最中に、『こういう考え方をしては、いけませんよ』と全体にアナウンスするのだから。

しかも、この(会場内での)『アンケート調査』、その人がどう投票しているか、その後ろにいる人たちには、ミエミエである(もちろん、壇上からもわかるが)。というのは、裏の表紙が、『赤』になっていれば、当人は『青』を掲げているという関係になるのだから。

つまり、日本人の『世間体』を気にする習慣から考えると、春原氏は、(日本はアメリカから自立すべきではないかと考える)安倍首相支持派の中にも存在するはずの意見を封じ込めるようなことを、わざわざ言っているわけだ。


その後は、こんな質問が続いた。
<ヒラリー氏が大統領候補になることをどう思うか?>これは、『YES』が70~80%くらい。

<南シナ海の問題での中国の動きについて、アメリカが武力行使を含めて、断乎として阻止してほしいと思うかどうか?>これも、随分、アバウトな質問だが、『YES』が60~65%くらい。


<北朝鮮の核問題の現状について、『心配しているあるいは懸念している』かどうか?>『YES』が90%。これなど、シンポの中身からすれば、ほとんど『誘導』のような質問である。

<ロシアとの関係について、平和条約、領土交渉などを進展させるべきか?>『YES』が80%。そもそも、その中で何を『失う』可能性を示さないのだから、当然の結果か?


<オバマの広島訪問について、『評価する』『非常に良かった』と思うか?>『YES』が96、96%くらいかと春原氏は言っていた。
(これなど、私が投票?に参加していたら、『NO』とあげたのだが…。)

この回答なども、先ほどの『日本が自立するからトランプの進出を歓迎する』という意見に対する、春原氏のクソミソの対応を見れば、そういう意見の人は、押し黙るかあるいは会場内から退出するであろうから、かなり『バイアス』のかかった、結果だとも言える(実際、このアンケートの途中で、退出している人たちも一定数いた)。

<日本の総理大臣は、真珠湾に行くべきかどうか?>『YES』が60%くらい。
この結果に関連して、アーミテージ氏は、『遠い将来に行くのなら良いと思う。今、行くのはむしろ、逆効果である。日米間にオバマ広島訪問を巡って、何らかの取引があったと思われてしまう』と言った。

<日米関係の今後はどうなるか、良くなると思うか?>『YES』が80%。

<ヒラリーとトランプのどちらが良いと思うか、ヒラリーを青、トランプを赤として>ヒラリーが80%。


まあ、これは、一種の『ままごと』的なアンケートごっこである。
実施する側がどういう結果がほしいか、はっきりしていて、回答する側もそれを察知しながら、回答しているのだから。
(考えてみると、しょっちゅう、新聞社などが実施している『世論調査』なども、これと同じようなニュアンスがあるのかもしれない。)

このアンケートについて、特にアーミテージ氏などは非常に興味深そうな表情で、結果を壇上から見続けていた。
どうも、この人は調査などについて、その仕掛けなどを『深く考えるタイプ』の人でもないような気がする。

たしか、自分自身でも、『アメリカの中で、<知性派>などと受け止められてはいない』などと、このシンポのどこかでしゃべっていた記憶がある。
まあ、意外と『正直な人』ではあるのだろうが、彼などの言うことをそのまま受け取るのは、『疑問』を感じる。






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