市丸利之と家族
相変わらず、戦前の「軍人」だけを悪く言う人もいるが、戦前、戦中の事実(ファクト)を改めて知ると、祖先に「唾を吐いていた」ことが恥ずかしく思える。
以前に、戦後に評判の良くなった指導部の軍人が「何を考えていたか?」を知って驚嘆した次第だ。大東亜戦争での本土防衛の要となった「硫黄島の戦い」で、小笠原方面最高指揮官の栗林忠道陸軍中将と共に第二十七航空戦隊司令官として市丸利之助海軍少将が指揮にあたった。
 
映画「硫黄島からの手紙」日本版劇場予告
 
数年前に公開された「硫黄島からの手紙」によって栗林忠道中将の生きざまも、クリント・イーストウッドが見事に描いてた。その折に、映画にはなかった市丸利之助海軍少将の遺書を知る切っ掛けになった。
 
硫黄島防衛の可否については、様々な後世の評価はあるかも知れないが、遺書は当時の指導者の見識の高さと、日本人の信念を知る内容であることに触れた思いがした。
 

 
市丸利之助
市丸利之助海軍少将は、アメリカ大統領・フランクリン・ルーズベルトに宛てた手紙「ルーズベルトニ与フル書」をしたため、これをハワイ生まれの日系二世三上弘文兵曹に英訳させ日本語、英語各一通を作った。
米軍が将校の遺体を検査することを見越してこれを村上治重大尉に渡した。
村上大尉は最後の突撃の際にこれを懐中に抱いて出撃し戦死したが、目論見どおりアメリカ軍の手に渡り、1945年(昭和20年)7月11日、アメリカで新聞に掲載された。
 
その後、現在までアナポリス海軍兵学校(アメリカ合衆国)博物館に保管されているそうだ。
 
Wikisourceに「ルーズベルトニ与フル書」による和文原文、当時の英訳、Wikisourceの現代口語訳を併記した。
 
ルーズベルトニ与フル書
 
 
ルーズベルトニ与フル書
A Note to Roosevelt

 
日本海軍、市丸海軍少将、書ヲ「フランクリン ルーズベルト」君ニ致ス。
我今、我ガ戦ヒヲ終ルニ当リ、一言貴下ニ告グル所アラントス。
 
Rear Admiral R. Ichimaru of the Japanese Navy sends this note to Roosevelt.
I have one word to give you upon the termination of this battle.
 
日本海軍市丸海軍少将が 「フランクリン ・ルーズベルト」 君に書を宛てる。
私は今、我が戦いを終えるに当たり一言貴方に告(つ)げることがある。
 
日本ガ「ペルリー」提督ノ下田入港ヲ機トシ、広ク世界ト国交ヲ結ブニ至リシヨリ約百年、此ノ間、日本ハ国歩難ヲ極メ、自ラ慾セザルニ拘ラズ、日清、日露、第一次欧州大戦、満州事変、支那事変ヲ経テ、不幸貴国ト干戈ヲ交フルニ至レリ。
 
Approximately a century has elapsed since Nippon, after Commodore Perry’s entry to Shimoda, became widely affiliated with the countries of the world. During this period of intercourse Nippon has met with many national crises as well as the undesired Sino-Japanese War, Russo-Japanese War, the World War, the Manchurian Incident, and the China Incident. Nippon is now, unfortunately, in a state of open conflict with your country.
 
日本国が 「ペルリー(ペリー)」提督の下田入港を機とし、広く世界と国交を結ぶようになった時より約百年の間、国の歩みは困難を極め、自ら欲しないにも関わらず日清戦争、日露戦争、第一次欧州大戦(第一次世界大戦)、満州事変、支那事変を経(へ)て、不幸にも貴国と交戦することになった。
 
之ヲ以テ日本ヲ目スルニ、或ハ好戦国民ヲ以テシ、或ハ黄禍ヲ以テ讒誣シ、或ハ以テ軍閥ノ専断トナス。思ハザルノ甚キモノト言ハザルベカラズ。
 
Judging Nippon from just this side of the screen you may slander our nation as a yellow peril, or a blood thirsty nation or maybe a protoplasm of military clique.
 
