日本の新聞と言うのは、従来、『中立公正』などを建前としていることが多かった(それが現実に何を報道しているかは別にして)。
ところが、最近で言うと『原発』『特定秘密保護法』などの報道を巡って、対立は明確化して、今回の『集団的自衛権の行使』容認の閣議決定で、対立は頂点に達しつつあるといっても良い(実際は、まだまだ頂点でなく、8合目くらいかもしれないのだが)。

閣議決定の翌日、7月2日の新聞各紙だ。この日は、記念?の意味もあって、多くの新聞を購入した。
新聞代もかなりの金額になる。なお、日本経済新聞が160円と最も高いが、朝日が140円、読売が130円と10円の差がついてしまっているのが、朝日新聞にとっての『営業面』での厳しさをうかがわせる。
産経と東京はどちらも110円である。

まず最初に、反対の論陣を張っている新聞(もちろん、私も『反対』であるが)。

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最初に載せた『東京新聞』(中日新聞社発行)のほうが、ストレートで分かりやすい見出しを、この間付けてきた。
それにつられて、(やや回りくどく、分かりにくい表現をすることが多かった)『朝日新聞』(この新聞は、安全保障政策について、内部で『論争』というか『迷い』があるのではなかろうかと推測される)のほうも次第に、直接的な表現になっている。

(このほか、『毎日新聞』も『反対』の側の新聞である。さすがに、これまで買うとお金がなくなってしまうので、ごくたまにしか買わない。)

両者の主張を改めて紹介するために、ここは代表して『東京新聞』の記事のリード部分を載せておこう。

『安倍内閣は一日の臨時閣議で、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を禁じてきた憲法解釈を変え、行使を認める新たな解釈を決定した。自衛権の発動を判断する新たな「武力行使の三要件」は抽象的。解釈次第で範囲が拡大していく懸念があり、戦後六十九年にして、九条に象徴される平和憲法は最大の危機を迎えた。』


次いで、『賛成』『支持』の新聞である。

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こちらもストレートな見出しの『産経新聞』だ。『反対』の側が『戦争』の危険性を指摘しているのに対して、『積極的平和』という言葉を意識的に出してきて、『挑発的な印象』すら受ける。

この見出しの下の紙面には、『21世紀の日本のかたち示す時』という見出しを付けた政治部長・有元隆志名の文章が掲載されている。
その冒頭部分は、次のように主張している。

『自衛隊発足から60年を迎えた1日、閣議決定によって、長らく日本の安全保障政策を覆っていた「集団的自衛権」という“呪縛”から解き放たれた。その意義は大きい。
日本が強みを発揮できる後方支援を中心とした新たな安全保障体制を構築すると同時に、「21世紀の日本のかたち」を世界に示す重要な一歩としなければならない。』

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ちなみに、この『産経新聞』の翌3日の1面には、さらに刺激的なこのような見出しを付けていた。
<解釈変更『暴挙』と断じる朝日・東京><感情論 見透かされる扇動>とこの見出しこそ、ある意味で『扇動的』であり、『ケンカ腰』である。

これによると、『朝日』や『東京』は『感情的で恣意的な報道ぶり』だという。『国民の不安と危機感をあおり、世論を動かして自社の主張に政府を従わせようという手法』であると断じているのである。

だが、果たして『国民の不安と危機感』は『朝日』や『東京』がむやみに煽っているものに過ぎないものなのか?


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『産経』と比べると何だかおとなしくも見えてしまうが、その内容面において、決して負けない高い調子で、安倍政権に支持を与えているのが、日本で一番、売り上げ部数が多いと言う『読売新聞』である。

『閣僚や官僚が自衛隊の役割を拡げる答弁をすれば、自衛隊違憲論の野党の反発で国会は空転し、審議は行き詰まった。政府は安全保障の観点より国会対策を重視して過去の憲法解釈に固執し、自衛隊の活動を過度に制約した。
「集団的自衛権を有するが、行使できない」との解釈はこうして固まった。』

『戦後69年間、日本は外国と戦火を交えていない。自衛隊と日米同盟で抑止力を維持し、適切な安保政策で憲法の平和主義を体現してきたからだ。この姿勢を堅持するのは当然だ。』としている。

この論調は、『戦後69年間、日本が戦争をしていないのは、憲法第9条があったからだ』とする『集団的自衛権の行使』反対論者が言う主張とどこか似ている。


だが、実際は、<『憲法第9条』に代表される『平和憲法』>と『日米安保体制』の組み合わせ(それに、これまでの国際情勢)、こうした(幸運であったかもしれない)ミックスによって、『戦後69年間、日本が(少なくとも直接的に)戦争をしてこなかった』のではなかろうか?

(戦後すぐの朝鮮戦争において、戦争経済が日本の経済復興を促進し、またベトナム戦争によって、日本の経済がいささかうるおった、そういうマイナスの現実も直視しなければならない、と私は思う。)


『産経新聞』などが、時々、揶揄していうように、『護憲論者』は一貫して『憲法を守れ』と主張し、その憲法解釈に対して、一貫して反対してきたわけでは必ずしもない。
今日、誰が見ても、その装備からは世界有数の『軍隊』でしかない『自衛隊』の存立を、(『反対派』も含めて)実際上は許してきたのも、事実であろう。


そういう意味で、『産経新聞』が主張しているような『空想的平和主義者』などは、実際の日本の政治においては、大きな勢力として存在してはいない。
むしろ、『憲法改正』論者を含めて、かなり柔軟な対応をしてきたのが『現実』である。


だが、今日、安倍内閣の進めているのは、『産経新聞』の言う『空想的平和主義者』などといった(半分、プロパガンダに近い)レッテル張りを越えて、多くの人々が危惧を示すような、『突進ぶり』なのである。
それこそが、現実なのだと思う。

(つづく)




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