親を敬う 〜 松平好房(まつだいら よしふさ)
松平好房は、小さい時から行儀の良い人で、自分の居間にいる時でも、父母のおられる方へ足を伸ばしたことは、決してありませんでした。
よそへ行く時には、そのことを父母に告げ、帰ってきた時には、必ず父母の前へ出て、
「ただいま帰りました」
と行って挨拶をし、それからその日にあったことを話しました。
好房は、父母から物をもらうときには、丁寧にお辞儀をしてそれを受け、いつまでも大切に持っていました。
また、遠くへ出られた父母から手紙をもらったときは、まずいただいてから開き、読み終わると、またいただいてそれをしまいました。
父母が何かおっしゃるときには、好房は行儀よく聞いて、おっしゃることにそむかないようにし、また人が好房の父母の話をするときでも、座り直して聞きました。
好房は、このように父母を敬って行儀がよかったばかりでなく、親類の人にも、お客にも、いつも行儀よくしましたので、好房を褒めないものはありませんでした。
尋常小学校 唱歌
「松平好房」
(1)まつだひらの よしふさは
よってで じもしり れいもしり
おやの まへには あしのべず
そとに でるには つげしらず
われらもそれに ならいましょう
(2)まつだひらの よしふさは
よそで もらった ものはみな
いつも おやごに おめにかけ
さらに たまへは おじぎする
われらもそれに ならいましょう
(参考図書:尋常小学校 「修身書」、尋常科第一学年「修身教典唱歌」)