そして貴方は我々を、あるいは好戦的国民であるとし、あるいは黄禍論を用い貶(おとし)め、あるいは軍閥の独断専行であるとする。思いよらぬもの甚(はなは)だしいと言わざるを得ない。 
 
貴下ハ真珠湾ノ不意打ヲ以テ、対日戦争唯一宣伝資料トナスト雖モ、日本ヲシテ其ノ自滅ヨリ免ルルタメ、此ノ挙ニ出ヅル外ナキ窮境ニ迄追ヒ詰メタル諸種ノ情勢ハ、貴下ノ最モヨク熟知シアル所ト思考ス。
 
Though you may use the surprise attack on Pearl Harbour as your primary material for propaganda, I believe you, of all persons, know best that you left Nippon no other method in order to save herself from self-destruction.
 
貴方は真珠湾攻撃の不意打ちを理由に対日戦争(大東亜戦争) 唯一の宣伝資料とするが、そもそもにおいて日本国が自滅を免れるためこの行動に出る他ないという程の窮地にまで追い詰めたような諸種の情勢というのは、貴方の最も熟知するものであると思う。
 
畏クモ日本天皇ハ、皇祖皇宗建国ノ大詔ニ明ナル如ク、養正(正義)、重暉(明智)、積慶(仁慈)ヲ三綱トスル、八紘一宇ノ文字ニヨリ表現セラルル皇謨ニ基キ、地球上ノアラユル人類ハ其ノ分ニ従ヒ、其ノ郷土ニ於テ、ソノ生ヲ享有セシメ、以テ恒久的世界平和ノ確立ヲ唯一念願トセラルルニ外ナラズ。
 
His Imperial Highness, as clearly shown in the “Rescript of the Founder of the Empire” “Yosei” (Justice), “Choki” (Sagacity) and “Sekkei” (Benevolence), contained in the above three fold doctrine, rules in the realization of “Hakko-ichiu” (the universe under His Sacred Rule) in His Gracious mind. The realization of which means the habitation of their respective fatherlands under their own customs and traditions, thus insuring the everlasting peace of the world.
 
畏(おそ)れ多くも日本天皇は皇祖皇宗(うそこうそう=天皇歴代の祖先)建国の大詔(たいしょう=天皇のみことのり)に明らかなように、養成(正義)、重暉(明智)、積慶(仁慈)を三鋼(秩序)とする八紘一宇(天下を一つの家族)の文字によって表される皇謨(こうぼ)に基づき、地球上のあらゆる人間はその分に従い、その郷土においてその生を生まれながらに持たせ、それによって恒久的平和の確立を唯一の念願になさったのに他ならない。
 
之、曾テハ「四方の海 皆はらからと思ふ世に など波風の立ちさわぐらむ」ナル明治天皇ノ御製(日露戦争中御製)ハ、貴下ノ叔父「テオドル・ルーズベルト」閣下ノ感嘆ヲ惹キタル所ニシテ、貴下モ亦、熟知ノ事実ナルベシ。
 
Emperor Meiji’s “The four seas of the world that are united in brotherhood will know no high waves nor wind” (composed during the Russo-Japanese War) won the appraisal of your uncle, Theodore Roosevelt as you yourself know.
 
これは 「四方の海皆はらからと思ふ世になど波風の立ちさわぐらむ」(意訳:人は皆家族であるのに、なにゆえ争わねばならないのか) という明治天皇の御製は貴方の叔父セオドア・ルーズベルト閣下が感嘆したものであるが故に、貴方もよく熟知しているのは事実であろう。
 
我等日本人ハ各階級アリ。各種ノ職業ニ従事スト雖モ、畢竟其ノ職業ヲ通ジ、コノ皇謨、即チ天業ヲ翼賛セントスルニ外ナラズ。
我等軍人亦、干戈ヲ以テ、天業恢弘ヲ奉承スルニ外ナラズ。
 
We, the Nippon-jin, though may follow all lines of trade, it is through our each walk of life that we support the Imperial doctrine.
We, the soldiers of the Imperial Fighting Force take up arms to further the above stated “doctrine”.
 
