映画、小説などの創作以外から、戦前の都会生活、特にサラリーマンの生々しい生活の実態を、今となっては知ることは難しい。
大正15年(1926年)大正天皇が崩御 され、裕仁皇太子殿下が第124代天皇に践祚 され、元号は「昭和」となった。こうして64年間の長きに渡る昭和の時代は幕を開けた。
関東大震災の復興を機に、昭和初期の首都圏は道路、鉄道、港湾、各種インフラの再整備が進み、周辺地域も目まぐるしい勢いで市街化していった。
当時、北海道炭礦汽船に勤務していた前田一(32歳)の「サラリマン物語」によって、「サラリーマン」という和製英語を定着させる切っ掛けとなったようだ。
それまで小役人や地位の低い勤め人、安サラリーマンは「腰弁 」あるいは「腰弁当 」と呼ばれていた。
元々、腰弁 は、江戸時代に下級武士が袴の腰に弁当を結びつけて出勤していたことに由来する。
東洋經濟新報出版部「サラリマン物語」は、サラリーマンの日常生活や心情を記録しただけでなく、数量データも数多く残されている。
国立国会図書館デジタルコレクションの中から「サラリマン物語(永続的識別 ndljp/pid/1279519)」をダウンロードしてJPEG画像に変換、調整しました。
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サラリマン物語.pdf(28.8MB)
https://drive.google.com/file/d/1p00kww00XTUGsjusl82UjiEBvZ12MWXx/view?usp=sharing/
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本書は知己あふれる著者の描写も面白いが、「大学は出たけれど」と言われた時代のサラリーマン入門書、実用書という側面もあったようだ。
現代とも共通点の多さを感じる昭和初期の都会生活を知るうえで、順次、データなどを拾い出して記事にしたいと思っています。
今回は、前田一著「サラリマン物語」の全体を見渡すために、目次と概要を以下の一覧にした。できる限り旧字体、仮名遣いを使った原文に従った。
標題 / 目次 / 自序
第一 腰辨 のデフイニシヨン
ピンからキリまである月給とり
定義は困難
腰辨俗謠
昔の腰辨 と今のモボ
『旦那さん』
定義は困難
昔の
『旦那さん』
第二 高等遊民 の洪水 『就職難 』
學士樣なら娘をやろかは昔の夢
法學士日給八拾九錢
全國各大學専門學校卒業生の就職狀況
履歴書の習字
採用試驗
重役一問一答
奇問奇答の採用ぶり
第三 腰辨 の晴衣 『首吊 り一著 』
値段掛引偵察戰
ぎり〳〵けつちゃく
二十四
第四 腰辨 の足 『省線電車 』
□△〇
ラツシユアワ
公認異性抱合
性的誘惑と犯罪誘惑
三
鳴り物入り納凉車
妙術
一
第五 大學出 の幼稚園 『見習 制度』
課長さんの
イージーゴーイング
第六 腰辨 の値段 『月給袋 』
四十代表會社銀行の初任月給高
月給と月収とは別問題
小學校敎員の平均俸
中等敎員の平均俸累年比較
第七 牛 の步 み『月給袋 の膨 れかた』
三十二代表會社銀行の昇給期並に昇給割合
五年たつて
十年後の俸給額
第八 惡 くない『ボーナス氣分 』
三十二代表會社銀行のボーナス給與高一覧
ボーナスは一種のチヤリチー
第九 米櫃 の底 と一六銀行
質屋と高利貸
俸給生活者び生計狀態調査
月収六十五
生活の機械化は
第一〇 家賃 參拾圓 、敷 百圓
親子三人の
タワラ
第一一 腰辨 生活の總決算 『退職慰勞金 』
代表會社の退職金給與標準一覧表
退職金 も貰 ふまでは向 ふのもの
明日 の萬 より今日 の百
第一二 十人十色、腰辨 の種々相
機械か筆耕屋 か
重役攻撃
不平煽動
珍妙な解職
突飛 な男 不慮 の大事件
膀胱破裂
六尺
バナナ
人造 癲癇
腰辨 の集團 は社會 の縮圖
重役攻撃
不平煽動
珍妙な解職
バナナ
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