父語る「彼は雑草ですよ」大の里、史上最速のV 独自路線、名門に背を向け華々しく活躍
〝ちょんまげ大関〝誕生か
<写真>、、、祝勝会で父の中村知幸さん(前列左)、師匠の二所ノ関親方(同右)に挟まれ笑顔の大の里
26日、茨城県つくば市
大相撲夏場所 千秋楽=26日、両国国技館
長いものに巻かれず我が道を進んできた新小結大の里(23)=二所ノ関=が、幕下付け出しでは横綱輪島の所要15場所を塗り替え、史上最速の7場所で初優勝を飾った。
勝てば優勝の大一番で、関脇阿炎(30)=錣山=を立ち合いから一気の電車道で押し出し12勝3敗。
「1、3月場所で惜しいところまでいって優勝できなかった。チャンスをモノにできてうれしい」と喜んだ。
日体大1年で学生横綱に輝き3、4年はアマチュア横綱と鳴り物入りで角界入りも、昨年夏場所のデビュー戦でいきなり黒星。
幕下2場所、十両2場所でも優勝に届かず。
最速記録にばかり目がいくが、これがプロ初優勝だ。
父の中村知幸さん(48)は「デビューしてずっと優勝が義務付けられていた。
「大卒で優勝するのは難しい」と言った人もいたので、つらかったと思いますよ」と涙を拭い、自らの肩の荷も下ろした。
輪島らを輩出した故郷の石川県も相撲どころだが、中学から新潟県糸魚川市に相撲留学。
同市内の海洋高を経て日体大に進んだ。
知幸さんは「大学を出てエリートと言われるけど彼は雑草ですよ。
石川県の名門中学、高校からも誘われていて、そこに行くのが当然と思われていたけど、小学校を卒業して単身で糸魚川まで行って花を咲かせました」と話す。
そこからも独自路線。
随一の名門日大に背を向け、日体大で華々しく活躍すると、名門部屋から次々とラブコールが舞い込んだ。
大争奪戦の末に選んだのは元横綱稀勢の里が新設したての二所ノ関部屋で、日体大出身初の優勝力士となった。
数々の快挙にも「これが目標ではない。しっかり稽古に精進し、上へ上へ頑張りたい」と、浮かれることなく先を見据える。
新三役の12勝は大関昇進への起点。
羽黒山、豊山、雅山の12場所を上回り、またも史上最速で大銀杏が結えないまま初の〝ちょんまげ大関〟が誕生する勢いだ。
(塚沢健太郎)
<記事引用>