私たち日本人はそれぞれ階級を持ち、また各種の職業に従事するけれども、結局はその職を通じ皇謨(こうぼ)、つまりは天業(てんぎょう=天皇の御心)を翼賛(よくさん=補佐する)しようとするのに他ならない。
我ら軍人は武器を以(もっ)て天業を広めることを承(うけたまわる)るに他ならない。
 
我等今、物量ヲ恃メル貴下空軍ノ爆撃及艦砲射撃ノ下、外形的ニハ退嬰ノ己ムナキニ至レルモ、精神的ニハ弥豊富ニシテ、心地益明朗ヲ覚エ、歓喜ヲ禁ズル能ハザルモノアリ。
 
Though we, at the time, are externally taken by your air raids and shelling backed by your material superiority, spiritually we are burning with delight and enjoying the peace of mind.
 
我らは今、物量に頼った貴方の空軍の爆撃、艦隊の射撃の下、外形的に後ろへ退くもやむなきに至っているが、精神的にはついに豊かになり、心地(ここち)ますます明朗になり、歓喜を抑(おさ)えることができなくもある。
 
之、天業翼賛ノ信念ニ燃ユル日本臣民ノ共通ノ心理ナルモ、貴下及「チャーチル」君等ノ理解ニ苦ム所ナラン。 今茲ニ、卿等ノ精神的貧弱ヲ憐ミ、以下一言以テ少ク誨ユル所アラントス。
 
This peacefulness of mind, the common universal stigma of the Nippon-jin, burning with fervour in the upholding of the Imperial Doctrine may be impossible for you and Churchill to understand.
I hereupon pitying your spiritual feebleness pen a word or two.
 
この天業翼賛(てんぎょうよくさん=天子の天業を翼賛し奉り、使命達成を期す)の信念が燃えるのは、日本国民共通の心理であるが、貴方やチャーチル君は理解に苦しむところであろう。今、ここに貴方達の精神的貧弱さを憐(あわ)れみ、以下の一言を以て少しでも悔(く)いることがあれば良いと思う。
 
卿等ノナス所ヲ以テ見レバ、白人殊ニ「アングロ・サクソン」ヲ以テ世界ノ利益ヲ壟断セントシ、有色人種ヲ以テ、其ノ野望ノ前ニ奴隷化セントスルニ外ナラズ。
 
Judging from your actions, white races especially you Anglo-Saxons at the sacrifice of the coloured races are monopolizing the fruits of the world.
 
貴方達のなすことを見れば、白人、とくにアングロサクソン(アメリカとイギリスの主な民族)が世界の利益を独占しようとして、有色人種をその野望実現のための奴隷として扱おうということに他ならない。
 
之ガ為、奸策ヲ以テ有色人種ヲ瞞着シ、所謂悪意ノ善政ヲ以テ、彼等ヲ喪心無力化セシメントス。
 
In order to attain this end, countless machinations were used to cajole the yellow races, and to finally deprive them of any strength.
 
この為に邪(よこしま)な政策をとり有色人種を欺(あざむ)き、所謂(いわゆる)悪意の善政を行うことで彼らを喪心(そうしん=魂が抜けたように、ぼんやりすること)無力化しようとしている。
 
近世ニ至リ、日本ガ卿等ノ野望ニ抗シ、有色人種、殊ニ東洋民族ヲシテ、卿等ノ束縛ヨリ解放セント試ミルヤ、卿等ハ毫モ日本ノ真意ヲ理解セント努ムルコトナク、只管卿等ノ為ノ有害ナル存在トナシ、曾テノ友邦ヲ目スルニ仇敵野蛮人ヲ以テシ、公々然トシテ日本人種ノ絶滅ヲ呼号スルニ至ル。之、豈神意ニ叶フモノナランヤ。
 
Nippon in retaliation to your imperialism tried to free the oriental nations from your punitive bonds, only to be faced by your dogged opposition. You now consider your once friendly Nippon a harmful existence to your luscious plan, a bunch of barbarians that must be exterminated.
 
近世に至り日本国が貴方達の野望に抗し有色人種、特に東洋民族を貴方達の束縛より解放しようと試みたところ、貴方達は少しも日本の真意を理解しようと努めることなく、ただ貴方達に有害な存在となし、かつて友邦とみなしていたにも関わらず仇敵野蛮人であるとし、公然として日本人種の絶滅を叫ぶに至った。これは決して神意にかなうものではないだろう。
 
大東亜戦争ニ依リ、所謂大東亜共栄圏ノ成ルヤ、所在各民族ハ、我ガ善政ヲ謳歌シ、卿等ガ今之ヲ破壊スルコトナクンバ、全世界ニ亘ル恒久的平和ノ招来、決シテ遠キニ非ズ。
 
The completion of this Greater East Asia War will bring about the birth of the East Asia Co-Prosperity Area, this in turn will in the near future result in the everlasting peace of the world, if, of course, is not hampered upon by your unending imperialism.
 
大東亜戦争によって所謂(いわゆる)大東亜共栄圏が成立し、所在する各民族はわれらの善政を謳歌しているから、貴方達がこれを破壊することが無ければ、全世界にわたる恒久的平和の招来は決して遠くは無いだろう。
 
卿等ハ既ニ充分ナル繁栄ニモ満足スルコトナク、数百年来ノ卿等ノ搾取ヨリ免レントスル是等憐ムベキ人類ノ希望ノ芽ヲ何ガ故ニ嫩葉ニ於テ摘ミ取ラントスルヤ。
 
Why is it that you, an already flourishing nation, nip in bud the movement for the freedom of the suppressed nations of the East.
 
貴方達はすでに成した。十分な繁栄にも満足することはなく数百年来にわたるあなた方の搾取から免れようとするこれらの憐れむべき人類の希望の芽をどうして若葉のうちに摘み取ろうとするのか。
 
只東洋ノ物ヲ東洋ニ帰スニ過ギザルニ非ズヤ。
卿等何スレゾ斯クノ如ク貪慾ニシテ且ツ狭量ナル。
 
It is no other than to return to the East that which belongs to the East.
It is beyond our contemplation when we try to understand your stinted narrowness.
 
ただ東洋のものを東洋に返すに過ぎないではないか。
あなた方はどうしてこのように貪欲(どんよく)で狭量(きょうりょう)なのか。
 
大東亜共栄圏ノ存在ハ、毫モ卿等ノ存在ヲ脅威セズ。却ッテ、世界平和ノ一翼トシテ、世界人類ノ安寧幸福ヲ保障スルモノニシテ、日本天皇ノ真意全ク此ノ外ニ出ヅルナキヲ理解スルノ雅量アランコトヲ希望シテ止マザルモノナリ。
 
The existence of the East Asia Co-Prosperity sphere does not in anyway encroach upon your safety as a nation, on the contrary, will sit as a pillar of world peace ensuring the happiness of the world. His Imperial Majesty’s true aim is no other than the attainment of this everlasting peace.
 
大東亜共栄圏の存在は少しも貴方達の存在を脅威するものではない。むしろ世界平和の一翼として世界人類の安寧幸福を保障するものであって、日本天皇の真意はまったくこれに他ならない。このことを理解する雅量(がりょう=大らかな度量)があることを希望してやまないものである。
 
飜ッテ欧州ノ事情ヲ観察スルモ、又相互無理解ニ基ク人類闘争ノ如何ニ悲惨ナルカヲ痛嘆セザルヲ得ズ。
 
Studying the condition of the never ending racial struggle resulting from mutual misunderstanding of the European countries, it is not difficult to feel the need of the everlasting universal peace.
 
翻(ひるがえ)って欧州の事情を観察すると、また相互無理解に基づく人類闘争がいかに悲惨であるかを痛感し嘆かざるをえない。
 
今「ヒットラー」総統ノ行動ノ是非ヲ云為スルヲ慎ムモ、彼ノ第二次欧州大戦開戦ノ原因ガ第一次大戦終結ニ際シ、ソノ開戦ノ責任ノ一切ヲ敗戦国独逸ニ帰シ、ソノ正当ナル存在ヲ極度ニ圧迫セントシタル卿等先輩ノ処置ニ対スル反撥ニ外ナラザリシヲ観過セザルヲ要ス。
 
Present Hitler’s crusade of “His Fatherland” is brought about by no other than the stupidity of holding only Germany, the loser of the World War, solely responsible for the 1914-1918 calamity and the deprivation of Germany’s re-establishment.
 
今ヒトラー総統の行動の是非を云々(うんぬん)するのは慎むが、彼の第二次世界大戦開戦の原因が第一次世界大戦の終結の際、その開戦責任の一切を敗戦国ドイツに押し付け、その正当な存在を極度に圧迫しようとした貴方達の処置に対する反発に他ならないということは看過できない。
 
卿等ノ善戦ニヨリ、克ク「ヒットラー」総統ヲ仆スヲ得ルトスルモ、如何ニシテ「スターリン」ヲ首領トスル「ソビエットロシヤ」ト協調セントスルヤ。
凡ソ世界ヲ以テ強者ノ独専トナサントセバ、永久ニ闘争ヲ繰リ返シ、遂ニ世界人類ニ安寧幸福ノ日ナカラン。
 
It is beyond my imagination of how you can slander Hitler’s program and at the same time cooperate with Stalin’s “Soviet Russia” which has as its principle aim the “socialization” of the World at large.
If only the brute force decides the ruler of the world, fighting will everlastingly be repeated, and never will the world know peace nor happiness.
 
貴方達の善戦によって力を尽くしてヒトラー総統を倒すことができたとして、どうやってスターリン率いるソヴィエトと協調するのか。世界を強者が独専しようとすれば永久に闘争を繰り返し、ついに世界人類に安寧幸福の日はないだろう。
 
卿等今、世界制覇ノ野望一応将ニ成ラントス。卿等ノ得意思フベシ。然レドモ、君ガ先輩「ウイルソン」大統領ハ、其ノ得意ノ絶頂ニ於テ失脚セリ。
願クバ本職言外ノ意ヲ汲ンデ其ノ轍ヲ踏ム勿レ。
 
Upon the attainment of your barbaric world monopoly never forget to retain in your mind the failure of your predecessor President Wilson at his heights.
 
あなた方は今世界制覇の野望が一応、まさに実現しようとしている。あなた方は得意げに思っているに違いない。 しかし貴方達の先輩ウィルソン大統領はその得意の絶頂において失脚した。
願わくば私の言外の意を汲(く)んでその轍(てつ)を踏まないで欲しい。
 
市丸海軍少将
Rear Admiral Ichimaru
 

 
死を目前にして、黄禍論による差別、搾取する欧州からの独立、東洋の平和を目指す八紘一宇、ヒットラー後のスターリンの台頭など、極めて冷静に分析されている。また戦後の世界を見事に見抜いていた。
 
国際連盟設立で日本の「人種差別撤廃」への提案を無視したウッドロウ・ウィルソン大統領をあげている。奇しくも本書の予言通り、ルーズベルト大統領が在任中にウィルソンと同じ脳の疾患で他界した。
 
日本はアジアに対する「侵略者」と云うレッテルを貼る欧米人が多いが、そうした方々に是非読んで頂きたい「当時の日本人の気持」でもある。この書は、米国アナポリスにある海軍兵学校博物館に保管されているようだ。
 
誰かが、「軍人の戦争犯罪」を声高に叫んだとしても、残された真実に触れる事が出来た時に、彼等の平和に対する深淵なる信念に思いを馳せ、全く別の祖先の姿を見ることができるのだ。
 
欧米各国によるアジア諸国への過酷な略奪搾取を無かったことにして、広島、長崎への原爆投下、全国主要都市への大規模空爆など非人道的な戦争犯罪を覆い隠すために、当時の日本軍人の清廉な精神構造が、欧米社会にはさぞかし邪魔になったことだろう。
 
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